ママ友に「今年度から高校授業料無償化でうれしいね」と話したら、「それ、他の人に言わないほうがいいよ」と返答が! なにか悪いことを言ってしまったの?“気を付けるべき理由”を解説
配信日: 2025.04.15

高校生以下の子どもを育てる親にとってはうれしいニュースに聞こえますが、なぜ今回のケースでは「言わないほうが良いこと」になるのでしょうか? ポイントは、高校授業料無償化は新しく始まるのではなく、現在の高校教育における支援制度の拡充だという点です。
本記事では、現在の高校教育の支援制度の内容と、2025年度から拡充される内容について解説します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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現在の高校教育の支援制度の内容
現在の高校教育の支援制度の内容は次の通りです。
支援内容
本制度の内容は、支援金を支給することで対象家庭の授業料負担を軽減するものです。通っている学校の区分によって支援金額が異なります。各区分別における年間の支援金額は次の通りです。
●公立高校:11万8000円
●私立高校(全日制):39万6000円
●私立高校(通信制):29万7000円
●国公立の高等専門学校:23万4600円
公立高校については、11万8000円が平均的な年間の授業料に相当するため、無償化となっています。支援金は都道府県などが受け取り、学校に対して授業料として支給します。このため各家庭に振り込まれるのではなく、相殺した後の授業料のみを各家庭が支払うという仕組みです。
受給資格
受給資格は、親の所得による制限があります。所得制限にかかる目安となる年収額は次の通りです。
●11万8000円の支給を受ける場合:年収910万円
●39万6000円※の支給を受ける場合:年収590万円
※私立高校(全日制)の場合
以上の年収額は、両親・高校生・中学生の4人家族で、両親の一方が働いている場合の目安年収です。家族構成などによって金額が異なります。また、親が共働きの場合は2人の収入を合算した金額で判断されます。
高校授業料の無償化で何が変わる?
自民党・公明党・日本維新の会の3党が合意した、2026年度の高校授業料の無償化の内容は次の通りです。
●所得制限を撤廃
●私立の上限額を年45万7000円に引き上げ(全国の私立高校授業料の平均的な金額)
それに先立ち、2025年度からは所得制限を撤廃して、公立・私立高校を問わず11万8000円を全世帯に支給します。つまり、2025年度に新たに支給を受ける世帯は、年収910万円を超えて受給できていなかった高年収世帯ということになります。
現在の制度をよく理解している人にとっては、新たに支給を受けることが高年収世帯であることと結びつく可能性があります。相手がすでに受給している世帯だった場合に、自分が高年収世帯であることを暗に伝えていると受け取られるかもしれません。そのため、今回のケースのように「言わないほうが良いこと」となる場合があります。
高校無償化によって「公立離れ」が懸念されるとの声も
高校生以下の子どもを育てる親としては、今回の無償化の拡大に対して、家計負担が減りうれしいと思うかもしれませんが、一方で懸念の声もあがっています。それは「公立高校離れ」です。2024年から先行して段階的に私立高校を含めた授業料の無償化に取り組む大阪府では、2023年入学と2025年入学で比較すると、公立高校の出願率が大きく下がっています。
●2023年入学:1.14倍
●2025年入学:1.01倍
また、定員割れしている公立高校の数も13校→35校へと増加しています。公立高校への支援の拡充などによって教育の質を担保する施策が必要という意見があります。
2025年度に新たに支給を受けるのは高年収世帯
2026年度の高校授業料の無償化に向けて、2025年度からは所得制限を撤廃して、公立・私立高校を問わず11万8000円を全世帯に支給します。2025年度の制度拡大で新たに支給を受けるのは、今まで年収制限に該当して支給を受けられなかった高年収世帯です。
制度を詳しく理解している人の中には、新たに支給されることを周囲に話したときに、高年収であることを察する人がいるかもしれないことを理解して話題選びに気をつけましょう。
出典
文部科学省 高等学校等就学支援金リーフレット(概要版)
文部科学省 高等学校等就学支援金の申請手続きに係るリーフレット
大阪府 令和5年度大阪府公立高等学校一般入学者選抜(全日制の課程)の志願者数(令和5年3月7日午後2時(締切数))【令和5年3月9日訂正】
大阪府 令和7年度大阪府公立高等学校一般入学者選抜(全日制の課程)の志願者数(令和7年3月7日午後2時(締切数))
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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