年収720万円のわが家は「大学無償化」の対象外。子どもが年金暮らしの「祖父母の養子」になれば、学費はかからない?“制度の目的”を考えるとNGじゃないの?

配信日: 2024.12.10

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年収720万円のわが家は「大学無償化」の対象外。子どもが年金暮らしの「祖父母の養子」になれば、学費はかからない?“制度の目的”を考えるとNGじゃないの?
令和7年度から扶養する子どもの数が3人以上の多子世帯は大学無償化となる制度がスタートします。しかし大学無償化の対象にはならない世帯年収や子ども2人世帯でも、学費の支払いが厳しいという家庭も少なからずあるでしょう。
 
しかし現行の大学無償化制度の対象世帯になるために、収入を減らすという選択肢は考えにくいもの。そこで子どもを年金暮らしで収入の少ない祖父母の養子にすれば、大学無償化の対象世帯になるのではないかと考える人もいるかもしれません。
 
本記事では年収720万円世帯の子どもが住民税非課税世帯である祖父母の養子になったら大学無償化の対象となるのか、現行の大学無償化制度(高等教育の修学支援新制度)を受けることができるのかを解説します。
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令和7年度からスタートする大学無償化は多子世帯が対象

令和7年度からスタートする大学無償化の対象は子ども3人以上の世帯が対象です。さらに要件を満たした大学・短大・高専・専門学校が対象となります。
 
扶養する子どもが3人以上いれば所得制限はありませんが、第1子が就職などをして扶養から外れ、扶養している子どもの数が2人になると、その後は対象外となるので注意が必要です。
 

大学の授業料減免も? 現行の大学無償化制度を解説

現行の大学無償化制度(高等教育の修学支援新制度)は令和2年度からスタートしており、令和6年度から中間所得世帯(多子世帯・私立理工農系)に対象が拡充されました。
 
対象となるには、世帯収入や資産の要件、学ぶ意欲などの条件を満たす必要があります。
 
図表1のように世帯年収に応じて授業料減免や給付型奨学金(返済不要)を受けることができます。
 
図表1

図表1

文部科学省 高等教育の修学支援新制度
 
年収720万円・子ども2人だと世帯年収で現行制度の対象外となりますが、仮に祖父母の養子となり、祖父母が年金暮らしで住民税非課税世帯であるなら、支援を受けられることになります。
 
その場合は最大で年間161万円の支援を受けることができますが、進学先や自宅からの通学か自宅外からの通学かによって上限額がそれぞれ決まっています。
 

実の両親がいても年金暮らしの祖父母が生計維持者となるのか?

現行制度では生計維持者の所得によって支援額が決定します。実の両親がいても収入の少ない祖父母と養子縁組をしていれば、支援を受けられるのでしょうか。
 
結論から言うと、支援を受けられる可能性は高いと考えられます。
 
養子縁組をしていれば、祖父母は養父母にあたります。日本学生支援機構によると、「父母がいる場合は、原則として父母(2名)が「生計維持者」となり、生徒本人との同居・別居の別、収入の有無・多寡は問わない」とありますので、同居や収入の多さではなく、義父母が生計維持者と認められると考えられる可能性があります。
 

まとめ

扶養する子どもの数が3人以上でないと令和7年度からの大学無償化の対象にはなりません。さらに年収720万円だと現行の大学無償化制度も対象外となりますが、年金暮らしの祖父母と養子縁組をすれば、支援を受けられる可能性は高いと考えます。
 
しかし、制度をこのように利用することは本来の目的から外れたもので、肯定されるべきではないでしょう。仮にこのような利用が増えると、制度を正しく利用している人にとって不利な改正も起こりえると考えられます。
 
そのため、将来的には世帯における子の数や親の所得に制限されることなく、すべての子どもに学ぶ機会が平等に与えられる社会がおとずれることを願っています。
 

出典

文部科学省 高等教育の修学支援新制度
独立行政法人日本学生支援機構 生計維持者に係るQ&A【令和6年4月22日版】
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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