夫婦ともに「自営業」で妻が妊娠しました。会社員の場合は産前産後・育児期間の「保険料が免除」されるようですが、国民年金や国民健康保険も同じですか?
配信日: 2025.02.11


執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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国民年金保険料の産前産後期間の免除
フリーランスや自営業者など、国民年金第1号被保険者の産前産後期間の保険料も免除されます。具体的には、出産予定日または出産日が属する月の前月から4ヶ月間(多胎妊娠の場合は、出産予定日または出産日が属する月の3ヶ月前から6ヶ月間)の国民年金保険料が免除されることになります。
出産とは、妊娠85日(4ヶ月)以上の出産(死産、流産、早産された方を含む)をいいます。
保険料の免除を受けるには、お住まいの市区町村に届出を行う必要があります。届出は、出産予定日の6ヶ月前から行うことができます。出産後でも届け出できますが、この場合の産前産後期間は、出産月の前月から出産月の翌々月までの4ヶ月間となります。
届出を行うことで、この免除期間は「保険料納付済期間」とされ老齢基礎年金の受給額に反映されます。産前産後期間の保険料は免除されますが、付加保険料は納付できます。
国民年金保険料の育児期間中の免除
自営業やフリーランス等の国民年金第1号被保険者について、その子が1歳になるまでの期間の国民年金保険料が免除される予定です(令和8年10月から)。産前産後免除が適用される実母の場合は、産後免除期間に引き続く9ヶ月が育児期間免除の対象期間です。
子を養育している国民年金第1号被保険者は、父母(養父母を含む)ともに対象です。一般的に保険料免除を行う際に勘案することになる所得要件や休業要件はありません。この免除期間は「保険料納付済期間」とされ老齢基礎年金の受給額に反映されます。
国民健康保険料の産前産後期間の免除
国民年金と同じく、国民健康保険料も産前産後期間の保険料が免除されます。国民健康保険料は、所得割額、均等割額、平等割額、資産割額で構成されていますが(市区町村により組み合わせは異なる)、このうち免除の対象となるのは所得割額と均等割額です。
保険料の免除には、原則、お住まいの市区町村に届出を行う必要があります。届出は、出産予定日の6ヶ月前から届出を行うことができます。出産後でも届け出できます。この場合、免除される期間の保険料を納めていたときは還付されます。
なお、出産育児一時金の支給を受けている場合には、届出が不要な場合もあります。
まとめ
国民年金の保険料について産前産後は免除されます。育児期間についても免除が予定されています(令和8年10月から)。国民健康保険の保険料について、産前産後は免除されますが、育児期間については免除されません。詳しくは市区町村役場の担当部署に聞いてください。
出典
こども家庭庁 子ども・子育て支援金制度について
厚生労働省 国民年金の産前産後期間の保険料免除制度
厚生労働省 国民年金における育児期間の保険料免除
新宿区 産前産後期間の国民健康保険料の軽減について
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。