わが家は「17歳・12歳・8歳」の子どもが3人。2025年から「多子世帯の大学授業料が無料」と聞きましたが、全員の学費が無料になりますか? 注意が必要な「子どもの数え方」もあわせて解説
配信日: 2025.02.22

子どもを大学まで卒業させたいと願っている保護者にとっては、現行制度と新制度の概要を知ったうえで教育費用の準備を進めることが大切です。
本記事では、2020年度からすでに始まっている「高等教育の修学支援新制度」と、2025年度から始まる「多子世帯の大学等授業料・入学金の無償化」の概要を紹介します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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2020年度から始まった「高等教育の修学支援新制度」とは
2020年度から、「高等教育の就学支援新制度」が始まりました。これは、学ぶ意欲のある子どもたちを支援するために、授業料・入学金の免除または減免、返還を要求しない給付型奨学金によって大学・短期大学・高等専門学校・専門学校の学費が支援される制度です。
支援を受けられる金額は世帯年収に応じた4段階の基準があります。例えば、4人家族(本人(18歳)、父(会社員)、母(専業主婦)、中学生)で、本人がアパートなど自宅以外から私立大学に通学する場合の年間の支援額は以下の通りです。
・年収約270万円(第I区分、住民税非課税世帯):授業料減免70万円+給付型奨学金91万円
・年収約300万円(第II区分):授業料減免47万円+給付型奨学金61万円
・年収約380万円(第III区分):授業料減免23万円+給付型奨学金30万円
・年収約600万円(第IV区分):多子世帯支援(全額支援の1/4支援)、理工農系支援(私立学校における文系との授業料差額)(※2024年度から創設)
なお、年収はすべて目安なので、自分が当てはまるのか知りたい場合は、進学資金シミュレーターなどで調べてみてください。
2025年度から始まる「多子世帯の大学等授業料・入学金の無償化」とは
上記の修学支援制度は、住民税非課税世帯やそれに準ずる世帯が対象であり、それ以外の世帯は支援を受けられませんでした。一方、2025年度からは「多子世帯の大学等授業料・入学金の無償化」の制度が開始されます。
新制度ではこれまでの所得制限がなくなり、「多子世帯」に該当すれば、国公立大学に入学する場合は授業料約54万円を4年分と入学金約28万円、私立大学では授業料約70万円を4年分と入学金約26万円の支援を受けることができます。
子どもが扶養から外れると多子世帯の対象外になる点に注意
「多子世帯の大学等授業料・入学金の無償化」の対象になるのは、3人以上の子どもを扶養している場合です。
例えば、21歳(大学生)、17歳(高校生)、13歳(中学生)の子どもがいる家庭の場合、本制度によって第1子である21歳の大学生の授業料の教育費負担が減額されます。
また、第2子が18歳で第1子だけでなく第2子も大学生となった場合は、教育費負担が集中することもあり、第1子も第2子もまとめて支援の対象となります。ただし、多子世帯とは「3人以上の子どもが扶養に入っていること」が条件です。
例えば、17歳・12歳・8歳の子どもがいる世帯では、第1子が22歳で大学を卒業して扶養を外れた場合(そのとき第2子は17歳、第3子は13歳)、「3人以上の子どもが扶養に入っている」の条件を満たさなくなり、第2子と第3子は「多子世帯の大学等授業料・入学金の無償化」の対象外となります。
まとめ
「多子世帯の大学等授業料・入学金の無償化」では、家庭ごとの教育費の負担を最大2人までとすることも目的としており、今後は要件を満たす多子世帯の所得に関係なく教育費負担が減免されます。
子どもに大学まで卒業させてあげたいと考えている保護者は特に、制度の最新情報をよく確認しましょう。
出典
文部科学省 高等教育の修学支援新制度
文部科学省 「加速化プラン」による施策の充実 【多子世帯の大学等授業料・入学金の無償化】
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー