「大学無償化制度」ってどのような制度ですか? 対象は「優秀な学生」だけなのでしょうか?
配信日: 2025.02.03

そこで国が設けた支援制度が「高等教育の修学支援新制度」、いわゆる大学無償化制度です。本記事では、大学無償化制度の概要や、成績優秀者しか利用できないのかなど、制度を利用できる条件について分かりやすく紹介します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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大学無償化制度(高等教育の修学支援新制度)とは
大学無償化制度は正式には「高等教育の修学支援新制度」といい、学ぶ意欲のある子どもたちの進学を経済的に支援することを目的としています。制度の対象者は、授業料・入学金の減免と返還の必要がない給付型奨学金の2つの支援を受けられ、大学や短期大学、高等専門学校、専門学校に低い負担で進学可能です。
支援額は世帯収入に応じて4段階に分けられており、最大で70万円の授業料減免と、91万円の給付型奨学金の支給を受けられます。
大学無償化制度の対象となる条件は?
大学無償化制度(高等教育の修学支援新制度)は、大学など対象の学校に進学する人が全員利用できる制度ではありません。次の2点について要件を満たしている学生を支援の対象としています。
・世帯収入・資産の要件を満たしている
・進学先で学ぶ意欲がある
具体的にはどのような基準が設けられているのか、以下でそれぞれ見てみましょう。
家庭の経済状況に関する条件
家庭の経済状況に関しては「住民税非課税世帯及びそれに準ずる世帯」の学生が対象となっています。また、令和6年度に対象者が私立理工農系に通う中間所得世帯の学生や多子世帯(親の扶養を受ける子が3人以上いる世帯)にも拡大されました。
世帯収入などの具体的な要件は図表1のとおりです。
【図表1】
対象者 | 年収の目安 ※両親・本人(18歳) ・中学生の兄弟の4人世帯の場合 |
支援額 ※令和7年度 |
---|---|---|
住民税非課税世帯の学生 | ~270万円 | 満額 |
住民税非課税世帯に準ずる世帯の学生 | ~300万円 | 満額の3分の2 |
~380万円 | 満額の3分の1 | |
私立理工農系の学生 | ~600万円 | 文系との授業料差額 |
多子世帯の学生 | 所得制限なし | 満額(給付型奨学金は満額の4分の1) |
※文部科学省「高等教育の修学支援新制度」より筆者作成
また、収入の要件のほかに、保有資産の金額が一定の水準を超えていないことも要件となっているため注意しましょう。
学業面に関する条件
学業面では進学先で学ぶ意欲があることが求められます。大学進学の時点で対象となるのは、高校在学時の評定の平均値、学修計画書などの資料をもとに学修意欲が十分にあると認められた学生です。
成績の優秀さだけが基準になるのではなく、学修の目的や将来の人生設計を持って進学を希望していることを示す必要があります。
また、入学時に制度の対象者と認定されても、在学中に対象外の判定を受けると支援を受けられなくなります。大学進学2年目以降も継続して制度の支援を受けるには、在学中の平均成績(GPA)や単位の取得状況、学修計画書などをもとに、学修意欲があると改めて認められなければなりません。
具体的には次のような基準が設けられており、該当する場合には警告を受けたり支援が打ち切られたりすることを覚えておきましょう。
■警告(支援継続)の基準
・修得単位数が7割以下
・成績評価(GPA)が所属学部等の下位4分の1
■支援打ち切りの基準
・修得単位数が6割以下
・警告の基準に2回連続で該当(2回目の警告が成績評価基準によるもののみの場合は次の判定まで支給停止)
大学無償化制度は「学ぶ意欲のある学生」を経済的に支援する制度
大学無償化制度は、進学先で学ぶ意欲がある学生を対象とした修学支援制度です。しかし、制度の対象となるには、学ぶ意欲があることだけではなく、家庭の経済状況が要件に該当すること、一定の学業成績を収めていることも必要です。
制度の内容や対象者の要件を事前にしっかり確認して、制度を利用できる見込みがあるかどうかを判断しましょう。
出典
文部科学省 高等教育の修学支援新制度
文部科学省 学びたい気持ちを応援します 高等教育の修学支援新制度 高校生のみなさんへ
文部科学省 学びたい気持ちを応援します 高等教育の修学支援新制度 大学生のみなさんへ
文部科学省 「加速化プラン」による施策の充実 【多子世帯の大学等授業料・入学金の無償化】
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー