大学生で一人暮らし中ですが、仕送りは「年間110万円まで」と親に言われています。家賃を含めて「月9万円」の生活は厳しくないですか?
配信日: 2025.04.07

特に、「仕送りは年間110万円まで」と親から言われている場合、それが現実的な金額なのかどうか、不安に感じる人もいるのではないでしょうか。
月9万円、つまり年間でおよそ108万円です。この金額で家賃から生活費までまかなうことは本当にできるのでしょうか。本記事では、実際の生活費データや節約の工夫も含めて考えてみます。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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「年間110万円まで」はなぜ? 親が気にしている“贈与税”の壁
親からの仕送りに「年間110万円まで」という上限が設けられている理由は、贈与税の基礎控除額が関係しています。贈与税には、1年間(1月1日〜12月31日)に受け取る金銭や財産が110万円以下であれば課税されない「基礎控除」があります。
この枠を超えてしまうと、その超過分に対して贈与税がかかる可能性があるため、親としては安心して仕送りできるギリギリのラインとして「110万円まで」と設定していると考えられます。
ただし、生活費や学費として常識的な範囲内で使用される金銭については、贈与税がかからない場合もあります。ただし、この場合でも支援内容が明確であることが重要です。したがって、税務トラブルを避けるためにはこの非課税枠におさめるのが無難ともいえるでしょう。
一人暮らしの大学生、実際の生活費はどのくらい?
それでは、月9万円で生活が成り立つのか、実際の生活費を確認してみましょう。以下は、総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2023年」によると、単身世帯の消費支出は月16万7620円です。内訳は、以下のとおりです。
食料:4万6391円
住居:2万3815円
光熱・水道:1万3045円
家具・家事用品:5955円
被服及び履物:4712円
保健医療:7426円
交通・通信:2万1796円
教育:2円
教養・娯楽:1万9425円
その他の消費支出:2万5051円
ただし、このデータは全世代を対象としており、大学生に限定したものではありません。学生の場合、社会人と比較して出費は少ない傾向にありますが、それでも一人暮らしには一定額の生活費が必要です。
例えば、日本学生支援機構が実施した「令和4年度学生生活調査報告」によれば、大学学部(昼間部)の年間学生生活費(学費と生活費の合算)が平均182万4700円とされており、これを12ヶ月で割ると月平均約15万2058円となります。
このため、仕送りのみの月9万円で生活するには不足する可能性が高いと考えられます。
それでも月9万円で生活するには?
もちろん、すべての学生が上記の金額をかけているわけではありません。工夫次第では、月9万円以内におさめることも可能です。具体的には以下のような方法があります。
1. 家賃をできるだけ抑える
家賃は、生活費のなかでも大きな割合を占めます。大学周辺で比較的家賃の安い物件選ぶことで、月3万円台まで抑えられる可能性もあります。また、学生寮やルームシェアを活用することでさらにコストを削減できます。
2. 自炊中心で食費を抑える
コンビニや外食が中心になると、食費は一気に膨らみます。自炊を基本とし、まとめ買いや冷凍保存を活用することで、月2万円程度に抑えることも現実的です。
3. 通信費を見直す
スマホを格安SIMに変更したり、不要なサブスクリプションを解約したりすることで通信費を月5000円以下にすることも可能です。格安SIMでは、月額1000〜3000円程度で利用できるプランもあります。
4. アルバイトで不足分を補う
仕送りだけで不足する分を、アルバイトで補うというのも一般的な方法です。
例えば、時給1100円で週2回、1日4時間働けば月に3万5200円の収入になります。学業との両立を意識しながら、無理なく働くことが重要です。アルバイト先によっては、賄い付きや交通費支給など追加のメリットもあります。
月9万円生活の現実は「ギリギリだが可能」
こうした工夫を前提にすれば、月9万円でも生活を成り立たせることは可能です。
日本政策金融公庫の「教育費負担の実態調査(令和3年度)」によると、大学生の仕送り平均額は月7万9000円となっており、月9万円という仕送りは平均よりやや多めともいえます。
ただし、家賃や生活費が高い地域(首都圏など)では、月9万円でも生活が苦しくなるケースもあるでしょう。その場合は、さらに支出を見直すか、アルバイト・奨学金の活用を検討する必要があります。
節約力と工夫次第で「月9万円」は乗り切れる
親からの仕送りが年間110万円まで、つまり月9万円までに制限されていても、一人暮らしの生活は十分可能です。ただし、生活のなかで無駄を省き、支出を丁寧に管理する力が求められます。
自由な大学生活の裏には、「お金の管理」も含まれています。将来の自立を見据えて、今から計画的にお金を使う習慣を身につけておくことは、社会人になってからも大きな財産になります。無理のないペースで、賢く、身の丈に合った暮らし方を見つけていきましょう。
出典
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2023年 (令和5年)結果の概要
独立行政法人日本学生支援機構 令和4年度 学生生活調査結果
株式会社日本政策金融公庫 令和3年度 教育費負担の実態調査結果
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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