子どもが「私立大学」へ進学希望だけど、学費「500万円」以上が必要! 子どもに「奨学金」で借金を背負わせたくないのですが、ほかに学費を用意する方法はないのでしょうか…?
配信日: 2025.03.12

預貯金など学費の準備が不足していると、不安を感じる親は多いでしょう。ただ、親心として「奨学金の借金を背負わせたくない」と思う人もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、子どもが大学に進学するためのお金を奨学金以外で用意する手段を3つ紹介します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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国の教育ローンを使う
教育一般貸付(国の教育ローン)は、日本政策金融公庫と、沖縄振興開発金融公庫が取り扱う教育資金の貸付に関する制度です。
融資対象は学生・生徒の保護者であり、入学金や授業料などの融資を受けることができます。
ローン契約時に決められた金利が返済期間中は続く「固定金利型」であり、2025年2月14日時点の金利は年2.65%です。ひとり親家庭など教育費負担の重い家庭には金利引き下げの優遇措置もあり、民間の金融機関と比べて低金利で借入できます。
融資上限額は350万円(一定の要件に該当する場合は子ども1人につき上限450万円)と高額の融資を受けることができ、返済期間も18年以内と長期で返済できることから毎月の返済額を比較的安く抑えられる点もメリットです。
修学支援新制度を利用する
2020年4月から、高等教育の修学支援新制度が始まっています。世帯年収などの条件を満たせば、学費の大半を負担せずに子どもを大学に通わせることもできます。
支援は給付型奨学金と授業料の減免によるため、学生が将来的に返済する必要がない点がメリットです。
ただし、世帯年収によって支援を受けられる金額が異なります。
例えば、4人家族(本人=18歳、父=会社員、母=専業主婦、中学生)で、本人がアパートなど自宅以外から私立大学に通学する場合の年間の支援額は以下の通りです。
●年収約270万円まで(第I区分、住民税非課税世帯):授業料減免70万円+給付型奨学金91万円
●年収約300万円まで(第II区分):授業料減免47万円+給付型奨学金61万円
●年収約380万円まで(第III区分):授業料減免23万円+給付型奨学金30万円
●年収約600万円まで(第IV区分):多子世帯(扶養する子が3人以上)支援(全額支援の1/4支援)、理工農系支援(私立学校における文系との授業料差額)(※2024年度から創設)
※年収は全て目安
さらに2025年度からは多子世帯の場合、入学金26万円と授業料70万円(年額)の支援が受けられます。年収による制限はありません。
直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税制度を利用する
親世代に預貯金がなく子どもの教育費用を用意できないなどの場合、祖父母などの「直系尊属」から教育費用の贈与を受ける方法もあります。
親や祖父母などの扶養義務者から、子や孫がもらった教育費や生活費で「通常必要と認められるもの」については贈与税の課税対象ではありません。ただ、まとめて教育資金の贈与を受けた場合、年間110万円を超えていて、すぐに教育費用として充当されない分は贈与税の対象になります。
そこで利用を検討したいのが「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税」制度です。親や祖父母といった直系尊属から30歳未満の子・孫へ教育資金を贈与した場合、その分の贈与税が非課税になります。
非課税限度額は最高1500万円です。
ただし、贈与を受けた子や孫が30歳になったとき、教育資金口座に関する契約は終了し、口座に残っていたお金は贈与税の対象となるため注意が必要です。
まとめ
親の貯金だけで子どもの学費を賄えない場合でも、奨学金以外にお金を工面できる方法はいくつもあります。
ただし、それぞれの制度には利用時の注意点もあるため、自身や各家庭に合う制度を選択することが重要です。各制度のメリット・デメリットを把握したうえで、子どもの入学に間に合うように学費の準備を進めていきましょう。
出典
文部科学省 令和5年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金等平均額(定員1人当たり)の調査結果について
株式会社日本政策金融公庫 教育一般貸付(国の教育ローン)
文部科学省 高等教育の修学支援新制度
国税庁 No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー