久しぶりに近所のスーパーに行ったところ、ほとんど「セルフレジ」に変わっていて驚きました。「セルフレジ」を導入すると、どのくらい「人件費」を削減できるのでしょうか?
配信日: 2025.04.12

レジ係の店員がいなくとも顧客自身で精算を行えるのは便利ですが、セルフレジ導入にどれくらいの費用がかかるのか、知らないという方もいるかもしれません。レジ係1人分の業務を削減できるメリットは大きいのかもしれませんが、セルフレジ機器の導入費用を回収するのは難しくないのでしょうか。
当記事ではセルフレジを導入することでどのくらい人件費を削減できるのかについて解説します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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スーパーにおける「セルフレジ設置企業」の割合は全体の「37.9%」で増加傾向
近年、スーパーやドラッグストアなどでセルフレジを導入している店舗をよく見かけますが、実際のところどのくらい増加しているのでしょうか。今回はスーパーを例に挙げて、データを参考に導入状況を見てみましょう。
一般社団法人全国スーパーマーケット協会の「2024年 スーパーマーケット年次統計調査報告書」によると、2024年7月~8月の段階で国内にスーパーマーケットを保有する企業においてセルフレジを設置していると回答した企業は37.9%にも上りました。前年の2023年と比較すると6.8%も増加していることが分かります。
これに加え、セルフレジを「新たに設置したい」「台数を増やしたい」という前向きな回答が45%程度となっていることから、今後も多くの店舗でセルフレジの導入が進むものと予想されます。
「セルフレジ」を導入すると年間「200万円以上」の人件費が削減できる可能性
店舗がセルフレジを導入したいと考える大きな要因のひとつが、レジ係の業務を自動化することで「人件費の削減」が期待できる点であると考えられます。では、従業員の人件費と比較したときに、どの程度コスト削減が可能になるのか見ていきましょう。
2025年4月現在、地域別の最低賃金の全国加重平均額は1055円となっています。厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」に掲載されている「スーパーレジ係」の月間労働時間の平均をもとに人件費を計算すると、1年間で約210万円にも上ることが分かりました。
セルフレジには、商品のスキャンから精算までを行う「フルセルフレジ」と、商品のスキャンのみを店舗スタッフが行う「セミセルフレジ」など、さまざまなタイプがあります。フルセルフレジの機器を導入してレジ係1人分の人件費を削減すると考えると、実に年間200万円以上削減できる可能性もあるでしょう。
「セルフレジ導入費用」は何年で回収できる?
とはいっても、セルフレジを導入するにはもちろん費用がかかります。削減できた人件費とセルフレジの導入費用を比較すると、どの程度の期間でコストを回収できることになるでしょうか。
前述のとおり、セルフレジにはそれぞれメーカーや製品によって機能が異なります。ここでは人件費の削減をより期待できる、フルセルフレジの導入費用を参照してみましょう。
フルセルフレジの初期費用相場は、1台につき100万円から400万円ほどが主流となっているようです。これに、システム利用料などの諸費用や、ランニングコストとしてネットワークの通信料や機器の保守費用などが含まれますが、前章でシミュレーションした人件費を考慮すると、「数ヶ月から数年程度」で導入費用は回収できる可能性があります。
なお、セルフレジの機器は一括購入をする方法のほかにも、レンタルやリースを利用して導入する方法もあります。一時的な利用や増設をしたい場合には購入よりもメリットが大きく、定期的なレンタルコストが発生する代わりに、保守や整備の費用がレンタル代に含まれることも少なくないようです。
まとめ
セルフレジ機器はサイズやシステム、操作方法などによって価格がさまざまではありますが、人件費を考慮すると、店舗に合った製品を導入することで数ヶ月から数年単位で導入費用を回収できる可能性もあります。小売業界の人材不足という課題を解消するために、今後もセルフレジを導入する店舗が増えていくかもしれません。
出典
一般社団法人全国スーパーマーケット協会 2024年 スーパーマーケット年次統計調査報告書(8~9ページ)
厚生労働省 職業情報提供サイト job tag スーパーレジ係
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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