生活保護を受給したいけど、地方で「車」は手放せない! 求職中で「一時的な受給」なら大丈夫? 所有できる条件や注意点とは
配信日: 2025.04.05

本記事では生活保護で車を手放さなければならない理由や、車を所有できる条件、生活保護を受給しながら車を所有する際の注意点などを解説します。

執筆者:山根厚介(やまね こうすけ)
2級ファイナンシャルプランニング技能士
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そもそも生活保護とは
生活保護とは、最低生活の保障と自立を助けることを目的として、困窮の程度に応じて必要な保護を行う制度です。生活保護の申請は国民の権利であるため、誰でも利用できますが、受給の前に資産や能力などあらゆるものを活用する必要があります。
生活保護を受給すると車を手放さなければならない?
生活保護を受給する前に活用しなければならない「あらゆるもの」としては、以下のものが挙げられます。
・自宅などの不動産、車、預貯金などの資産
・働いて収入を得る
・親族などからの扶養
したがって、生活保護を受給するには、原則として車は処分して生活費に充てなければなりません。
「一時的」なら車は持てる? 生活保護を受給しながら車を持てる条件
原則として、生活保護を受給するには車を手放す必要があります。しかし、以下の例などで車を所有できる場合もあります。
・障害者が通勤、通院、通学で使う場合
・公共交通機関が利用できないが、通勤や通院、仕事で車が必要不可欠な場合
・一時的な受給の場合
地方に行くと公共交通機関がない、もしくは極端に少ないところがあります。そのような地域では車がないと生活できないため、通勤や通院などの用途に限って車の所有が認められるケースがあります。ただし、そのような場合でも、維持費が少ないバイクなどをすすめられることもあるようです。
ほかにも、一時的な受給ですむと見込まれるときは、車の所有が認められることがあります。「一時的」とはおおむね6ヶ月以内を指します。
上記のケースのように車の所有が認められる場合でも、高級車など資産価値の高い車は許可されないようです。
生活保護を受給しながら車を所有する際の注意点
車の所有が認められたとしても、無条件に車が使えるわけではありません。例えば、仕事で必要不可欠なため許可されたケースでは、プライベートで車を使えません。
「こっそり使えば分からないのでは?」と思うかもしれませんが、車の所有を許可された場合、自治体によっては運転記録の提出などを求められるため、ごまかせないでしょう。条件に反する使い方をしていると、最悪の場合は生活保護を打ち切られてしまう可能性があり要注意です。
ただし、最近の裁判で、日常生活など必要な範囲での車の利用が認められた判決が出ました。それにともなって、厚生労働省は車の使い方について新しい指針を出しています。この指針によると、地域の交通事情などを考慮した上で、日常生活に不可欠な買い物などの利用を認めても良いとしています。
このため、今後は車の所有や使用が緩和される可能性はあるでしょう。ただし、最終的には各自治体の判断になります。車の処分をネックに感じて生活保護の申請に踏み切れないのであれば、一度担当部署に相談してみることをおすすめします。
まとめ
生活保護を受給するには、原則として持ち家や車などの資産を処分して生活費に充てる必要があります。しかし、一時的な受給などでは所有が認められるケースもあります。
所有が認められた場合でも使用には制限が設けられることもありますが、今後は使用条件が緩和される可能性があります。車がネックで生活保護の申請をちゅうちょしているのであれば、一度自治体の担当部署に相談してみてはいかがでしょうか。
出典
厚生労働省 「生活保護問答集について」の一部改正について
執筆者:山根厚介
2級ファイナンシャルプランニング技能士