「築20年」のマンションに住んでいますが、修繕積立金が「2万円」を超えました。今後はもっと増えることはあるのでしょうか?
配信日: 2025.02.20

最近、「毎月の修繕積立金が2万円を超えた」という声も多く聞かれますが、これは一般的なことなのでしょうか? また、今後さらに値上がりする可能性はあるのでしょうか?
本記事では、修繕積立金が増える理由や今後の見通し、さらには管理組合の対応策について解説します。将来的なコストを見据えながら、どのように備えればよいのかを考えていきましょう。

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修繕積立金が高くなる理由とは?
マンションの修繕積立金は、建物の維持・管理に必要な資金を確保するために設定されています。一般的に、新築時は低めに設定されていることが多く、築年数が経過するとともに増額される傾向があります。
【主な増額の理由】
1. 大規模修繕の実施
マンションは築12~15年頃、そして築30~40年頃に大規模修繕工事が行われることが一般的です。外壁の補修や防水工事、エレベーターの修理など、費用のかかる工事が増えるため、積立金の増額が必要になります。
2. 建築資材や人件費の高騰
近年、建築資材の価格上昇や人件費の高騰が続いており、修繕工事のコストも上昇しています。そのため、当初の積み立て計画では不足し、増額を余儀なくされるケースがあります。
3. 初期設定の修繕積立金が低すぎた
新築マンションの販売時には、デベロッパーが月々の管理費や修繕積立金を比較的低く設定することがあります。
これは、購入者にとって初期の経済的負担を抑え、マンションをより魅力的に見せるための戦略の一つです。しかし、築年数が経過するにつれ、実際の維持費が不足し、増額が必要になるケースが多くみられます。
修繕積立金は今後さらに上がるのか?
結論からいうと、今後さらに増額される可能性は十分にあります。特に築20年を超えたマンションでは、修繕積立金の見直しが頻繁に行われることが多く、以下のような要因でさらに値上がりするかもしれません。
1. 築30年前後の大規模修繕に備える
マンションの30~40年目には、エレベーターの交換、配管の更新、防水工事などの大規模な修繕が必要になります。このタイミングで多額の費用が必要となるため、今のうちに積立金を増額しておく管理組合も少なくありません。
2. 住民の高齢化と資金不足
築20年以上のマンションでは、住民の年齢層も高くなっていきます。その結果、資金負担が難しい世帯が増え、計画通りに修繕費が集まらないケースもあります。そのため、一時金の徴収を避けるために、早めに積立金を増額する方針をとる管理組合も多いのです。
3. 建築基準や設備の更新による影響
新しい耐震基準やバリアフリー改修、省エネ設備の導入など、時代とともに建物に求められる性能が変わります。
加えて、建築資材の価格や人件費、物流コストなどの上昇により、当初の計画では積立金で大規模修繕の費用が賄えない可能性があります。そのため、想定以上の修繕工事が必要となり、結果的に積立金が増えることがあります。
ただし、国土交通省は2024年2月に、修繕積立金の徴収額を段階的に引き上げる場合の増額幅を最大約1.8倍とする方針を示しました。この要件は、マンション管理適正化法に基づく管理計画認定制度にも盛り込まれる予定です。これにより、過度な値上げは抑制される見込みです。
修繕積立金の増額にどう備えるべきか?
修繕積立金の増額は避けられない場合が多いですが、事前に準備しておくことで負担を軽減できます。
1. 管理組合の長期修繕計画書を確認する
まず、管理組合が策定している長期修繕計画書を確認しましょう。そこには、今後の修繕予定や資金計画が記載されているため、どのタイミングでどのくらいの費用が必要になるのかが分かります。
2. 一時金徴収の可能性を把握する
修繕積立金だけでは資金が不足する場合、一時金(臨時徴収)が発生することがあります。例えば、築30年の大規模修繕時に1戸あたり数十万円の負担を求められるケースも見受けられます。このような事態に備え、貯蓄をしておくことが重要です。
3. 他の住民と意見を共有する
修繕積立金の増額については、マンションの住民全員で話し合い、納得のいく形で進めることが望ましいです。管理組合の総会や説明会に積極的に参加し、状況を把握するようにしましょう。
修繕積立金の増額は避けられない? 今後に備えた準備が大切
築20年のマンションでは、修繕積立金が2万円を超えることは珍しくありません。これは、今後の大規模修繕や物価上昇、建物の維持管理費の増加などが影響しているためです。
さらに、築30年を超えるとエレベーターや配管の交換など、より大規模な修繕が必要になるため、今後も増額される可能性は高いと考えられます。
修繕積立金の負担を最小限にするためには、管理組合の長期修繕計画書をしっかり確認し、一時金徴収の可能性にも備えて貯蓄をしておくことが大切です。日頃からマンションの維持管理に関心を持ち、住民同士で情報共有を行いながら、無理のない資金計画を立てることが重要といえるでしょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー