更新日: 2019.06.28 その他暮らし

成年年齢引き下げで心配されるトラブルや問題!すべて自己責任と自覚すべき

成年年齢引き下げで心配されるトラブルや問題!すべて自己責任と自覚すべき
2018年6月13日に、成年年齢を20歳から18歳に引き下げる等の民法の一部の改正が成立しました。それに伴い、婚姻開始年齢も男女とも18歳に統一されます。親の承諾無しに自分単独で契約が出来る反面、責任もついて回ります。
 
この改正は、2022年4月1日から施行されます(法務省HP「民法の一部を改正する法律(成年年齢関係)について」より)。
 
林智慮

執筆者:林智慮(はやし ちりよ)

CFP(R)認定者

確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。

何がどう変わったの?

日本の成年年齢は、明治9年から20歳とされています。今回の法改正で、成年年齢は18歳に引き下げられます(民法第4条)。
 
成年年齢は、
(1)一人で有効な契約することが出来る。
(2)親の親権に服することがなくなる。

つまり、周りから一人前と扱って貰える年齢です。
 
それに伴い、女性の婚姻開始年齢が16歳から18歳に引き上げられます(民法731条)。それにより、男女とも18歳に統一されます。現行は未成年なので親の承諾が必要でしたが、成年年齢が18歳になることで、18歳になれば自分の意志で結婚が出来るようになります。
 
成年年齢を18歳に引き下げる法律は、2022年4月1日から施行されます。その時点で18歳以上20歳未満の方(2002年4月2日生まれから2004年4月1日生まれまでの方)は、その日に成年となります。それ以降の方は、18歳の誕生日で成年となります。
 
成年とされることで、一人で有効な契約をすることが出来るようになり、親の同意が要らないのです。
 

どうして変わったの?

憲法改正国民投票の投票権年齢が18歳と定められ、公職選挙法改正で選挙権年齢が18歳に引き下げられたことで、成年年齢も18歳に引き下げる政策がされてきました。世界的にも成年年齢が18歳とするのが主流であり、民法でも18歳以上を大人として扱うのが適当ではないかと、法制審議会で議論されてきました。
 
18歳、19歳の若者が、「自分の判断で人生を選択できる」そんな環境を整備すると共に、若者の積極的な社会参加を促し、そして社会を活力あるものにするためです。
 
婚姻年齢の男女差は、心身の発達に差があるためだとされてきましたが、それよりも社会的・経済的に成熟しているかを重視すべきと考えられ、男女とも18歳とされました。
 
高校進学率が98%越えている状態からすれば、結婚するには少なくとも18歳程度の社会的・経済的成熟が必要であると考えられ、女性の婚姻年齢を引き上げる事としたものです。施行は2022年4月1日からですが、その時点で16歳以上の女性は、18歳未満でも結婚することが出来ます。
 

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注意したいこと

成年が18歳に引き下げられることで、成年が認められていたことが全部18歳で出来るのではありません。
 
例えば、お酒やたばこが解禁される年齢は20歳のままですし、競輪や競馬・ボートレス・小型自動車競走の投票券の購入年齢も、20歳のままです。健康被害やギャンブル依存症から守るため、今までの年齢を維持されます。
 
ところで、未成年者は、未成年者取消権で守られています。未成年者が親の同意を得ずに契約した場合には、原則として、契約を取り消すことが出来るのです。
 
しかし、成年年齢が18歳にひき下げられると、18歳は成年となるので未成年者取消権を使えなくなります。親の同意は、自由を妨げる反面、未成年者が判断を間違えたときのセイフティネットでもあるのです。
 
現在、既に成年している若者でも、悪徳商法や詐欺による被害を受けています。それよりさらに若い世代が単独で契約出来てしまうので、消費者被害が増えることが懸念されています。そのため、政府は、成年年齢引き下げを見据えて、学校教育での消費者教育や消費者契約法の改正、ホットライン(188)の周知等の環境整備をしています。
 

事例・子どもが成人したとたん、不審な電話が

実際にこんな事がありました。
 
子どもが20歳過ぎたとたん、まるで未成年者取消権が使えなくなる時を待っていたかのように、成人した子どもを電話口に呼び出す、怪しい電話が頻繁にかかってくるようになったのです。「◯◯君の友達の△△ですが」とか、「☆☆さん、いますか?」とか。
 
携帯電話で連絡取り合う世代が、わざわざ家の固定電話に掛けてくることはありません。不審に思われたら、取り次がないようにしましょう。
 
子どもが自宅外で暮らしていることを知ると、「実は◯◯さんが通販で購入された件で、連絡を取りたいのです。」と子どもの連絡先を聞こうとします。しかし、本当に通販で物を買ったとしたら、実家の電話を連絡先に使いません。うっかり、子どもの連絡先を教えてしまわないようにしましょう。
 
「連絡を取るように子どもに伝えますから、そちらの連絡先を教えてください」と言ったところ、「それなら、もういいです。」と電話を切ってしまいました。
 
もし、連絡先を言ってきても、その連絡先を子どもには伝えません。相手の目的は、子どもと直接の契約です。通販の話が本当なら、通販会社の連絡先は子どもが知っていることです。
 
この例のように、未成年者取消権が使えなくなることによって、様々不審な事例が起こる可能性が高くなります。各自、自覚をもって気を付けたいものです。
 
執筆者:林智慮(はやし ちりよ)
CFP(R)認定者
 

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