高速道路でずっと「右端の車線」を走る車。違反にはならないのでしょうか?

配信日: 2025.02.26

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高速道路でずっと「右端の車線」を走る車。違反にはならないのでしょうか?
高速道路を走っていると、右端の車線を延々と走る車を見かけるときがあります。その車が前方の車と同じくらいの速度で走っていると車線を塞いでしまうため、前方の車を追い越したくてもできなかった経験のある人もいるかもしれません。
 
実はこうした右端車線を常に走る迷惑行為のような運転は、道路交通法に抵触する違法行為なのです。
 
この記事では、右端車線をずっと走る行為が道路交通法違反であること、それに伴う罰則、違法行為とならないケース、また走り続ける安全上のリスクについて解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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2車線以上の道路で右端車線の通行は通行帯違反

車道では車両は左側通行が原則となっています。センターラインのない道路であっても片側1車線の道路であっても左側通行が基本です。
 
道路交通法第20条第1項では「車両は原則として道路の左端の車両通行帯を通行しなければならない」と定められています。
 
速度に応じて右端以外の車線を利用できるという規定から、複数車線ある場合でも、基本は右端以外の左側の車線を使う必要があります。右端の車線は、速度の速い車が追い越しや追い抜きに利用するためのものとなり、通常の走行には適していません。
 
片側2車線の道路では左側が走行車線であり、右端は追い越しなどを目的とした車線となります。片側3車線となれば、左側と真ん中の車線が走行車線です。このように、車線数が多くなっても、基本的には右端が追い越しなどのためであり、通常はその車線より左側を走行するように定められています。
 
例えば、2車線の高速道路で前を時速70キロメートルでゆっくり走る車がいたため、右側車線に移って追い越しを行ったとします。そのまま前に車がいなかったため、上限速度のまま、左側車線の車をずっと追い抜きながら5キロメートルほど走っていると、いきなり警察車両に止められてしまうかもしれません。
 

首都高速道路のように左右両方から車が流入する道路でも第20条は適用される

高速道路によっては、左右両側から車が流入する場合があります。右端から流入すれば、そのままの流れで走行してしまうかもしれません。しかし、例えそのような道路構造をしていたとしても第20条は適用されるため、速やかに左側車線に移るべきです。
 
これらの高速道路では「追い越し車線」という名称が一番右端の車線には付けられていないようです。そのため「右端車線をずっと走ってもよい」と考えてしまうかもしれません。しかし、右端の走行車線は通常走行するための車線ではないため、取り締まりの対象になります。
 

追い越し車線の使用が認められる場合

道路交通法第20条第2項および第3項の規定によると、追い越し車線の使用が認められるのは、以下のような場合となるようです。
 

・道路標識などで、第1項の規定とは違う通行区分として指定されている場合(第20条第2項)
・前を走っている車を追い越す場合(第20条第3項)
・道路外に出るために右折する場合(第25条第2項)
・交差点で右折する場合(第34条・第35条の2)
・緊急自動車に一時的に道を譲る場合(第40条)

 
このような正当な理由がある場合以外では、右端の車線を常時走行するのは避けるべきでしょう。
 

通行帯違反による罰則

通行帯違反の罰則は、道路交通法第120条に基づき、最大で5万円の罰金が科される可能性があります。また、過失による違反であっても、同様の罰則が適用されるとされています。
 
ただし、実際の取り締まりでは、刑事罰として逮捕されるわけではありません。交通反則通告制度における「通行帯違反」として扱われます。この制度では、違反点数が1点加算され、反則金は大型車で7000円、普通車や二輪車では6000円が科されると定められています。
 

右端の車線を走り続ける安全リスク

右端の車線を走り続ける方は、ただまっすぐ走っているだけなので危険性はないだろうと考えるかもしれません。しかし、以下のような安全リスクがあります。
 

・ほかの車両の円滑な追い越しを妨げてしまい、交通の流れを悪化させる。
・ほかの車両が左側から追い越そうとする可能性が高まり、事故を誘発する危険性が増加する。
・後続車によるあおり運転を誘発してしまうおそれがある。

 
このようなリスクを避けるためにも、前を走る車を追い越したら、早いうちに左側の車線に戻ることが重要です。
 

右端の車線をずっと走るのは通行帯違反!安全リスクからも追い越しが終われば速やかに走行車線に戻ろう

高速道路の右端の車線をずっと走り続ける運転は、道路交通法第20条第1項の違反に該当する可能性があります。交通反則通告制度の対象となり、違反点数1点、反則金6000円が科されることもあります。それだけでなく、安全面でもリスクが高く、事故につながる危険な運転といえるでしょう。
 
「前に車がいないから大丈夫」ではなく、周囲に迷惑をかける行為と考え、できるだけ早く左側の走行車線へ戻ることが重要です。右端の車線を継続して走行することは避け、安全な運転を心がけましょう。
 

出典

e-Gov法令検索 道路交通法(昭和三十五年法律第百五号) 第二十条
e-Gov法令検索 道路交通法(昭和三十五年法律第百五号) 第二十五条
e-Gov法令検索 道路交通法(昭和三十五年法律第百五号) 第三十四条
e-Gov法令検索 道路交通法(昭和三十五年法律第百五号) 第四十条
e-Gov法令検索 道路交通法(昭和三十五年法律第百五号) 第百二十条
警視庁 交通違反の点数一覧表
警視庁 反則行為の種別及び反則金一覧表
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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