更新日: 2019.06.28 子育て
シングルマザーに朗報!就学援助の入学準備金を入学前に支給してもらえる?
ひとり親家庭など一般的に経済的に余裕がないご家庭では子どもに新しいランドセルなどを買ってあげられない、という話も聞きます。そんなときに活用したいのが就学援助です。最近では、入学準備金の支給を入学前に支給する自治体が増えています。
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/
就学援助
入学時にいくらかかるのか、ある公立の小中学校の入学時の費用を紹介します。小学校ではランドセル、体操着など平均6万1200円。制服がある学校は、制服代もかかります。中学校では制服、スク―ルバックなど平均7万6500円となっています。自治体によっては制服などの入学準備で10万円近くかかる場合もあります。
経済的に余裕のない家庭では、子どもの晴れ舞台にランドセルなど買えず辛い思いで入学式を迎えるケースもあります。これがきっかけで、不登校につながるケースもあります。
義務教育の小中学校では、授業料や教科書代は無料ですが、その他の給食費や学用品費、通学費、クラブ活動費、修学旅行費などは準備しなければなりません。結構な負担です。そこで、生活保護世帯と生活保護世帯に準じる世帯には、「就学援助制度」があり、これらの費用を援助しています。
生活保護世帯に準じる世帯の認定基準は、生活保護基準の1.2倍~1.3倍以下の割合が最も多く1.5倍超もあります。その他、住民税非課税世帯や児童扶養手当の受給世帯を基準とするなど、住むところにより大きく異なります。生徒の6人に1人が対象になっています。
入学準備金の入学前支給
就学援助の最初の支給時期は7月下旬頃です。しかし、入学準備金の支給が入学後では、入学時の制服などをそろえることができません。そこで、「必要な時期に必要な支援が行われることが望ましい。」(文部科学省)ことから、入学準備金の支給を入学前に支給する自治体が急増しています。
入学前支給を実施している(予定も含む)自治体数は、平成28年度と平成29年度を比べると、小学校は89から711へ、中学校は162から856へと急増しています。
入学準備金支給までの流れは、例えば、八王子市の場合、(1)平成31年度小学校新1年生の保護者に対して平成30年9月中旬、就学時健康診断の案内に「新入学準備金受給申請書」が同封・送付され、(2)この申請書を提出期限(平成31年 1 月上旬予定)までに必要事項を記入の上、教育委員会まで提出し、(3)平成31年2月中旬、支給決定・不決定の通知を受け取り、(4)平成31年3月1日入学準備金が支給、となっています。
入学準備金の支給額は小学校40,600円(定額)、中学校47,400円(定額)となっています。
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就学援助制度の周知が不十分
就学援助は基本的に申請主義です。文部科学省の調査では、「入学時に学校で就学援助制度の書類を配布している」市町村の割合は73.1%、「就学援助の書類を毎年度の進級時に学校で配布している」市町村の割合は75.3%にすぎません。
年々、この割合が増えてはいるものの、就学援助の対象であるにもかかわらず、この制度を知らない保護者もいます。就学援助制度をご存じない先生も多くいらっしゃいます。教育委員会に問い合わせるなど自分から積極的に情報をとるようにしましょう。
なお、入学前支給の周知方法としては、「自治体の広報誌やHPに掲載」や「就学時健康診断の際に案内を配布」している市町村が多いです。
参照
文部科学省「就学援助制度について(就学援助ポータルサイト)」
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー