受験生の子どもがいます。「公立高校」と「私立高校」で学費にどのくらいの違いがあるものなのでしょうか?
配信日: 2025.04.01 更新日: 2025.04.02

そこで本記事では、国の調査結果をもとに公立高校と私立高校の在学中にかかる費用の金額や内訳を比較するとともに、私立高校の授業料負担を軽減する制度も解説します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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公立高校と私立高校の学校教育費には2倍以上の差がある
文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」の結果によると、高校生1人当たりの1年間の学校教育費は、公立高校に通う生徒が35万1452円、私立高校に通う生徒は76万6490円で、私立高校のほうが2倍以上高い結果となっています(いずれも全日制)。それぞれの学校教育費の内訳は、図表1のとおりです。
【図表1】
公立高校 | 私立高校 | |
---|---|---|
入学金等 | 1万8062円 | 7万9056円 |
授業料 | 4万5194円 | 23万3102円 |
修学旅行費等 | 3万6452円 | 5万9293円 |
学校納付金等 | 3万5635円 | 11万2256円 |
図書・学用品 実習材料費等 | 6万2292円 | 7万4565円 |
教科外活動費 | 4万9371円 | 5万6800円 |
通学関係費 | 9万7738円 | 14万2670円 |
その他 | 6708円 | 8748円 |
合計 | 35万1452円 | 76万6490円 |
※文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」より筆者作成
各費目を比較すると、入学金等や授業料、学校納付金等、通学関係費の4点で、金額に大きな開きがあります。特に、授業料は私立が公立の5倍を超える数字になっており、私立高校の学校教育費が高くなる原因となっているのが分かります。
学校外活動費は公立と私立で大きな差はない
高校在学中に必要となる学習費は、学校教育費だけではありません。塾や習い事をはじめとする学校外活動費にも、まとまった金額が必要となります。同調査によると、高校生1人当たりの1年間の学校外活動費は、公立高校に通う生徒が24万6300円、私立高校に通う生徒は26万3793円で、それほど大きな差はありません。
また、学校外活動費を塾や家庭教師、通信教育などの「補助学習費」と、習い事などの「その他の学校外活動費」に分けると、内訳は図表2のようになります。
【図表2】
公立高校 | 私立高校 | |
---|---|---|
補助学習費 | 20万1764円 | 17万1888円 |
その他の学校外活動費 | 4万4536円 | 9万1905円 |
※文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」より筆者作成
補助学習費だけに絞ってみると、公立高校のほうが私立高校の平均額を約3万円上回っています。私立高校には系列大学に内部進学するという選択肢があり、公立高校と比べて大学受験対策に力を入れる必要がないケースが多いことなどが、原因として考えられるでしょう。
「私立高校授業料実質無償化」で私立高校進学への金銭的なハードルは下がっている
国の調査結果からも分かるように、私立高校への進学を希望する家庭にとって、金銭的なハードルとなるのが授業料の高さです。しかし、2020年からスタートした「私立高等学校授業料の実質無償化」の制度によって、そのハードルはいくぶん低くなっています。
「私立高等学校授業料の実質無償化」とは、高等学校等就学支援金の制度改正によりスタートした制度です。この制度の対象となると、私立高校に通う場合の補助として、授業料相当額(年額39万6000円が上限)が支給されます。
現行制度では家族構成などに応じた世帯年収の制限が設けられていますが(※東京都など一部自治体では所得制限を撤廃)、2026年度をめどに所得制限を撤廃して誰でも支援を受けられるよう、制度改正が検討されています。
制度が改正されれば、私立高校の費用負担は大きく軽減されることとなるため、経済的に選択肢から外していた家庭でも、進学を検討しやすくなるのではないでしょうか。
私立高校の学費の平均額や内訳を知っておこう
私立高校に通うには、平均して公立高校の2倍程度の学費が必要です。学費に差がつく大きな理由のひとつは、私立高校の授業料の高さにあります。
「私立高等学校授業料の実質無償化」制度が設けられた結果、私立高校に通うのにかかる学費の負担を大きく軽減できるようになりましたが、かかる費用は授業料だけではありません。かかる費用の内訳や金額の目安を知ったうえで、進学した場合の資金計画を立ててみましょう。
出典
文部科学省 結果の概要-令和5年度子供の学習費調査
文部科学省 「私立高等学校授業料の実質無償化」について(2020年4月から)
東京都 都庁総合ホームページ 所得制限なく私立高校等の授業料支援が受けられます 6月20日からオンラインで申請開始
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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