大学に通う子どもが「片道2時間」かけて遠距離通学しています。一人暮らしを始めると、どのくらいお金がかかるのでしょうか?

配信日: 2025.04.13

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大学に通う子どもが「片道2時間」かけて遠距離通学しています。一人暮らしを始めると、どのくらいお金がかかるのでしょうか?
大学へ通うお子さまが、毎日片道2時間もかけて通学しているというご家庭も少なくありません。長時間の移動による疲労や、自由に使える時間の少なさから、「そろそろ一人暮らしをさせたほうがよいのでは?」と悩む保護者の方も多いでしょう。
 
ただ、一人暮らしには当然ながら生活費がかかります。実際のところ、一人暮らしを始めると、どのくらいの費用が必要になるのでしょうか?
 
本記事では、初期費用や毎月の生活費、想定される支出をリアルなデータに基づいて解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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一人暮らしを始めるには「初期費用」がかかる

最初に必要となるのが、一人暮らしのための「初期費用」です。これは引っ越しに伴う諸経費や家具・家電の購入費用などが含まれ、まとまった出費になります。
 
特に賃貸契約では、敷金・礼金・仲介手数料・前家賃などが発生するため、家賃の4~6ヶ月分を見積もっておくのが一般的です。例えば月5万円の物件に入居する場合、20~30万円前後がかかる計算になります。
 
また、新生活を始めるにあたり、冷蔵庫や洗濯機、電子レンジ、ベッド、カーテンといった家具・家電の購入も必要です。これらをすべて新品でそろえた場合、10〜20万円程度の出費になるのが一般的です。さらに、引っ越し業者の利用や交通費なども加えると、初期費用全体で約30~50万円が目安となります。
 

毎月の生活費はいくらかかる?

初期費用の次に気になるのが、毎月かかる生活費です。総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2023年」によると、単身世帯の消費支出は月16万7620円で、内訳は以下のとおりです。
 

食料:4万6391円
住居:2万3815円
光熱・水道:1万3045円
家具・家事用品:5955円
被服及び履物:4712円
保健医療:7426円
交通・通信:2万1796円
教育:2円
教養・娯楽:1万9425円
その他の消費支出:2万5051円

 
なお、このデータは全年齢層を含む一人暮らしにかかる一般的な平均値であり、大学生に特化したものではありません。学生は社会人に比べて支出が抑えられる傾向があるとはいえ、一人暮らしをするには相応の生活費がかかる点に注意が必要です。
 
東京や大阪などの都市部では家賃が高めに設定されているため、月の支出がさらに増えるケースもあります。一方、地方都市では家賃が安いため、もう少し抑えられる可能性もあります。
 

収入とのバランスは? 奨学金とアルバイトが主な収入源に

一人暮らしを始めた場合、月々の生活費をどのように賄うのかも大切なポイントです。収入源としては、保護者からの仕送りのほかに、奨学金やアルバイト収入が多くの学生にとって重要な支えとなっています。
 
独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)が公表した「令和4年度 学生生活調査結果」によると、大学昼間部の学生の年間平均収入額は年192万7600円です。収入額と構成は、以下の通りです。
 

家庭からの給付:109万6900円(59.4%)
奨学金:40万7600円(20.7%)
アルバイト収入:37万5900円(19.1%)
定職・その他:8万7000円(4.4%)

 
このデータから分かるように、多くの学生が生活費の半分以上を仕送りから賄っており、次いで奨学金が大きな割合を占めています。アルバイトの割合は比較的少なめですが、これはあくまで全国平均の傾向であり、家庭の経済状況によって大きく異なります。
 
なお、アルバイト収入に頼りすぎると、学業との両立が難しくなる可能性もあります。生活費の見通しを立てる際は、無理なく継続できる収入源を考慮しながら、学びの時間を確保することも忘れないようにしましょう。
 

時間とお金、どちらを優先するか?

片道2時間の通学は、往復で1日4時間、週5日で20時間にもなります。この時間を一人暮らしによって減らせれば、学習やアルバイト、趣味、睡眠などに充てられる時間が増え、生活の質が向上する可能性もあります。
 
日本学生支援機構の同調査によると、大学昼間部で自宅から通学する学生の通学時間は片道31~60分程度が最も多く(32.2%)、次いで片道61~90分(28.8%)、91~120分(17.3%)となっています。そのため、片道2時間程度までなら通学可能と考える学生は多くいますが、負担を感じる場合は一人暮らしを検討する価値があるでしょう
 
一方で、一人暮らしを始めるには、年間で150万円程度の費用がかかることを想定しなければなりません。実家暮らしと比べると経済的な負担は大きくなりますので、単に「通学が大変だから」という理由だけで決断するのではなく、時間とお金のどちらを優先するかをよく話し合い慎重に検討することが大切です。
 

大学生の一人暮らしはシミュレーションと家族の話し合いを

一人暮らしを始めるには、初期費用に30〜50万円、毎月の生活費として13万円前後が必要になることが一般的です。決して安い金額ではありませんが、通学時間の短縮や自立心の育成といったメリットも大きいです。
 
ただし、生活コストが上がることで、家計への負担は避けられません。まずは現在の通学状況と費用の見通しを具体的にシミュレーションし、家族でしっかりと話し合うことが大切です。公的支援制度や奨学金の活用も視野に入れながら、無理のない範囲で最適な選択を見つけていきましょう。
 

出典

総務省統計局 家計調査報告(家計収支編) 2023年(令和5年)平均結果の概要
独立行政法人日本学生支援機構 令和4年度 学生生活調査結果
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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