夫婦の別居などで話に上がる「婚姻費用」。具体的にはどこからどこまでが含まれているの?

配信日: 2025.02.08

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夫婦の別居などで話に上がる「婚姻費用」。具体的にはどこからどこまでが含まれているの?
夫婦が婚姻中に別居する場合、法律に基づいて生活費を婚姻費用として分担する義務があります。では、婚姻費用には何が含まれていて、どのように決定するのでしょうか?
 
今回は、夫婦が別居した場合に請求できる婚姻費用について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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婚姻費用に含まれるもの

婚姻費用とは、法律上の夫婦関係は続いているものの、別居する場合に必要な費用のことです。内訳には、以下の費用が含まれます。

● 生活費(食費・光熱費)
● 住居費
● 医療費
● 子どもの養育費
● 教育費
● 保険料 など

ただし、娯楽費や浪費的な支出について、各個人の状況によって異なりますが、過剰な買い物や無駄遣いはおおむね対象外です。
 
婚姻費用が請求できるメリットは、別居による生活水準の著しい低下を防ぎ、子どもの養育費を夫婦で分担できることなどがあげられます。別居中は、子どもと同居中の親に対して、児童手当が支給されます。
 
なお、離婚を前提とした別居の場合は、財産分与、年金の分割などの話し合いが必要です。また、子どもがいる場合は、親権者を決めること、養育費や子どもとの交流方法、児童扶養手当の手続きなどについて確認しましょう。
 

婚姻費用の金額

婚姻費用の金額は、基本的には夫婦の話し合いで決まります。もし金額の相場が分からない場合は、裁判所が公表している「養育費・婚姻費用算定表」をもとに判断しましょう。
 
算定表は、子どもの人数と年齢、義務者と権利者の働き方と年収によって確認できます。表の見方は次の通りです。

● 表の縦軸:婚姻費用を支払う人(義務者)の年収
● 表の横軸:婚姻費用を受け取る人(権利者)の年収
● 義務者と権利者の働き方:自営または給与所得
● 自営の場合:確定申告書の「課税される所得金額」が基準
● 給与の場合:「源泉徴収票」の「支払総額」が基準

例えば、以下の状況にある家庭を例に算定表から探してみましょう。

● 14歳の子ども1人
● 義務者の給与が年収2000万
● 権利者の給与が年収1000万

すると、この家庭の婚姻費用は26~28万円の範囲にあることが分かります。この数値を参考に、各個人の状況を踏まえて進めましょう。
 
なお、夫婦の話し合いで婚姻費用を算出することができない場合は、裁判所を介して進行できます。
 

夫婦の話し合いができない場合

婚姻費用の話し合いができない場合は、裁判所に「分担請求調停」の申し立てができます。分担請求調停とは、当事者同士で主張や意見がまとまらない場合に、裁判所で調停または審判を申し立てる方法です。
 
裁判所を介するメリットは、以下のポイントがあげられます。

● 話し合いがしやすくなる
● 生活費、養育費が確保できる
● 相手に収入を依存していた方は離婚調停と同時にすると有利になる

分担請求調停する方法

分担請求調停をする際は、裁判所がお金に関する状況をヒアリングし、必要に応じて資料を求め、よりよい解決策を提示することで話し合いを進めます。
 
以下は、分担請求調停を行う際に知っておきたい確認事項です。

● 申立人:妻または夫
● 申立先:家庭裁判所
● 必要な費用:収入印紙1200円分、連絡用の郵便切手
● 必要書類:申立書とそのコピー、添付書類(夫婦の戸籍謄本、収入に関する書類)

分担請求調停が成立しない場合

分担請求調停は、状況によって成立しない場合もあります。不成立の場合は、裁判官が一連の状況を考慮して婚姻費用の分担額を決めます。つまり、夫婦が話し合って決める金額ではなく、裁判官が決めた金額になります。
 
以下は、分担請求調停が不成立の場合の流れです。

1. 話し合いがまとまらない場合、自動的に審判手続きに移る
2. 裁判所によって審判書が作成され、当事者たちに告知される
3. 審判書の不服を申し立てる場合は、さらに高等裁判所で争う
4. 審判書の不服申し立てがない場合は、審判が確定する
5. 審判で決定した婚姻費用の支払い義務が発生する

婚姻費用とは、生活や育児の環境を維持するために必要な費用のこと

夫婦が婚姻中に別居する際は、婚姻費用の話し合いによって生活費や養育費を確保できます。ただし、夫婦で話し合いができない場合は、裁判所を介して調停申し立てができます。裁判所に依頼する際は、法律に基づいた条件や調停の流れについてあらかじめ理解しておきましょう。
 

出典

裁判所 婚姻費用の分担請求調停
裁判所 養育費・婚姻費用算定表
裁判所 養育費に関する手続(婚姻費用分担の調停の不成立)
法務省 別居を考えている皆さま・別居中の皆さまへ
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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