毎日使う近所の抜け道に突然「私道につき通り抜け禁止。罰金1万円」という看板が。これって本当に罰金を支払わないといけないの?
配信日: 2025.04.13

しかしこのような看板の有効性に疑問をいだく人も少なくありません。「私道とはいえ通行に便利だから通らせてほしい」とか「罰金は個人で制定できるものではない」など反対意見もあるでしょう。
本記事では、私道と公道の違いについて解説しつつ、私道の通行可否や罰金の有無などについて取り上げます。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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私道と公道の違い
最初に私道と公道の違いについて振り返っておきましょう。同じように見える道路でも、私道と公道には違いが存在します。
私道とは
私道とは、特定の個人や団体などが所有している道路です。不特定多数のドライバーが往来することを想定した道路というより、特定の人たちがもっぱら利用することがイメージされた道路といえるかもしれません。具体的には以下のような道路が当てはまるでしょう。
・住宅地の中にある通り道
・工場敷地にある道路
・自動車教習所にある練習用道路 など
公道とは
公道については、道路交通法第2条1号で以下のように定義されています。
道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第二条第一項に規定する道路、道路運送法(昭和二十六年法律第百八十三号)第二条第八項に規定する自動車道及び一般交通の用に供するその他の場所をいう
そして道路法第2条第1項によると、公道は「一般交通の用に供する道で、トンネルや橋、渡船施設、道路用エレベーターなど道路と一体となっているもの」も含みます。
つまり公道とは、不特定多数の人や車が自由に通行できる道路とイメージできるでしょう。具体的には、高速道路や一般の国道、県道などが挙げられます。
私道でも公道のようにみなされることがある
私道が特定の個人や団体の所有物であるならば、私道に勝手に立ち入るのは問題と感じるかもしれません。しかし、必ずしも「私道=不特定多数の人が立ち入りできない道路」というわけではないようです。
先述の道路交通法第2条第1項や道路法第2条第1項は、公道を「一般交通の用に供するその他の場所」としています。また最高裁判所の判例では、私道について以下のような判決が下されたことがあります。
私人の宅地の一部であつても、不特定の人や車が自由に通行できる状態になつている場所は、道路交通法二条一号の「道路」にあたる。
このように私道であっても公道のようにみなされるケースがあります。ポイントは「不特定の人や車が自由に通行できるか」どうかです。ある私道が通常時に一般交通に利用されていなければ、公道扱いにはならないと思われます。
私道通り抜けに罰金は規定できる?
今回のケースでは、「私道につき通り抜け禁止。罰金1万円」と、個人が勝手に罰金を制定しているようです。しかし罰金は刑法が定める刑であるため、個人が自由に設定できるものではないと考えられます。
また、先ほどの裁判所判例のように、私道であっても公道のようにみなされるケースがあります。名目上は私道だとしても、通行禁止を自由に制定できるわけではないでしょう。
私道の通り抜けで“罰金”が適用されるかは断定できない
私道と公道は異なるものですが、中には公道のように扱われる私道があります。一般交通に利用されていると判断される場合、たとえ私道であっても通行禁止が個人によって制定できるわけではないようです。
仮に“罰金”が制定されているとしても、支払い義務が自動的に生じるわけではありません。
私道なのか「公道のような私道」なのか判断できない場合、トラブルを避けるために強引な行動はとらず、行政の情報を参照する方がいいかもしれません。
出典
デジタル庁 e-GOV 法令検索 道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第二条第一号
デジタル庁 e-GOV 法令検索 道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第二条
最高裁判所 最高裁判所判例集 事件番号 昭和43(あ)1407
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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