更新日: 2019.06.28 その他暮らし
球場名やスタジアム名が企業広告になるネーミングライツ。効果はいかほど?
スポーツ観戦で訪れたスタジアムなどで、近年、企業名を冠した名前をよく見かけると思いませんか? 今回は、スタジアムなどの、スポーツ施設のネーミングライツについてご紹介します。
執筆者:大場脩(おおば しゅう)
ファイナンシャルプランナー。
山形をベースに全国で活動する。
本人が地方在住、そして独身のため、独身向けのマネープラン、地方ならではのマネープラン実情に精通している。
得意分野は、専門用語を使わないお金の話、資産運用、確定拠出年金、保険の見直し、地方在住者の教育資金など身近なお金に関わること全般。
お金のことは前向きにシンプルに考えることがモットー。
ブログはほぼ毎日更新、専門用語を使わないわかりやすい説明を心がけている。
地元山形の金融リテラシー向上のために日々奔走中。
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ネーミングライツについて
ここ数年、プロ野球やプロサッカーなど、プロスポーツが行われるスタジアムの名前が大きく変わっているのをご存じですか?
例えば「MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島」(広島市民球場)、「福岡 ヤフオク! ドーム」(福岡ドーム)など、プロ野球12球団の本拠地球場のうち、6球団の本拠地球場が「企業名(ブランド名)+スタジアム名」という形になっています。J1リーグでは18チームのホームスタジアムのうち実に14チームのホームスタジアムがこの形になっています。
この「企業名(ブランド名)+スポーツ施設名」という名称は、ネーミングライツによって名付けられています。ネーミングライツ(Naming Rights)とは、スポーツ施設、競技場などの名称にスポンサー企業の社名、ブランド名を付与するもの。「命名権」と呼ばれる広告の1つです。
アメリカでは、1990年代にプロスポーツ施設を中心に、市場が拡大。現在では多くのスポーツ施設の建設や、運営資金の調達の手法として定着しています。日本では2003年3月に「東京スタジアム」が「味の素スタジアム」となった事例が初です。
最近の「話題のネーミングライツ」
サッカーJ1のサガン鳥栖の本拠地「鳥栖スタジアム」の名称が「駅前不動産スタジアム」になりました。愛称は「駅スタ」で、久留米市の不動産会社「駅前不動産ホールディングス」がネーミングライツを取得しました。
契約金額の総額は3年間で9200万円です。サガン鳥栖は昨季、世界的プレイヤーである元スペイン代表フェルナンド・トレス選手を獲得し話題になりました。世界的プレイヤーを獲得できる資金力も備えたクラブです。
この駅前不動産スタジアム(鳥栖スタジアム)はJR鳥栖駅の目の前、名実共に「駅スタ」といえる立地です。このことは、サッカーファンの間で話題となり、ネット上でも企業の知名度向上に繋がりました。
ちなみに、筆者の地元、山形にもサッカーJ2の「モンテディオ山形」というチームがあり、「NDソフトスタジアム山形」とネーミングライツが付与されたスタジアムを本拠地としています。2016年3月1日から2019年2月29日までの3年間、年額2100万円でネーミングライツを取得しています。
私の周りでも「NDスタ」、「NDに行く」(スタジアムに行くこと)と、ネーミングライツがすっかり定着しており、数字には表れませんが企業の知名度向上、イメージ向上に、非常に大きな影響があります。
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ネーミングライツも例外がある
例えば、今年日本で開催されるラグビーワールドカップでは「味の素スタジアム」が使われますが、大会期間中は「東京スタジアム」として使用されます。
ネーミングライツが定着したスタジアムの名前がいきなり変わると、多少の混乱も起きそうです。このように、国際大会では例外的に、ネーミングライツが付与されないケースも出てきます。
ネーミングライツは効果が大きい!
特にサッカーのサポーターは「自分が応援しているチームのスポンサー企業」に対して好意的な印象を抱いている人が多いようです。「チームを応援してくれる、だから企業も応援したい」と思っている人が多いのではないでしょうか。
そういう側面から見るとネーミングライツ取得は、知名度アップという広告効果と、企業の印象を向上させる効果もしっかりありそうです。スポーツ観戦に行く際は、スタジアム名から、ネーミングライツを取得している企業に関心を向けてみると、意外な発見があるかもしれません。
広告効果やイメージ戦略など、企業分析や投資の「ファイナンシャル」な情報収集にも役に立つのでは?
出典:ラグビーワールドカップ2019試合会場
執筆者:大場脩(おおば しゅう)
ファイナンシャルプランナー