信号のない横断歩道で「お先にどうぞ」と歩行者から合図が!→発進したら「進行妨げで9000円の反則金」と同乗者に注意されたけど、道を譲られた場合でも「違反」になるのでしょうか…?
配信日: 2025.01.13 更新日: 2025.01.14

しかしその行為を、同乗者に「違反だよ」と指摘されると驚いてしまうかもしれません。運転する人にとっては、歩行者を尊重したつもりが違反になるなんて、と戸惑うでしょう。本記事では、歩行者から道を譲られた場合でも、車が先に進むと違反になるのかどうかについて解説します。

執筆者:山田麻耶(やまだ まや)
FP2級
歩行者優先のルール
横断歩道では、原則として歩行者を優先しなければなりません。道路交通法第38条では、横断歩道に接近する車両は次のルールを守ることが定められています。
●横断歩道を通過する際、進路の前方に歩行者がいる場合、すぐに停止できるよう速度を落として進む
●歩行者が横断しようとしている場合は車両は停止して歩行者を優先する
●歩行者が明らかにいない場合のみ、停止せず通行できる
つまり、歩行者が渡る意思を示したときには、車は一時的に停車する義務があるのです。これを守らないと「横断歩行者等妨害等違反」となり、違反点数2点、普通車の場合で反則金9000円が科されます。
歩行者が「どうぞ」と譲った場合でも違反になるの?
信号のない横断歩道で、歩行者が「お先にどうぞ」と合図をすることがあります。車を進めても問題なさそうですが、違反となる場合があります。実際の事例をもとに、この問題を考えてみましょう。
2022年6月、都内で、あるドライバーが横断歩道に差し掛かりました。右側に歩行者がいたので一時停止し、歩行者を渡らせました。まもなく左側からもう一人の歩行者が現れましたが、手をひらひらとさせて「お先にどうぞ」と合図されました。
ドライバーは安全確認を行ったうえで車を進めましたが、その後すぐに警察官に「歩行者妨害」の違反切符を切られてしまったのです。「譲られたから進んだ」と説明しても、警察官は「歩行者がいる以上進むのは違反」と説明するのみで、反則金9000円と違反点数2点が科されました。
ただ結果的に、この事例ではドライブレコーダーがあったため、弁護士が抗議を行い、違反は撤回されました。ドライバーが一時停止をし、歩行者の合図を確認して進行したことが証明されたからです。
しかし、もしドライブレコーダーがなかった場合、違反が撤回されなかった可能性もありますし、そもそも当初はドライブレコーダーでの確認も断られているのです。また、道を譲ってくれた人とは別の歩行者が突然現れることも考えられます。たとえ譲られたとしても、まずは歩行者を優先するのが安全といえるでしょう。
譲られても慎重な対応を
信号のない横断歩道では、たとえ歩行者から「お先にどうぞ」と譲られても、一時停止を徹底し、歩行者を優先することが大切です。数年前には、歩行者から譲られた状況で進行したところ違反と見なされた事例があります。結果的にこの違反は取り消されたものの、ドライブレコーダーなど明白な証拠がない場合には、違反を覆せない可能性があります。
また、歩行者からの意図を正しくくみ取れなかったり、ほかの歩行者が進行してきたりするなど、予想外のトラブルにつながることもあります。歩行者から譲られたとしても、安易に判断せず、なるべく歩行者を先に進行させるようにしましょう。
出典
e-Gov法令検索 道路交通法
警視庁 交通違反の点数一覧表
警視庁 反則行為の種別及び反則金一覧表
執筆者:山田麻耶
FP2級