最近「支払いが現金のみだから安い!」というスーパーを発見! 店側にとって「キャッシュレス決済」は手数料がかかって損なの? 消費者のメリットもふまえ解説
配信日: 2025.03.02 更新日: 2025.03.03

「現金だから安い」と宣伝するお店もあるくらいです。それほどキャッシュレス決済はお店の負担になるのか、現金決済のみの店舗で買い物をしたほうがお得なのか、本記事で考えていきます。

執筆者:浜崎遥翔(はまさき はると)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
キャッシュレス決済を導入するお店の負担は?
キャッシュレス決済を導入するお店が負担するコストは、大きく2つ、初期費用と月々の運用費用に分けられます。
初期費用は決済端末の購入や導入にかかる工賃などで、一般的な相場は数万円です。決して小さな負担ではありませんが、一度支払えば終わるため、全体のコストとしては軽微といえます。
店舗にとって本当に負担が大きいのは、毎月発生する運用費用です。決済端末がレンタルの場合は利用料がかかり、売上を受け取る際の振り込み手数料が発生します。そして、それ以上に大きいのは決済手数料で、一般的に約3%に設定されていることが多いようです。
例えば、100万円の売上で3万円、500万円の売上で15万円といった具合で、キャッシュレス決済のコストの大部分は、この決済手数料が占めているのです。
経済産業省の推計によると、2023年のキャッシュレス決済比率は39.3%となっています。売上の約4割がキャッシュレス決済であり、決済手数料が3%のお店を考えると、売上全体の約1.2%を決済手数料として支払っている計算になるのです。
このため、キャッシュレス決済を導入せず現金払いのみとし、コストを抑えた分を価格に反映させるならば、1%程度の値引きを実現できる余地が生まれます。
キャッシュレス決済を利用するメリットとお店の狙い
では、高いコストを払ってキャッシュレス決済を導入するお店の狙いはなんでしょうか。キャッシュレス決済を使う消費者のメリットから考えてみましょう。
キャッシュレス決済を使うメリットには、ポイント還元や利便性の向上などが挙げられます。クレジットカードやQRコード決済を利用すると0.5%から1%前後のポイント還元を受けられるのが一般的です。これを目的に、少額の買い物でもキャッシュレス決済を使う人は珍しくありません。
また、現金を持ち歩く必要がなく、財布を出さずにスムーズに決済できるという点も大きなメリットです。
キャッシュレス決済を導入することで、こうしたメリットを重視する消費者を引き込むことが、お店側の利益につながります。コストがかかっても、それ以上に売上を伸ばしたいという狙いがあるのです。
また、キャッシュレス決済を導入することで、会計時間を短縮できるほか、レジ内の釣り銭両替の頻度を減らせるため、業務負担の軽減や人件費の圧縮にもつながります。
キャッシュレス決済の導入は、必ずしもコストばかりではないのです。
現金派とキャッシュレス派、どちらを選ぶ?
キャッシュレス決済を導入することで、店舗側には決済手数料などのコストが発生します。現金決済のみの取り扱いとすることで、決済手数料分を消費者に還元できるため、商品を「安く」提供できるのです。
一般的な決済手数料は3%、キャッシュレス決済の利用率は4割程度なので、約1%程度の値引きを期待できます。
一方で、キャッシュレス決済を導入する店舗は、ポイント還元や利便性を求める消費者を引き込むことが狙いです。キャッシュレス決済を利用する消費者はポイント還元や利便性の恩恵を受けられます。その代わりに決済手数料分が価格に上乗せされるため、キャッシュレス決済対応店舗で現金支払いするのは少し損なのかもしれません。
どちらの決済方法を選ぶかは人それぞれです。キャッシュレス非対応のお店で現金を使って安く買うのか、キャッシュレス対応店舗でポイントを貯めるのか、それとも使い分けるのか……自分に合った支払い方法を選ぶのが賢い選択といえるでしょう。
出典
経済産業省 2023年のキャッシュレス決済比率を算出しました
執筆者:浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士