「子ども・子育て支援金」とは何? 「独身世帯」にも「恩恵」はあるの?
配信日: 2025.04.05

この記事では、「子ども・子育て支援金」の仕組みを詳しく解説し、その意義やメリットについて考えていきます。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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「子ども・子育て支援金」の制度の概要
日本の少子化・人口減少は深刻な問題であり、2023年の合計特殊出生率は1.20と低迷しています。このまま人口減少が続けば、将来的には社会保障制度の維持が難しくなり、労働力不足や経済の縮小も懸念されるでしょう。
そこで、政府はこの危機に対処するため「こども未来戦略」を打ち出し、その一環として、「子ども・子育て支援金」制度が導入されることになりました。
こども未来戦略と加速化プランの概要
日本政府は2023年12月、「こども未来戦略」を策定し、総額3.6兆円規模に及ぶ「こども・子育て支援加速化プラン」を発表しました。このプランの一部として、「子ども・子育て支援金」が活用されることになります。
特に、児童手当の拡充や育児休業給付の強化など、子育て世帯への支援が段階的に強化されることが特徴とされています。
児童手当の拡充など具体的な支援策
「子ども・子育て支援金」の財源は、表1のような施策に充てられます。
表1
施策 | 内容 | 実施時期 |
---|---|---|
児童手当の拡充 | 所得制限を撤廃、高校生年代まで延長、第3子以降は3万円に増額 | 2024年10月 |
妊婦のための支援給付 | 妊娠・出産時に10万円の経済支援 | 2025年4月 |
乳児等のための支援給付 | 月一定時間までの枠内で、時間単位等で柔軟に通園が可能な仕組みの創設 | 2026年4月 |
出生後休業給付支援給付 | 子の出生後の一定期間に男女で育休を取得した場合に、育児休業給付とあわせて最大28日間手取り10割相当となるよう給付の創設 | 2025年4月 |
育児時短就業給付 | 2歳未満の子を養育するために時短勤務をしている場合に、時短勤務中に支払われた賃金額の10%を支給 | 2025年4月 |
国民年金第1号被保険者の 保険料の免除措置 |
自営業やフリーランス等の国民年金第1号被保険者について、その子が1歳になるまでの期間の国民年金保険料を免除 | 2026年10月 |
※こどもまんなか こども家庭庁「子ども・子育て支援金制度について」を基に筆者作成
支援金は誰が負担する?
「子ども・子育て支援金」の主な財源は、医療保険料に上乗せして徴収されるといわれています。なぜなら、社会全体で負担を分かち合う仕組みとして設計されているためです。
医療保険料との関係
支援金は、全世代が医療保険料とともに支払う形になります。負担者には現役世代だけでなく、高齢者(年金受給者)も含まれます。社会全体で少子化対策を支えるという考え方に基づき、このような仕組みが導入されたようです。
独身世帯や子どものいない世帯にもメリットはあるのか?
独身世帯やDINKs(子どもを持たない共働き夫婦)世帯にとっては、「自分たちは子育てをしていないのに、なぜ負担しなければならないのか? 」という疑問があるかもしれません。しかし、少子化対策は社会全体にかかわる問題であり、将来的な社会保障の安定につながる可能性があります。
独身世帯やDINKs世帯への影響
短期的には支援金の負担が発生しますが、将来的には社会保障制度の維持や労働力確保という形で恩恵を受ける可能性があります。子どもが増えれば、将来の年金制度の支え手が増えることになり、現役世代の負担も軽減できる可能性があるでしょう。
「子ども・子育て支援金」は社会全体で子育てを支援する仕組み
「子ども・子育て支援金」は、少子化対策のために社会全体で負担を分かち合う新たな仕組みです。たしかに、独身世帯や子どもを持たない世帯にも負担は発生しますが、それによって将来的に社会保障制度の安定や経済の活性化といった恩恵を受けられる可能性があります。
将来的な社会保障の安定が見込まれれば、現役世代の老後負担も軽減されることが期待できるでしょう。
出典
厚生労働省 令和5年(2023)人口動態統計年計(概数)の概況
こどもまんなか こども家庭庁 子ども・子育て支援金制度について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー