都市部の「賃貸価格」が急上昇! 賃貸を更新するか迷うくらいなら、引っ越しを控えるべき?
配信日: 2025.04.11

今回は賃貸価格の動向、引っ越しと更新のコストの比較について解説します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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賃貸価格が上昇している理由
都市部の賃貸価格が上昇している主な理由は、物価高と住宅価格が上がったためです。
総務省が毎月公表している「CPI(消費者物価指数)」によると、総合指数は2020年を100とした場合に2025年2月時点では110.8、前年同月比は3.7%の上昇です。物価高は、賃貸住宅の維持費にも影響し、修繕費、税金や保険料などのコストが加算されるため、賃上げする状況が起きています。
また、円安による資材高騰や、人件費の値上がりなどの影響で住宅価格が高くなり、それにともない、物件を購入するよりも賃貸物件の需要が増えて賃貸価格が上昇します。特に、都市部への一極集中によって賃貸住宅の需要がさらに高まり、東京、首都圏の賃貸価格も一層上昇しているのです。
賃貸価格の上昇は、しばらく続くことが予想されているため、現在の経済事情を踏まえて、賃貸契約の内容を再検討することも必要になります。
表1は、株式会社LIFULL「LIFULL HOME’Sマーケットレポート」による東京23区の家賃動向です。家賃は1ヶ月ごとに上昇しており、引っ越しのために新たな物件を探すのも困難な状況となっています。
表1
2024年1月 | 2024年2月 | 2024年3月 | |
---|---|---|---|
東京23区ファミリー向け物件 | 19万6770円 | 20万5331円 | 21万1618円 |
東京23区シングル向け物件 | 9万5236円 | 9万7387円 | 10万1232円 |
出典:株式会社LIFULL「LIFULL HOME’Sマーケットレポート 2024年1〜3月まとめ版」を基に筆者作成
更新と引っ越しのコスト比較
同程度の家賃で考えた場合、賃貸契約を更新するよりも引っ越しのほうが費用が高くなる傾向があります。
更新の場合は、更新料や火災保険料など、更新時にかかる費用は多くなりますが、次月からは家賃の出費のみです。一方で引っ越しの場合は、新しい物件にかかる初期費用のほかに、今まで借りていた物件の退去費用と引っ越し会社に払う費用が発生します。
ここでは、更新と引っ越しにかかる具体的な費用内訳を確認してみます。
更新コスト
更新に必要なコストの内訳は以下の項目です。
●更新料:家賃の1ヶ月分
●事務手数料:管理会社による
●火災保険料:1~2万円
●保証料:家賃の10~30%
更新料は、地域によってはない場合もありますが、関東エリアの場合は必要です。更新料は家賃の1ヶ月分で、賃貸借契約書に金額が明記されています。
2年間の賃貸借契約の場合は、2年ごとに更新料を支払わなければなりません。管理会社によっては事務手数料が発生するケースもあります。火災保険料の相場は1~2万円ほどで、2年分をまとめて支払います。保証料は契約内容によって異なりますが、相場は家賃の10~30%といわれています。
引っ越しコスト
引っ越しに必要なコストの内訳は以下の項目です。
●翌月分の家賃
●当月分の日割家賃
●仲介手数料:家賃の半月~1ヶ月分
●保証会社の利用料:家賃の半月~1ヶ月分
●火災保険料:1~2万円
●敷金:家賃の1~2ヶ月分
●礼金:家賃の1~2ヶ月分
・クリーニング代:1~2万円
●鍵交換代:1~2万円
引っ越し費用は、一般的に家賃の4~6ヶ月分を目安にするといいといわれています。
家賃を基準に、初期費用を計算し、保険会社の利用料、火災保険料などの相場を加算し、クリーニング代や鍵交換代は、2万円程度として計算します。なお、敷金・礼金は、ゼロの物件もあり、初期費用を大幅に抑えることが可能です。
更新は引っ越しするよりも費用が安くなる
賃貸価格の上昇は、都市部であれば同じ状況であるため、現在借りている物件の更新料が高くなっても引っ越ししないほうがいいという見解です。
もし引っ越しのために現在と同程度の物件を探した場合、賃貸価格が上昇する現状では家賃水準が高くなる傾向があるため、更新料が高くなること以外の理由がなければ、そのまま契約を更新したほうが負担を軽減できるでしょう。
出典
総務省 報道資料 2020年基準 消費者物価指数 全国2025年(令和7年)2月分
株式会社LIFULL 賃料上昇が止まらない、東京23区ファミリー向きは1年で3.2万円上昇! シングル向きは初めて10万円超える。LIFULL HOME’Sマーケットレポート2024年1~3月まとめ版・2024年3月版
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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