「運賃が安くなりますよ」と、タクシーが「コンビニの駐車場」を突っ切り! 信号待ちを時短できるらしいけど、“コンビニワープ”は本当に問題ない? ペナルティもあわせて解説
配信日: 2025.03.27

本記事では、俗に「コンビニワープ」とも呼ばれるこの行為について、交通規則やそのほかの法律、安全性の観点から問題はないのか解説します。

執筆者:浜崎遥翔(はまさき はると)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
「コンビニワープ」は違法?
赤信号を回避するためにコンビニや飲食店の駐車場を通り抜ける行為自体を、直接取り締まる法律はないとされています。このことから、コンビニワープは「マナーの問題」なのかと思うかもしれません。
しかし、違法性が全くないわけではなく、場合によっては法律違反となります。コンビニワープは「マナーの問題」では済まされないのです。具体的には、以下の3つの違反に該当し、罰せられる可能性があります。
一時不停止違反に該当する可能性
道路交通法第17条第2項では、「車両は歩道や道路外の施設(駐車場など)に出入りする際、直前で一時停止し、歩行者の通行を妨げてはならない」と定められています。駐車場を通り抜ける際は、歩行者の有無にかかわらず歩道の手前で一時停止する必要がありますし、歩行者がいる場合は歩道を譲らなければいけません。
違反して取り締まりを受けると、反則点数2点と反則金(普通車で7000円)が科せられます。
建造物侵入罪に問われる可能性
コンビニの駐車場は店舗の利用者が使用するためのスペースです。駐車する意思もなく抜け道として利用すると、建造物侵入罪(刑法第130条)に問われる可能性もあります。この罪に該当することで、3年以下の懲役または10万円以下の罰金が科せられるかもしれません。
事故を起こせば過失運転致死傷罪に問われる
通り抜けの際に、万一人身事故を起こせば過失運転致死傷罪に問われます。コンビニの駐車場のような私有地でも成立するものです。
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律の第5条では、「自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮、または100万円以下の罰金に処する」と定められています。
自分が運転する場合も「コンビニワープ」は避けるべき
「タクシー運転手がやっていたし、少しくらいなら問題ないのでは? 」と思ってしまう人もいるかもしれませんが、コンビニワープは避けるべき行為です。
駐車場は歩行者が多く、特に小さな子どもや高齢者が車の陰から突然飛び出してくることもあります。駐車場内の運転では、道路以上に慎重な運転が求められるはずです。
しかし、コンビニワープは赤信号の待ち時間を短縮する目的で通過することから、それなりにスピードが出ていることも想定されますし、「時間がない」と焦っている場合は周囲への注意が散漫となってしまうでしょう。
短縮できる時間はせいぜい数十秒から数分で、大きなメリットにはなりません。たったこれだけの時間を短縮するために、事故のリスクを高め、法律違反に問われる可能性を負うのは合理的とは言えないでしょう。
信号待ちは誰にとっても避けられないものですが、それを回避するために危険な行為を選んでしまっては本末転倒です。時間短縮よりも、安全な運転を優先することが何よりも重要です。
信号待ちを避けるための「近道」が危険を生む
コンビニワープは一見便利な抜け道のように思えますが、法律違反に問われる可能性があり、事故のリスクも高い危険な行為です。法律的な観点でも、マナーや安全性の観点でも避けるべき行為と言えるでしょう。
さらに、得られる時間短縮は数十秒から数分程度であり、リスクに見合うものではありません。特に急いでいるときこそ、安全運転を最優先に考えましょう。
出典
e-Gov 法令検索 道路交通法
警視庁 交通違反の点数一覧表
警視庁 反則行為の種別及び反則金一覧表
執筆者:浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士