子どもが春から「大阪」の大学に進学! 名古屋の自宅から新幹線で「往復3時間」だけど、1人暮らしより節約できる?「定期代・1人暮らしの費用」を比較
配信日: 2025.03.27

今回のケースのように、名古屋の実家に住んでいて大阪の大学に進学することになった場合、大阪で一人暮らしをするよりも、名古屋から新幹線通学をしたほうが安く済むという可能性があるのでしょうか。
本記事では、新幹線通学と大阪での一人暮らしについて、それぞれの費用とメリット・デメリットについて解説します。

執筆者:古澤綾(ふるさわ あや)
FP2級
新幹線通学の費用はどれくらい?
名古屋から大阪(新大阪)までの新幹線通学を考える際、定期券の利用が一般的です。大学生の場合、通学定期券「FREXパル」を利用できます。名古屋・新大阪間の定期券代は以下の通りです。
・1ヶ月定期券:9万5060円
・3ヶ月定期券:27万1000円
新幹線の通勤・通学定期券では、「のぞみ」「ひかり」「こだま」の自由席に乗車できます。名古屋駅から新大阪駅までの所要時間は約50分です。ただし、自宅から名古屋駅、そして新大阪駅から大学までの移動時間も考慮すると、片道1.5~2時間程度かかる可能性があります。
一人暮らしの費用はどれくらい?
2023年に実施した全国大学生活協同組合連合会の調査によると、大学生が一人暮らしをする場合の平均費用は、図表1のようになっています。
図表1
全国大学生活協同組合連合会 第59回学生生活実態調査 概要報告 を基に筆者作成
一人暮らしの大学生の毎月の生活費は約11万円です。ただし、住居費は地域や物件の条件によって大きく変動します。大阪市内の一人暮らし向け賃貸住宅の家賃相場は、6万5000円前後ですが、大学周辺には学生向けの比較的安価な物件が見つかる場合もあります。
新幹線通学と一人暮らしのメリット・デメリット
1ヶ月にかかる費用を、新幹線通学(9万5060円)と一人暮らし(11万2750円)で比較した場合、確かに新幹線通学のほうが費用を抑えられることが分かりました。それでは、それぞれのメリットとデメリットを見ていきましょう。
新幹線通学のメリット
新幹線通学のメリットは次の3つです。
・一人暮らしに比べて、月々の支出を抑えられる可能性が高い
・実家暮らしのため、食事や洗濯など、大学生本人の家事負担が少なく済む
・親元から通学することで、本人も家族も安心できる
費用を抑えつつ、家族のサポートを受けられる点は大きなメリットです。
新幹線通学のデメリット
一方、新幹線通学にはいくつかのデメリットもあります。主なデメリットは次の通りです。
・往復で約3~4時間の通学時間がかかる可能性が高く、体力や精神的な負担が大きい
・大学の友人と気軽に交流する時間が制限される
・定期券代が高額であり、家計への影響が大きい
特に、通学に時間がかかるため、大学生活を楽しむ時間やアルバイトの機会が減る可能性がある点はよく考えなければならないポイントです。
一人暮らしのメリット
続いて、一人暮らしのメリットは次の3つです。
・通学時間が短縮でき、学業やアルバイト、趣味に充てられる時間が増える
・家事や生活費の管理などを通じて、生活能力が身につく
・時間に自由が利き友人との交流がしやすいため、大学生活をより充実させやすい
一人暮らしなら自由な時間を持ちやすく、生活スキルを身につけられるため、大学生活をより充実させたい場合には向いています。
一人暮らしのデメリット
一人暮らしの主なデメリットは次の通りです。
・家賃や生活費など、毎月の支出が増える
・全ての家事を自分でこなす必要があり、本人の負担が増える
・防犯対策や健康管理など、自己責任が増す
特に、経済的負担が重くなるため、一人暮らしをする学生の約30%が奨学金を受給しているとの調査結果もあります。また、アルバイトで資金を稼ぐ必要もあるかもしれません。
まとめ
名古屋在住の人が大阪の大学に進学することになった場合、大阪で一人暮らしをするよりも、名古屋の実家から新幹線通学をするほうが、経済的負担が少ない可能性は高いでしょう。
しかし、長時間の通学による体力的・精神的負担や、大学生活の充実度を含めて考えることも重要です。お子さんの性格や希望、家庭の経済状況などを踏まえ、家族でじっくり話し合ってベストな選択ができると良いですね。
出典
東海旅客鉄道株式会社 新幹線の通勤・通学 新幹線定期券「FREX(通勤用)」・「FREXパル(通学用)」
全国大学生活協同組合連合会 第59回学生生活実態調査 概要報告
執筆者:古澤綾
FP2級