派遣先が合併! 派遣社員は知っておきたい個人の期間制限と合併の問題
配信日: 2019.03.02 更新日: 2019.06.19
「事業所単位」と「個人(組織)単位」、どちらか一方でも「期間制限に抵触する日」が到来してしまうと、基本的に派遣社員は該当する事業所、あるいは組織単位において就労することができなくなってしまいます。つまり、抵触日とは「派遣期間制限が切れた翌日」となります。
派遣先となっている会社がほかの会社と合併してしまった場合、これらの期間制限はどのように取り扱われるのでしょうか。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
前提知識(1)事業所単位の期間制限とは
「事業所単位の期間制限」とは、「同一の事業所(工場や事務所、店舗など)」が、派遣社員を受け入れられる期間は最長3年までという期間制限のこと言います。
例えば、2017年10月1日に派遣社員を初めて受け入れた事業所では、2020年9月30日までしか派遣社員を受け入れてはならないということです。
ただ、この期間制限は意見聴取手続きをとることで、3年を限度に延長することができます。意見聴取手続きの回数に制限はなく、何度でも延長することができます。
前提知識(2)個人(組織)単位の期間制限とは
「個人(組織)単位の期間制限」とは、「派遣社員個人」が、同一の組織単位(課や部など)で働くことができる期間は最長3年までという期間制限のことを言います。
こちらは前提知識(1)で説明した「事業所単位の期間制限」と異なり、意見聴取による延長という手続きはありません。
派遣先が合併した場合の「事業所単位の期間制限」は?
基本的に派遣先が合併した場合、各種の期間制限は合併前のものがそのまま引き継がれます。
その際、合併対象となる事業所ごとに期間制限となる日(抵触日)が異なる場合には、その事業所の中で「一番早く到来する抵触日」が新しい事業所の抵触日となります。
例えば、A事業所(2020年10月1日が抵触日)とB事業所(2019年9月1日が抵触日)が合併した場合で考えてみましょう。この場合、一番早く到来する抵触日であるB事業所の抵触日(2019年9月1日)が新しい事業所の抵触日となるのです。
このとき、既に抵触日を迎えていた事業所が意見聴取手続きを行わないまま合併してしまうと、合併した日から期間制限に違反することもありえます。
派遣先が合併した場合の「個人(組織)単位の期間制限」は?
「個人(組織)単位の期間制限」については「事業所単位の期間制限」と異なり、従前の抵触日がそのまま引き継がれるというわけではありません。
「個人(組織)単位の期間制限」における「組織単位」とは、組織構成や指揮命令系統、業務内容などによって同一の組織単位とみなされるか否かを判断します。
上記の点に変更がない場合や、変更があったとしても実質的には従前の組織単位と同一であるような場合には、従前の個人(組織)単位における抵触日がそのまま引き継がれます。
派遣先の期間制限に注意
派遣先の会社が合併することで各種抵触日が早まったり、逆に抵触日の到来が遅くなることがあります。
どちらにせよ、派遣社員にとって事業所単位の抵触日と個人(組織)単位の抵触日は重要な期間制限であり、抵触日を迎えると、派遣社員は就労することができません。
自分の抵触日について常に確認しておくことはもちろん、合併の前には抵触日がどうなるのか、派遣先あるいは派遣元となる会社へ事前に確認しておくようにしましょう。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士