「高校無償化」と聞いて安心していましたが、それでもお金がかかる! 「公立」と「私立」でどのくらい教育費の負担に違いがあるのでしょうか?
配信日: 2025.04.08

本記事では、「高校無償化」の制度内容を確認し、「公立」と「私立」でそれぞれどれくらいの費用がかかるのかを解説します。

執筆者:堀江佳久(ほりえ よしひさ)
ファイナンシャル・プランナー
中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。
「高校無償化」とは?
高校無償化とは、高等学校等就学支援制度により、国公私立問わず、高等学校等に通う所得等の要件を満たす世帯の生徒に対して、授業料に充当する高等学校等就学支援金を支給されることをいいます。したがって、授業料以外に発生する学校教育費や学校外活動費は、無償化の対象ではありません(次項参照)。
1.受給資格
高校等(高専、高等専修学校等を含む)に在学する、日本国内に住所を有する方が対象となります。ただし、次のいずれかに該当する方は対象となりません。
(1)保護者等の道府県民税所得割と市町村民税所得割の合算額が、50万7000円以上の方(年収目安約910万円以上の方)
(2)高校等(修業年限が3年未満のものを除く)を卒業、または修了した方
(3)高校等に在学した期間が通算して36月(定時制・通信制等の場合は別途算定)を超えた方
2.支給額
(1)公立高校の場合
公立高校授業料の相当額である年額11万8800円が支給されます。これにより、国公立高校は授業料の負担が実質0円(無料)となります。
(2)私立高校の場合
年収目安として590万円以下の場合には、39万6000円が支給されます。また、年収目安として、590万円~910万円に場合には、公立高校の授業料と同じ11万8800円が支給されます。年収目安が910万円を超える場合には、支給されません。
なお、年収目安は、両親・高校生・中学生の4人家族で、両親の一方が働いている場合の目安であり、家族の人数や年齢、働いている人の人数等で、実際に対象となる年収は変わります。詳しくは、通う学校もしくはお住まいの都道府県にお問い合わせください。
「公立」と「私立」の高校でどれくらいのお金がかかるのか
令和5年度の文部科学省の「子供の学習費調査」結果によると、保護者が1年間で支出した子ども1人当たりの学校教育費、学校外活動費とその合計額である学習費総額は、表のとおりになっています。
なお学校教育費とは、授業料、通学関係費、図書・学用品等にかかる費用をいい、学校外活動費とは、学習塾・家庭教師、体験活動や習い事などの費用をいいます。
この結果を見ると、私立高校の学習費総額は、公立高校に比べて約1.7倍、43万2531円も多くかかっています。また、学校教育費と学校外活動費に分けて見ると、学校教育費は私立が公立の約2.1倍(41万5038円の差)、学校外活動費は、同様に1.07倍(1万7493円の差)となっており、学校教育費の差が全体の差額を大きくしていることが伺えます。
まとめ
「高校無償化」の無償の対象となるのは、授業料のみで、授業料以外に発生する学校教育費や学校外活動費については、無償化の対象とはなりません。また、私立高校の場合には、年収によって支給額が変わるので注意が必要です。
「公立」と「私立」の高校で1年間にかかる子ども1人当たりの学習費総額を見ると、私立高校の学習費総額は、公立高校に比べて約1.7倍、43万2531円も多くかかっています。子どもを私立高校に通わせる場合は、計画的に費用を準備する必要があるでしょう。
出典
文部科学省 高校生等への修学支援
文部科学省 令和2年4月から私立高校授業料実質無償化がスタート
文部科学省 高等学校等就学支援金制度
文部科学省 令和5年度子供の学習費調査の結果を公表します令和6年12月25日
執筆者:堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー