奨学金が不採用になるのはどんな時? 家計が厳しくても、学業の成績が悪いと借りられないって本当?
配信日: 2025.03.28

本記事では、奨学金の審査で不採用となる主な理由を解説し、家計状況の評価基準や学業成績の条件、保証人に求められる要件など、審査に影響を与えるポイントを詳しくご紹介します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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収入の絶対額だけでは決まらない
奨学金の審査は、単なる収入額だけでなく制度上の細かな基準に基づいて行われます。家計の厳しさだけで支給の可否が決まるわけではなく、「思っていたより支援を受けにくい」と感じる人も少なくありません。
制度上の基準と実際の生活費にギャップがある
例えば独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の第一種奨学金(無利子貸与)では、4人家族(両親と子ども2人)の場合、世帯収入が880万円以下であることが申請条件です。
しかし、東京地方労働組合評議会が2020年に発表した「東京都最低生計費試算調査結果」によると、東京で大学生と高校生を育てる4人家族に最低限必要な生活費は、年間約964万円と試算されています。
つまり、実際の生活はギリギリにもかかわらず、世帯年収が基準を超えているために奨学金の対象外と判断される家庭もあるということです。
また、貯蓄や投資資産の合計が2000万円を超えている場合も、支援不要と判断されて奨学金の対象外となります。都市部では生活費の負担が大きく、将来への備えとして貯蓄を確保している家庭も多いですが、一定額を超えると支援を受けられない可能性があります。
家計が急変しても審査基準に反映されにくい
奨学金の審査は申請前年の収入を基準に行われるため、親の急な失業や病気などで家計が急変しても、審査には反映されません。例えば、2025年に申請する場合、審査対象となるのは2024年の収入であり、直近1年以内の大幅な収入減や予期せぬ支出増が考慮されない可能性があります。
家計の急変で奨学金申請を検討する際は、収入や資産に関する条件を事前に確認し、家計急変の特例措置が利用できるか調べておくと安心です。特例措置を申請する場合は、失業や収入減を証明する書類が必要になります。
学業成績が基準を下回っている
奨学金の目的は、経済的な支援によって学業の継続を奨励することなので、成績が一定の基準を下回っていると不採用になる可能性があります。
例えばJASSOの第一種奨学金(無利子貸与)は、高校在学時の成績平均が3.5以上であることが条件です。この基準を満たさなければ、採用される条件はより厳しくなります。
学業成績は、奨学金の審査に影響を与えるだけでなく、将来の進学や就職、収入にも関わる重要な要素です。
特に優れた成績を収めれば、学費免除や給付型奨学金の対象となるチャンスが広がり、経済的な負担を軽減できる可能性が高くなります。長期的な視点で学業の向上を目指し、日々の学習計画をしっかり立て、着実に学力を積み上げていきましょう。
保証人の信用情報に問題がある
奨学金の審査では、申請者本人の信用情報が影響することはほとんどありませんが、保証人の信用状況によっては不採用となる可能性があります。
保証人には安定した収入と良好な信用情報が求められるため、過去に金融事故を起こした場合は認められないことが多いでしょう。もし適切な保証人を頼めない場合は、「機関保証制度」を利用するという選択肢があります。
親族などの保証人との違いは、専門の保証機関が保証を引き受けるかわりに、保証料の支払いが発生することです。保証料は貸与月額や期間によって異なります。
例えば、月額5万1000円の第一種奨学金を4年間利用する場合、保証料の総額は約10万3000円です。この費用は、毎月の奨学金から差し引かれる形で支払われます。
奨学金審査で落ちないために今できる準備を
奨学金の審査では、家計状況だけでなく、学業成績や保証人の信用情報も判断のポイントです。申請前に収入や資産が基準を満たしているか確認し、成績が基準を下回らないよう計画的に学習を進めることが求められます。
保証人の信用情報にも注意が必要なので、問題がある場合は事前に対策を考えておきましょう。いずれにせよ早めに状況を把握して、奨学金の情報を調べておくことが大切です。
出典
独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)大学等で受ける第一種奨学金の家計基準
東京地方労働組合評議会 東京都最低生計費試算調査結果
独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)進学前(予約採用)の給付奨学金の家計基準
独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)被災・家計急変時の給付奨学金(家計急変採用)
独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)進学前(予約採用)の第一種奨学金の学力基準
独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)第一種奨学金の機関保証制度
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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