「子育て世帯」に対する「税制優遇」にはどのような制度がありますか? 最新情報を教えてください
配信日: 2025.04.06


執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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⼦育て世帯等に対する住宅ローン控除の拡充の延長
住宅ローン減税は、一定の条件を満たしたマイホームを購入やリフォームするために住宅ローンを借りると、年末の住宅ローン残高の0.7%を最大13年間、所得税・住民税から控除できる制度です。住宅ローン減税について、子育て世帯等の借入限度額の上乗せおよび床面積要件の緩和措置を2025年も引き続き実施します。
具体的には、現下の急激な住宅価格の上昇等の状況を踏まえ、⼦育て世帯や若者夫婦世帯における住宅取得を支援する観点から、借入限度額について、子育て世帯・若者夫婦世帯が2025年に新築住宅等に入居する場合には、認定住宅5000万円(455万円)、ZEH水準省エネ住宅4500万円(409.5万円)、省エネ基準適合住宅4000万円(364万円)となります。
*( )内の金額は最大控除額(借入限度額×0.7%×控除期間13年)です。
⼦育て世帯にとっての利便性の向上や、さまざまな世代やライフスタイルに応じた住宅取得ニーズに対応する観点から、合計所得金額1000万円以下の者に限り、新築住宅の床面積要件を50㎡以上から40㎡以上に緩和する措置について、建築確認の期限が2025年12月31日に延長されます。
なお、この場合の子育て世帯等とは、「19歳未満の子を有する世帯」または「夫婦のいずれかが40歳未満の世帯」をいいます。本改正は1年間の時限措置です。
⼦育て世帯等に対するリフォーム税制の拡充の延長
子育て世帯等の住宅取得環境が厳しさを増していること等を踏まえ、既存住宅の子育て対応リフォームに係る所得税の特例措置について、2025年も引き続き実施します。
住宅リフォーム減税、はリフォームを行う際に受けられる減税制度です。ローン利用の有無にかかわらず利用可能です。子育て世帯・若者夫婦世帯が、子育てに対応した住宅へのリフォームを行う場合に、標準的な工事費用相当額の10%を所得税から控除できます。工事費用限度額は250万円ですので最大控除額は25万円です。
子育てに対応した住宅へのリフォームとは、住宅内における子どもの事故を防止するための工事、対面式キッチンへの交換工事、開口部の防犯性を高める工事、収納設備を増設する工事、開口部・界壁・界床の防音性を高める工事、間取り変更工事(一定のものに限る)をいいます。
本改正は1年間の時限措置です。
⼦育て世帯に対する⽣命保険料控除の拡充
2024年1月以降の契約について、生命保険料控除のうち一般保険料控除額の控除限度額は4万円ですが、子育て世帯の経済的負担を軽減するため、年齢23歳未満の扶養親族を有する場合は、適用限度額を6万円まで増額する予定です(2026年の時限措置)。
ただし、一般生命保険料控除、介護医療保険料控除および個人年金保険料控除の合計適用限度額は、14万円になるのではなく現行の12万円と変更ありません。留意しましょう。
出典
自民党本部 経済成長と豊かさが実感できる税制へ 令和7年度与党税制改正大綱を決定
国土交通省 住宅ローン減税の子育て世帯等に対する借入限度額の上乗せ措置等を令和7年も引き続き実施します! 〜令和7年度税制改正における住宅関係税制のご案内〜
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。