すべり止めの大学に「入学金」を払った後で、「第一志望の大学」に合格しました。その場合、すでに支払った入学金は「返金」してもらえるのでしょうか?
配信日: 2025.02.23

大学は合格発表後に一定期間、入学金の納入期間を設けているため、合格した大学に入学する権利を獲得するためには、納入期限までに入学金を支払う必要があります。
本記事は、大学受験の入学金に関心がある人に向けて、支払い済みの入学金は返金されるか解説していきます。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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支払った入学金は返金されるのか
大学受験で支払った入学金は、返金されるのでしょうか。
平成18年11月27日の「学納金返還請求事件」の判例によると、入学前に入学を辞退したとしても、支払った入学金は返金されません。
大学受験では、入学手続きの期間内に入学金の支払いを含む入学手続きを完了することによって、大学と学生との間に在学契約(実際に学生の身分を得るのは入学年度の4月1日から)が成立します。
原則、学生はいつでも在学契約を解除可能です。そのため、学生が入学前に在学契約を解除した場合には、大学は授業料等を返還する義務を負います。
ただし入学金については、「学生が当該大学に入学し得る地位を取得するための対価としての性質を有するものであり、当該大学が合格した者を学生として受け入れるための事務手続き等に要する費用にも充てられることが予定されているものである」とされています。
したがって、在学契約が解除や失効した場合でも、大学は返還する義務を負いません。
実際に東京都の消費生活に関わる情報サイト「東京くらしWEB」でも、授業料及び諸費用等は返還される義務があるが、入学金の返還義務は否定されていると記載されています。
以上のことから、入学前に入学を辞退した場合には入学金以外の学納金(授業料や施設利用料など)は返金される可能性がありますが、入学金は返金されないということが分かります。
入学金はいくらかかるのか
入学前に入学を辞退しても入学金は返金されません。入学金を支払った後に進学先の大学を変更する場合、返金されない入学金はいくらかかるのでしょうか。
国公私立大学の入学金は、図表1の通りです。なお、国立大学の入学金額は国が示す標準額、公立大学・私立大学の入学金額は平均を記載しています。
図表1
国立大学 | 公立大学 | 私立大学 |
---|---|---|
28万2000円 | 37万4371円 | 24万0806円 |
出典:文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移」、「私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」を基に筆者作成
図表1の通り、入学金を支払った後に入学を辞退した大学が国立大学であれば「28万2000円」、公立大学であれば「37万4371円」、私立大学であれば「24万0806円」の入学金額がそれぞれかかることになります。
既述した通り、記載している公立大学・私立大学の入学金額は平均のため、詳細は各大学のホームページを確認してください。
入学金を余分に払わずに済む方法とは
入学金を余分に払わずに志望度が一番高い大学に入学するには、入学金の納入期間をあらかじめ確認することが大切です。
入学金の納入期間は大学ごとに定められており、通常は、合格発表日から1~2週間後に設定されることが多いです。したがって、試験日の早い大学ほど納入期限も早く到来します。
また、志望度が低い大学の納入期限までに志望度が高い大学に合格すれば、余分な入学金を払わずに済みます。大学受験のスケジュールを決める際には、各大学の入学金の納入期間も調べたうえで決定しましょう。
学納金を支払った後の入学辞退は慎重に決断しましょう
学納金を支払った後に入学を辞退する場合、入学金は返金されませんが授業料等の学納金は返金される可能性があります。入学金の金額は数十万円にもなるため、慎重な決断が必要です。本当に入学したい大学はどこか検討して、そのうえで入学辞退するかどうかを決めましょう。
また、余分な入学金を支払わずに済むように、受験本番を迎える前に各大学の入学金を含む学費の納入期限を調べておき、受験スケジュールを入念に計画することが大切です。
出典
内閣府 学納金返還請求事件(最判平成18年11月27日)
東京都 東京くらしWEB 消費生活相談FAQ一覧 大学に入学金を支払ったが、入学を辞退したので返金してほしい。
文部科学省 国公私立大学の授業料等の推移
文部科学省 私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー