国内の景気が回復傾向に!? そう噂される理由とは?
配信日: 2025.04.11

実際、GDP(国内総生産)成長率はプラスを維持し、企業の設備投資や個人消費も増加していますが、円安や物価高、海外経済の不安定さなど、楽観視できない要素もあるでしょう。果たして、日本経済はこのまま回復を続けられるのか? データとともに、見ていきましょう。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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個人消費の回復が景気を下支え
日本経済の回復において、GDPの半分以上を占める個人消費の持ち直しが大きな役割を果たしています。2024年7~9月期の個人消費は前期比0.9%増加し、家計の支出が活発化したといわれています。
この背景には、雇用環境の改善や賃金の上昇があり、消費者の購買意欲を高めています。特に、自動車の生産再開やスマートフォンの新商品の順調な売れ行きなどが消費を後押ししました。
設備投資の増加と企業収益の動向
企業の設備投資も景気回復を支える重要な要素です。財務省が公表した「報道発表 四半期別法人企業統計調査(令和6年7~9月期)結果の概要」によると、2024年7~9月期の設備投資は前年同期比8.1%と増加していることが分かりました。
情報通信や輸送用機械などの分野で投資が活発化しており、企業の先行きに対する信頼感が伺えます。ただし、同資料によると同時期の経常利益は前年同期比3.3%減少しており、企業収益の回復にはまだ課題が残っていることがうかがえます。このため、企業は引き続きコスト管理や生産性向上に努める必要があるでしょう。
日本の景気を下支えするインバウンド
日本経済の回復において、インバウンドによる消費行動が重要な役割を果たしています。訪日外国人旅行者による消費は、統計上「サービス輸出」として計上され、日本の輸出を下支えしています。
独立行政法人国際観光振興機構が公表している「訪日外客数の推移」によると、2024年、年間の訪日外国人客数が過去最高の約3687万人ということです。また、国土交通省 官公庁が実施した「インバウンド消費動向調査」の結果によると、訪日客による消費額は8.1兆円と、過去最高額であることが分かります。
訪日外国人による消費は、地域経済の活性化や関連産業の成長につながるため、今後もインバウンド需要をいかに維持・拡大していくかが重要な課題といえるでしょう。
今後の展望と課題
2025年度の実質GDP成長率は0.8%と予測されており、緩やかな回復が続く見通しです。しかし、海外経済の不確実性や物価上昇など、下振れリスクも存在します。特に、米国の関税政策や中国の不動産市場の停滞は、日本経済にとって大きなリスク要因と考えられます。
また、国内では少子高齢化や労働力不足といった、構造的な課題も依然として深刻です。2025年は、こうした問題に対応するため、労働市場の改革や生産性向上、持続可能な財政運営が引き続き重要なテーマとなるでしょう。
出典
財務省 報道発表 四半期別法人企業統計調査(令和6年7~9月期)結果の概要
独立行政法人国際観光振興機構 訪日外客数の推移
国土交通省観光庁 【インバウンド消費動向調査】2024年暦年の調査結果(確報)の概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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