姉夫婦の娘から「奨学金の保証人になって」と連絡が! 進学を反対されたとのことだけど、「おじ・おば」は保証人になれる? 将来リスクになる可能性はあるの?

配信日: 2025.04.01 更新日: 2025.04.02

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姉夫婦の娘から「奨学金の保証人になって」と連絡が! 進学を反対されたとのことだけど、「おじ・おば」は保証人になれる? 将来リスクになる可能性はあるの?
「奨学金の保証人になってほしい」突然、親族から頼まれたらあなたはどう答えますか?
 
協力したい気持ちはあっても、安易に引き受けるのは危険です。もしも返済が滞れば、内容によってはあなたに数百万円の請求がくる可能性もあります。
 
本記事では、子どものおじ・おばが、日本学生支援機構(JASSO)提供の奨学金に代表される「公的奨学金」の保証人になれる条件や、親が進学に反対している場合の奨学金申請の可否について説明します。
 
また、保証人になるリスクや、万が一の際に保証人をやめる方法、保証人が不要な「機関保証」についても解説します。「知らなかった」では済まされない重要な話です。今のうちにチェックしておきましょう。
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奨学金の保証人とは? 支払い義務はあるの?

奨学金の保証人には、基本的に普段子どもの生計を担っている親が優先されますが、おじ・おばも保証人になることは可能です。
 
日本学生支援機構(JASSO)の規定では、保証人は4親等以内の親族であることが条件とされています。おじ・おばは3親等に該当するため、保証人として認められる可能性があります。
 
ただし、以下の点に注意が必要です。

●両親や祖父母が健在である場合、そちらが優先される
●経済的な理由などで親が保証人になれない場合に限り、おじ・おばが認められることがある

未成年者の場合は、奨学金に申し込むとき親権者の同意が必要です。親が進学を拒否し、奨学金の同意を許可しない場合、通常はその親の同意がなければ奨学金の申請はできません。
 
ただし、家庭内暴力(DV)などの理由で親と別居している場合や、親が生死不明である場合などは、追加の書類を提出することで申請が受け付けられることがあります。
 
また、親が同意しない場合でも、おじ・おばが経済的支援できる場合、彼らを生計維持者として認められれば、おじ・おばを保証人として奨学金を申請することが可能です。
 
奨学金の保証人を頼まれたとき、気になるのは「どこまで責任を負うのか」という点です。保証人には「保証人」と「連帯保証人」の2種類があり、その違いを知らずに引き受けると、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。
 
保証人は、奨学生が返済できなくなった場合に限り、支払い義務が発生します。一方、連帯保証人は、より責任が重く、奨学生が滞納すると即座に全額を請求されることがあります。
 
また、保証人には「分別の利益」があり、複数の保証人がいれば負担を分け合えますが、連帯保証人にはその権利がなく、一人で全額の返済義務を負うリスクがあります。
 
奨学金の返済が順調であれば問題はありませんが、万が一滞ると保証人に請求が届きます。数百万円の支払い義務が発生する可能性もあるため、安易に引き受けるのは危険です。
 

「保証人、やっぱりやめたい……」途中で抜けることはできる?

奨学金の保証人を引き受けたものの、「やっぱりやめたい」と考えることもあるかもしれません。しかし、奨学金の保証人契約は日本学生支援機構との法的な契約であり、一方的に解除することはできません。
 
保証人をやめるには、機構の承諾を得る必要があります。
 

保証人をやめるための条件

保証人を変更する場合、基本的に新しい保証人を立てることが必要です。ただし、以下の条件を満たさないと変更が認められない場合があります。

●新しい保証人が、日本学生支援機構の条件を満たしていること(一定の収入や信用力が求められる)
●機構が新しい保証人を承認すること

これらの条件をクリアできない場合、保証人をやめることは難しくなります。
 

保証人をやめるための手続きの流れ

保証人をやめるには、以下の手順を踏む必要があります。

●機構へ相談:まずは日本学生支援機構に連絡し、保証人をやめたい旨を伝え、具体的な手続きや必要書類について案内を受けます。
●新しい保証人を探す:新たな保証人になれる人を見つけ、機構の条件を満たしているか確認します。
●必要書類の提出:新しい保証人が承認されたら、印鑑登録証明書などの必要書類を機構へ提出します。

すべての手続きが完了すれば、正式に保証人の変更が行われます。
 

新しい保証人が見つからなかった場合は機関保証も選択できる

奨学金の保証人をやめたいものの、新しい保証人が見つからない場合、機関保証制度に変更する方法があります。
 
機関保証制度は、日本学生支援機構が指定する奨学金の保証方式の1つです。学生が奨学金を借りる際、保証人を立てる代わりに、保証料を追加して指定された保証機関に保証を依頼します。
 
ただし、誰でも自由に変更できるわけではなく、一定の条件を満たす必要があります。機関保証への変更が認められるケースは、以下のようなやむを得ない事情がある場合です。

●保証人が死亡した場合
●経済的な理由で保証を続けられなくなった場合

機関保証に変更する際は、在学中であれば学校の奨学金窓口を通じて、卒業後の場合は日本学生支援機構の奨学金相談センターに申し込みます。ただし、過去の貸与開始時点までさかのぼって保証料を一括で支払う必要があるため、事前に負担額を確認しておくことが重要です。
 
機関保証を選択すれば、新たな保証人を探す手間はなくなりますが、最終的な返済義務は奨学金を借りた本人にあるため、慎重に判断しましょう。
 

まとめ

奨学金の保証人は、おじ・おばも条件によってなることはできますが、大きな責任が伴います。特に連帯保証人になると、奨学生が滞納した際に即座に全額請求されるリスクがあります。
 
いったん引き受けると、原則として勝手にやめることはできません。保証人を変更するには新しい保証人の選任が必要です。新しい保証人が見つからない場合は、機関保証への変更が可能ですが、過去にさかのぼって保証料を一括で支払う必要があります。保証人を引き受ける際は慎重に判断しましょう。
 

出典

e-Gov法令検索 民法
独立行政法人日本学生支援機構 返還超過額の返金に関するQ&A
独立行政法人日本学生支援機構 連帯保証人・保証人の変更
独立行政法人日本学生支援機構 人的保証から機関保証への変更(在学中)
独立行政法人日本学生支援機構 人的保証から機関保証への変更(卒業後)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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