「半額以下で買えるから」と掃除機の「互換バッテリー」を使っています。なかには「粗悪なもの」もあると聞きますが、安全面に問題はないのでしょうか…?
配信日: 2025.03.30 更新日: 2025.04.01

純正品よりも安く購入できるのはうれしい特徴ですが、安全面には問題はないのでしょうか。そこで当記事では、「互換バッテリー」による事故件数や「電気用品安全法改正」によって制定された「バッテリーの技術基準」、「純正バッテリー」と「互換バッテリー」の価格差などを解説します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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「互換(非純正)バッテリーによる事故」の発生件数は?
消費者庁によると、「充電式掃除機」と「充電式電動工具」の「非純正バッテリー」が2018年頃から市場に多く流通したことで、2019年に非純正バッテリーによる事故の件数が急増したことが分かりました。
独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)に通知された情報によれば、2019年には66件、2020年に38件と多少減少したものの、その後は31~45件と横ばい傾向にあるのが現状です。
「電気用品安全法」が改正され「バッテリーの技術基準」が厳格化
2022年12月28日に、「電気用品安全法」にもとづく「技術基準解釈」および「経済産業大臣の処分に係る審査基準等」の一部が改正されました。出火した「非純正バッテリー」の一部製品は電圧監視機能が十分ではなく、一部の電池ブロックが過充電になっていたことが原因だと推測されています。
火災事故を防ぐためには、電池ブロックごとに電圧を監視して、いずれかの電池ブロックが満充電になったら保護回路が働いて、充電が停止する仕組みが必要です。
過充電による発火事故を防ぐため、経済産業省は2022年12月の「電気用品安全法」の改正で、電池ブロックごとに電圧監視をする技術基準を厳格化しました。そして2年間の経過措置期間をへて、2024年12月28日から日本に流通する全てのリチウムイオン電池にこの技術基準が適用されます。
「純正バッテリー」と「互換(非純正)バッテリー」の価格差
では、非純正品とされる「互換バッテリー」を使用すると、どのくらいお得になるのでしょうか。A社の掃除機を例に、「純正バッテリー」と「互換バッテリー」の価格相場を表1にまとめて紹介します。
表1
純正バッテリー | 互換バッテリー | |
---|---|---|
商品A | 8800円 | 3960円 |
商品B | 9020円 | 4560円 |
商品C | 9350円 | 5080円 |
※筆者作成(2025年3月時点)
価格差はそれぞれ、商品Aは4840円、商品Bは4460円、商品Cは4270円と「互換バッテリー」の方が約半額になっていることが分かりました。「互換バッテリー」は節約につながりますが、「安心料」と捉えて「純正バッテリー」を選ぶのもひとつの方法かもしれません。
まとめ
「互換バッテリー」で事故が発生していること、それを受けてバッテリーに関する法律を扱う「電気用品安全法」が改正されたこと、「純正バッテリー」と「互換バッテリー」では半額程度の差があることが分かりました。「純正バッテリー」を購入することで安心感が得られるのであれば、よい買い物かもしれません。
今後「バッテリー」にまつわる法律が改正されたことを受けて状況が変わるかもしれませんが、「互換バッテリー」の安全性が確実に担保されるまでは、少し高くても「純正バッテリー」の安全性に頼ってみるのも手かもしれません。
出典
消費者庁 「低価格・高リスク」の非純正バッテリーに注意 ~建物が全焼に至った火災も~ 2.事故の発生状況(3ページ)
経済産業省 電気用品安全法の「技術基準解釈(別表第九)」及び「経済産業大臣の処分に係る審査基準等」の改正について(非純正バッテリ(リチウムイオン蓄電池)の安全対策)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー