小学生の子どもが高熱を出し、子どもを置いて出勤できません。「看護休暇」という制度があるそうですがどのような制度ですか? 私も利用できますか?

配信日: 2025.04.11

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小学生の子どもが高熱を出し、子どもを置いて出勤できません。「看護休暇」という制度があるそうですがどのような制度ですか? 私も利用できますか?
男女ともに仕事と育児を両立できるようにするため、「子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充」と「育児休業の取得状況の公表義務の対象拡大」が2025年(令和7年)4月より段階的に施行されます。2025年(令和7年)4月施行の主な改正事項を紹介します。
新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

子の看護休暇の見直し

現行、「子の看護休暇」は、けがや病気にかかった子の世話、または予防接種・健康診断のために必要な世話を行う労働者に対し与えられる休暇であり、労働基準法に定められている年次有給休暇とは別に与える必要があります。
 
2025年(令和7年)4月より、「子の看護等休暇」と名称が変わり、対象となる子の範囲や取得事由が拡大されました。すなわち、対象者が、小学校入学前までから、小学校3年生修了までに拡大され、取得事由が、病気・けが、予防接種・健康診断に、感染症に伴う学級閉鎖等、入園(入学)式、卒園式が加わりました。
 
さらに、労使協定によって、継続雇用期間6ヶ月未満の労働者は対象者から除外できなくなり、労使協定によって除外できるのは、週の所定労働日数が2日以下の労働者だけとなりました。これにより入社6ヶ月未満の社員も子の看護休暇が取得できるようになりました。
 
「子の看護等休暇」では、小学校3年生修了前の子「9歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子」を養育する場合、1年に労働者1人につき5日(子が2人以上の場合は10 日)まで、子の世話等のために取得可能(時間単位の取得も可)です。
 
子の看護休暇は、介護休業と異なり、休暇が取得できるけがや病気の種類や程度に特段の制限はありません。例えば、風邪による発熱など短期間で治癒する傷病であっても労働者が必要と考える場合には申し出ができます。
 
また、子の看護休暇の利用は緊急を要することが多いことから、当日の電話等の口頭の申し出でも取得を認められます。書面の提出等は事後となっても差し支えありません。
 

所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大

現行、3歳に満たない子を養育している労働者は、請求することにより所定外労働の制限(残業免除)を受けることが可能ですが、2025年(令和7年)4月より、この残業免除の対象が「小学校就学前の子を養育する労働者」に拡大されました。
 

育児のためのテレワーク導入の努力義務化&短時間勤務の代替措置にテレワークを追加

3歳に満たない子を養育する場合、1日の所定労働時間を6時間に短縮することが可能です。
 
2025年(令和7年)4月より、3歳に満たない子を養育する労働者がテレワークを選択できるように措置を講ずることが、事業主に努力義務化されました。
 
また、3歳に満たない子を養育する労働者に関し、短時間勤務制度を講ずることが難しい場合の代替措置として、現行の「育児休業に関する制度に準ずる措置」「フレックスタイム制」「始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ」「保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与」に加えて「テレワーク」が追加されました。
 

育児休業取得状況の公表義務が300人超の企業に拡大

現行では、従業員数1000人超の企業に対し、育児休業取得状況の公表が義務付けられていますが、2025年(令和7年)4月より、従業員300人超の企業にも義務付けられました。
 
公表された内容は、男性の「育児休業等の取得率」もしくは「育児休業等と育児目的休暇の取得率」です。年1回、公表前事業年度の終了後おおむね3ヶ月以内に、インターネットなど一般の方が閲覧できる方法で公表されます。
 
対象年齢のお子さんがいる方は、以上のような制度を上手に活用しましょう。
 

出典

厚生労働省 育児・介護休業法 改正ポイントのご案内
厚生労働省 育児休業制度 特設サイト
厚生労働省 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律 及び次世代育成支援対策推進法の一部を改正する法律の概要(令和6年法律第42号、令和6年5月31日公布)
厚生労働省 令和6年改正育児・介護休業法に関するQ&A(令和7年1月23日時点)
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。

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