親戚が多いので毎年1月は「お年玉」をあげるのが大変です。その分子どもは結構な額のお年玉をもらっています。お年玉の所有権は誰にあるのでしょうか?
配信日: 2025.02.07

子どもを持つ親の中には、お年玉を「家計費として使わせてほしい」と考える方もいるでしょう。しかし、子どもがもらったお年玉を、親が管理したり使用したりしても問題はないのでしょうか?
そこで本記事では、お年玉の法律的な所有権や、親が使う際の注意点、さらにはマナーとしての配慮について解説します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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法律的に「お年玉」の所有権は誰にある?
お年玉は子どもが受け取るものですが、その所有権は法律上どう扱われるのでしょうか。親が管理する場合に求められる責任や、使ってしまった場合のリスクも知っておくことが重要です。
ここでは、未成年者のお金に関する法律的なルールについて解説します。
お年玉は誰のもの? 法律で見る所有権
お年玉は法律的に「贈与」とみなされるため、年齢に関係なく、それを受け取った子ども本人の所有物とされます。したがって、お年玉を受け取ったのがたとえお金の価値が分からない赤ちゃんであっても、贈与されたお金の権利は子どもにあるのです。
未成年者のお金の管理における親の責任
親には法律上、親には未成年の子どもの資産を管理する権利が与えられています。これは民法824条により定められた、財産管理権です。そのため、子どもが受け取ったお年玉を親が預かり、管理すること自体は法的に認められています。
子どもが自分のために使いたいと希望したときに、全額を親が保管し、子どもに使わせなかったとしても違法にはなりません。ただし子どもが成人した後は、お年玉を含めた全ての財産管理権は本人に移り、親が関与することはできません。
親が使ってしまった場合の法的リスクとは?
親が子どものお年玉を勝手に使うと、法律上は刑法252条の横領罪に該当する可能性があり、5年以下の懲役と定められています。ただし、親子間のトラブルについては刑法244、255条の親族相盗例により処罰が免除されるため、実際に親が刑事罰を受けることはありません。
民事の観点からは、使い込みが民法709条の不法行為とされる場合もあるため注意が必要です。例えば、子どものお年玉を親が自身の旅費や飲食費など私的なものに使った場合、法律上は親権(財産管理権)の乱用とみなされます。
また、子どもの生活費や教育費といった育児に必要な費用にお年玉を充てることも、原則として認められていないと考えられます。なぜなら、親には未成年の子どもを扶養する義務があり、これらの費用は本来、親が負担すべきものであるからです。
年齢別・お年玉の金額の相場
お年玉の金額の相場は、子どもの年齢によります。参考までに、株式会社NTTドコモ(東京都千代田区)が運営する「comottoコラム」がまとめた、年齢別の相場は図表1のとおりです。
図表1
未就学児 | 小学校低学年 | 小学校高学年 | 中学生 | 高校生 | 大学・専門学校生 |
---|---|---|---|---|---|
1000円以下 | 1000~3000円 | 3000~5000円 | 5000~1万円 | 5000~1万円 | 5000~1万円程度(半数)、1~3万円(30%程度) |
出典:株式会社NTTドコモ comottoコラム「お年玉は何歳まであげる? 年齢別の金額の相場やあげる際のマナーもあわせて紹介 【年齢別】お年玉の金額の相場」
幼稚園生など未就学児へのお年玉は1000円以下が相場ですが、お金の価値をまだ理解していない子どもには渡さないという考えもあります。3~5歳ごろになると、500~1000円程度を渡すのが一般的のようです。
小学校1~3年生の低学年では、1000~3000円程度が目安です。小学校4~6年生の高学年になると、3000~5000円程度が相場となります。
中学生へのお年玉は、5000~1万円が一般的とされています。中には、祖父母などから1万円以上もらう子どももいますが、多くの家庭では5000円を目安にしているようです。
高校生や大学生、専門学生には5000~1万円を渡す人もいるようです。ただし、高校卒業を機にお年玉を終了する家庭もあり、もらわなくなる子どもも多くいると考えられます。
お年玉の管理や使い道は子どもと話し合おう
親がお年玉を子どもの養育費に充てることは、原則として認められていません。ただし、家庭の経済状況が著しく困難な状況や、子どもの緊急な医療費が必要になるなど、特別な事情がある場合には、例外的に許容される場合もあります。
これらの場合でも、可能なかぎり子どもと相談して理解を得ることが望ましく、親が子どもに後日返済するという意思を示すことも大切です。お年玉の管理や使い道は子どもとの話し合いを重視し、子どもが納得したうえで管理や使用することが望ましいでしょう。
出典
デジタル庁 e-GOV 法令検索 民法
デジタル庁 e-GOV 法令検索 刑法
株式会社NTTドコモ comottoコラム お年玉は何歳まであげる? 年齢別の金額の相場やあげる際のマナーもあわせて紹介 【年齢別】お年玉の金額の相場
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー