30代会社員、子どもが3人います。多子世帯への教育費支援にはどのようなものがありますか?
配信日: 2025.03.17


執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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保育料
幼児教育・保育の無償化制度により、幼稚園、保育所、認定こども園等を利用する3歳から5歳までのすべての子どもたちの利用料、および0歳から2歳までの住民税非課税世帯の子どもの保育料が無償化されています。
ただし、保育料の無償化には上限があります。幼稚園は月額2万5700円が上限です。認可外保育園の3歳から5歳までは月額3万7000円、0歳から2歳までの住民税非課税世帯の子どもは月額4万2000円が上限となっています。
0歳から2歳までの保育料は国が定める上限額の範囲内で、認定区分や保護者の所得(市町村民税所得割課税額等)に応じてそれぞれの市区町村が定めます。
保育所等を利用する利用する子どもが3人以上いる場合の保育料は、0歳から2歳までの第2子は半額、第3子以降は無料です。ただし、食材料費、通園送迎費、行事費、延長保育料などは、これまでどおり保護者の負担になります。
具体的な支援の詳細はお住まいの市区町村にご確認ください。
児童手当・児童扶養手当
児童手当は高校生までの子どもを養育している方(所得制限なし)に支給される手当です。支給月額は3歳未満が1万5000円、3歳以上高校生年代までが1万円です。第3子以降は3万円となります。一方、児童扶養手当は、高校生までの子どもを養育しているひとり親家庭に支給される手当です。
支給月額は所得に応じて全部支給が4万5500円、一部支給が4万5490円から1万740円です。2人目は全部支給が1万750円、一部支給が1万740円から5380円加算されます。3人目以降は1人につき2人目と同額が支給されます。
高校生等奨学給付金
高校の授業料への国の支援として、高等学校等就学支援金があります。一方、高校生等奨学給付金は、教科書費、教材費など、授業料以外の教育費を支援する返還不要の給付金です。生活保護世帯、住民税所得割が非課税の世帯が対象です。
第2子以降(15歳以上23歳未満の兄弟姉妹がいる場合)は、第1子よりも給付額が高くなっています。例えば、非課税世帯の私立に通う第1子の給付額(年額)は14万2600円ですが、第2子以降には15万2000円が給付されます。
高等教育の修学支援新制度
修学支援新制度(大学無償化制度)は、住民税非課税世帯および準じる世帯の意欲ある子どもたちの大学等進学を後押しするため、「授業料・入学金の免除または減額」と「返還を要しない給付型奨学金」を支給する制度として2020年4月に開始しました。
2024年度からは、多子世帯(扶養する子どもが3人以上いる世帯)や私立の理工農系の学部等に通う学生等の中間層への支援を拡大しました。
また、2025年度からは、さらに多子世帯の学生等についての支援を拡充し、大学等の「授業料・入学金」に関して所得制限なく全額支援(上限あり)することになりました。例えば、私立大学に通う場合、授業料最大70万円・入学金最大26万円が減額されます。
まとめ
教育費負担軽減制度は申請しないと利用できませんので忘れずに申請してください。なお、国の支援に上乗せした支援を行う自治体もあります。それぞれの進学のタイミングで最新の情報をお住まいの自治体のホームページで確認しましょう。
出典
こども家庭庁 よくわかる「子ども・子育て支援新制度」
こども家庭庁 児童手当制度のご案内
こども家庭庁 児童扶養手当について
文部科学省 高校生等への修学支援
文部科学省 高等教育の修学支援新制度
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。