「シングルマザーの手当が充実している」と聞きましたが、具体的にどのようなものがあるのでしょうか? 貯金はできるのでしょうか…。
配信日: 2025.03.12

ひとり親世帯の悩みにはさまざまなものがあるかもしれませんが、収入面に苦労している方も多くおられるでしょう。本記事では、ひとり親世帯が利用できる手当や制度について解説します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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ひとり親世帯が利用できる手当や制度
ひとり親世帯が利用できる手当や制度はいくつかあるため、それぞれについて解説していきます。
児童扶養手当
児童扶養手当は、ひとり親世帯で養育される子どもが、安定した生活を送るために支給される手当です。支給額は子どもの人数や養育者の所得によって変わるほか、物価の変動などに応じて毎年改定されます。
2025年3月10日時点での支給額は月額4万5500円で、奇数月に2ヶ月分ずつ支給されます。なお、この支給額は子どもが1人であり、所得が制限額未満である場合の金額です。
児童扶養手当の対象者は養育者ですが、手当を受けるためにはいくつかの条件があります。そのひとつとして、養育している子どもが「18歳に達する日以降の最初の3月31日までにある子ども」である必要があります。
児童育成手当
国の制度である児童扶養制度とは異なり、児童育成手当は東京都独自の制度です。都外に住んでいる方は支給対象外であることに注意してください。
児童育成手当の対象者になるためにも、いくつかの条件があります。子どもの年齢制限は児童扶養手当と同様に「18歳に達する日以降の最初の3月31日まで」です。ただし、養育者の所得制限があるため、限度額を超える所得があれば支給額が減額されます。
また、児童育成手当の全額支給額は、子ども1人につき月額1万3500円です。なお、支給日は毎年2月と6月、10月となっており、それぞれ4ヶ月分の児童育成手当が支給されます。
各自治体の住宅手当
各自治体では、ひとり親世帯に対して家賃負担を補助することを目的とした住宅手当が支給されます。支給条件や支給額、制度の名称などは自治体によって異なります。
ただし、自治体によっては、制度がないこともあるため注意してください。制度の有無や詳細は、居住する自治体の窓口などで確認してみてください。例えば、東久留米市の場合はひとり親家庭住宅手当という名称で、月額3500円を2月と6月、10月に4ヶ月分まとめて支給しています。
ひとり親家族等医療費助成制度
ひとり親家族等医療費助成制度は、養育者や子どもが医療機関を受診した際の医療費の自己負担分を自治体が助成する制度です。助成を受けるための条件や対象者、助成内容などは各自治体によって異なります。
例えば、東京都の場合は住民税課税世帯の負担割合が1割となり、住民税非課税世帯においては自己負担がありません。
ひとり親世帯の収入状況
厚生労働省が発表した「令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」には、令和2年におけるひとり親世帯の年間の収入状況が記載されています。
同調査によると、母子家庭における母自身の平均年間就労収入は236万円、世帯での平均年間収入は373万円となっています。父子世帯では、父自身の平均年間就労収入が496万円、世帯での平均年間収入は606万円です。
この結果から、母子家庭と父子家庭では大きな収入差があることが分かります。なお、平均世帯人員では、母子家庭が3.18人、父子家庭が3.41人となっており、大きな差はありません。
家庭における収支状況は世帯によって異なります。そのため、ひとり親世帯に向けた手当を利用できたとしても、貯金できるかどうかは各世帯の収支状況次第といえるでしょう。
国の制度は児童扶養手当
国の制度である児童扶養手当をはじめ、ひとり親世帯を支援する制度はいくつかあります。
ただし、児童育成手当が東京都独自の制度であるように、ひとり親世帯を支援する制度の有無や内容は各自治体によって異なります。居住する自治体で利用できる制度がないかどうか、問い合わせてみてください。
出典
東京都福祉局 児童扶養手当
八王子市 児童育成手当(育成手当)
東久留米市 ひとり親家庭住宅手当(市の制度)
東京都福祉局 ひとり親家庭等医療費助成制度(マル親)
こども家庭庁 令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果報告
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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