業者から「分電盤の点検に行く」と電話があり、点検後「すぐに交換しないと火事になる」と言われて交換契約をしたのですが、高額なのでやめることはできますか?

配信日: 2025.03.20 更新日: 2025.03.21

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業者から「分電盤の点検に行く」と電話があり、点検後「すぐに交換しないと火事になる」と言われて交換契約をしたのですが、高額なのでやめることはできますか?
ひとり暮らしのAさんに、業者から「分電気の点検に行く」と電話がありました。その業者は、Aさんが契約している電力会社から委託されたと言うので、信用して、後日点検に来てもらいました。
 
点検後、「すぐに交換しなければ漏電して火事になる」と言われ、火事になっては困るので交換の契約をしました。その金額約23万円。高いと思いましたが、安全のためには仕方がありません。
 
しかし、念のために契約している電力会社に聞いたら、なんと「その業者とは関係がない」と言われてしまいます。解約できるのでしょうか。
林智慮

執筆者:林智慮(はやし ちりよ)

CFP(R)認定者

確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。

分電器の点検商法が急増

無料点検を持ち掛け、点検後に「修理をしないと大変なことになる」と消費者の不安な気持ちをあおり、高額な工事の契約を結ばせるのが『点検商法』です。これまで問題にされたものには、「無料で屋根の点検をしますよ」と言って、点検後に高額なリフォーム工事を迫る事例があります。
 
2024年は、分電盤の交換を迫る点検商法についての相談が消費者センターに寄せられており、2024年11月30日時点で2023年の同期の25倍となっています。
 

 

4年に1回の法定点検を利用した手口

分電盤などの家庭用の電気設備は一般用電気工作物とされ、電力会社(一般送配電事業者)には4年に1回以上、調査(点検)を実施することが法律で義務づけられています。
 
法定点検は無料で、調査員証を持っている登録調査機関の調査員が点検します。点検の際は事前に法定点検に関する周知を確認し、相手の所属だけでなく点検の目的や根拠についても示してもらうと安心です。
 
実際は、電力会社から委託を受けた各登録調査機関が無料で調査を行っています。だまそうとする業者は、電力会社や委託を受けた登録業者をかたって電話をかけてきます。
 
電話を受けた側は、自分が契約している電力会社の名前を出されると、どこの誰か分からない業者ではないので信用してしまいますし、「点検は無料」と言われると心のハードルが下がります。
 
しかし、点検に来たら最後。「古いから交換したほうが良い」「漏電する可能性がある」と不安にさせて、分電盤の交換契約を急がせます。
 
「漏電で火事になったら火災保険が下りない」「15年ごとに交換が必要と法律で決められている」など、噓八百を並べて、さらなる追い打ちをかけてきます。
 

ココでうそを見破ろう

もし火事になったらと心配ですよね。しかし、法定点検の場合、点検後にその調査員が工事契約の話を持ち掛けることは決してありません。よって、工事の点検後に「すぐに工事をしないと……」と工事の契約をせかされたら、それは詐欺です。
 
そして、住宅用分電盤の交換時期を決めた法律はありませんし、火災保険の補償内容は保険会社によって異なります。工事の契約を結ぶ前に、冷静になりましょう。
 
まず、分電盤の点検に来ると言われたら、その業者が委託業者かどうかを電力会社で確認しましょう。また、実際の点検の際は近所も回るので、近所の人にも確認すると良いでしょう。
 
点検を委託された事業者は、必ず法定点検の際に身分証を身につけています。点検時に業者が来たら、まず身分証を確認しましょう。
 
以上の点に注意することで、だまされることが少なくなります。まずは、法定点検をしっかり受けましょう。分電盤は経年劣化による故障の可能性があります。分電盤の故障は火事等の事故につながるおそれがありますので、十分注意しましょう。
 
もし交換が必要と言われても、本当に交換が必要かどうか確認したいのであれば管轄の電力会社(一般送配電事業者)など、地域の電気工事業工業組合等に相談すると良いと思います。すぐに工事の契約しないようにしましょう。
 
また、交換する際は、複数の業者から見積もりを取りましょう。分電盤の交換は、電気工事士の資格が必要な工事ですので、信用できる業者に依頼することも重要です。
 

Aさんは解約できる?

ところで、業者に交換をせかされて契約してしまったAさんは、解約ができるのでしょうか。
 
業者が電話をしてきてからの訪問でも特定商取引法の訪問販売と考えられるので、法定書面を受け取った日から8日間であれば、クーリング・オフできます。書面またはメールなどの電磁的方法により、速やかに業者に通知しましょう。
 
期間が過ぎてしまっても、契約の重大な部分について事実と違うことを告げられて、消費者が間違えて契約してしまった場合、誤認したことに気がついてから1年、最長で契約から5年間、契約の取り消しができます。
 
だまされた! と気づいたら、すぐに消費者ホットライン(188)へ相談しましょう。
 

出典

独立行政法人国民生活センター 「分電盤の点検に行きます」の電話から始まる勧誘に注意 – 2024年度に急増しています -(令和7年1月15日報道発表資料)
警視庁 点検商法
消費者庁 特定商取引法ガイド 特定商取引に関する法律・解説(令和5年6月1日時点版) ※令和6年3月19日形式上の修正。
 
執筆者:林智慮
CFP(R)認定者

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