「私も受験したい」と公立小学校に通う娘が発言! クラスの半数が「中学受験」をするそうですが、40代の私の時代は「クラスで1人」ほどでした。なぜこんなに増えてるの? 近年の“中学受験の実態”について解説
配信日: 2025.03.05

ある日突然、小学生の子どもから言われたら、驚いてしまうかもしれません。
親世代にとって、中学受験はクラスに数人いる程度という学校が多かったのではないでしょうか? しかし、今ではクラスの半数ほどが受験をする地域も少なくないほど、その状況は変わっています。
実際、首都圏での中学受験の志願者数はわずかに減少する年があるものの、2014年以降、年々増加しています。なぜこれほどまでに中学受験が身近になったのでしょうか。
本記事では、近年の中学受験の実態について解説し、受験者数が増えている理由や、中学受験のメリットについて詳しく説明します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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中学受験の志願者数はどれぐらい増えている?
近年の私立・国立中学校の生徒数で比較してみましょう。1990(平成2)年は、私立・国立中学の生徒数が約23万9000人(私立20万3000人+国立3万6000人)でしたが、2022(令和4)年には約27万3000人(私立24万6000人+国立2万7000人)へと増加しました。
一方で、小学校全体の児童数は1990年の937万人から2022年の615万人へと約35%減少しています。それにもかかわらず私立・国立中学に通う生徒数は増えており、内部進学者を差し引いたとしても、少子化の中でも中学受験をしている人の割合が増加していると考えられます。
特に首都圏などの都市部では、中学受験の志願者数が多い傾向にあり、クラスの半数が受験する学校も珍しくないのかもしれません。
中学受験の志願者数が増えている理由は?
中学受験の志願者数が増加している背景には、学校数の増加、大学進学率の上昇、そして大学入試改革の影響があると考えられます。
まず、私立中学校の数は1990年の609校から2022年には780校へと増加しています。これは、私立中学校への需要の高まりとも捉えることができるでしょう。一方で、国立中学校は1990年の78校から2022年には68校へと減少しており、以前と比べて受験できる学校数は限られています。
また、4年制大学への進学者数は1990年の48万人から2019年には63万人へと増加しており、さらに、短期大学よりも4年制大学を目指す流れが強まっています。こうした大学進学の変化を見据え、早い段階で進学準備を始めるために中学受験を選択する家庭が増えていると考えられます。
加えて、私立・国立中高一貫校の中には、大学入試改革に対応すべく、探究型学習や英語教育が充実している学校もあります。そうした環境を重視する家庭にとっては、中学受験が選択肢の1つとなり、受験者数の増加につながっているといえるでしょう。
中学受験をすることのメリット
中学受験をすることで、大学進学を見据えた環境で学べるというメリットがあります。特に私立・国立中高一貫校では、高校受験がないため、6年間を通じて計画的な学習ができる点が魅力です。また、一部の学校では探究型学習や英語教育に力を入れていることもあり、将来の進学やキャリアに役立つスキルを身につける機会が増えそうです。
さらに、私立中学校の数が増えたことで選択肢が広がっているため、子どもに合った学校を選びやすくなっていることもメリットの1つです。また、私立大学の入学定員管理が厳格化されたことで、一般入試の競争が激しくなっています。
そのため、附属校に入学し、内部進学制度を利用して進学を目指すという考えをもつ家庭もあるでしょう。内部進学の基準は学校によって異なりますが、一般受験と比べると有利な傾向にあることが一般的です。
まとめ
このように、中学受験は、その先の大学進学を見据えた選択肢として、より一般的になりつつあります。特に、私立大学の入試が厳しくなる中では、附属校からの進学ルートを確保する目的で受験する家庭もあります。
とはいえ、まだ12歳の子どもにとっては毎日の受験勉強が負担になることもあるので、無理は禁物です。進路の多様化が進む中、それぞれの家庭の状況や子どもの適性を考えた上で、最適な選択をすることが大切です。
出典
文部科学省 文部科学統計要覧(令和5年版)
文部科学省 9.大学入学者数等の推移
文部科学省 大学入試改革の現状について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー