ネットで不動産情報を探していたら「0円」の売買物件が出てきました。どうして「一戸建て」が0円なの?
しかし、実際に0円で譲渡される物件は存在し、その背景にはさまざまな理由があります。この記事では、なぜ一戸建てが0円で提供されるのか、その理由や背景、そして注意点について詳しく解説します。0円物件に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。
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なぜ一戸建てが0円で提供されるのか?
一戸建てが0円で提供される背景には、主に以下のような理由があります。
1.地方の過疎化と空き家の増加
日本では、少子高齢化や都市部への人口集中により、地方の過疎化が進んでいます。その結果、地方では空き家が増加し、需要が減少しています。総務省の「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果」によると、令和6年時点で全国の空き家数は900万二千戸と過去最高の数値です。
また、若者の都市部への流出が続いており、地方の住宅需要は低下しています。このような状況下で、空き家を所有していても買い手がつかず、売却が難しいケースが増えています。
2.相続による所有と管理の負担
親から相続した不動産が地方にある場合、相続人がその物件を利用しないことも多くあります。しかし、不動産の相続は、すべての財産を相続するかしないかの2択であり、特定の不動産だけを放棄することはできません。そのため、不要な不動産を相続した場合でも、管理や維持の責任が生じます。
3.所有による維持費や税金の負担
不動産を所有しているだけでも、固定資産税や都市計画税などの税金がかかります。また、空き家であっても、定期的な換気や修繕などの維持管理が必要です。これらの費用や手間を考えると、利用しない不動産を所有し続けることは大きな負担となります。
4.解体費用の問題
老朽化した建物を解体するには、一般的な木造住宅で100万円~300万円程度(30坪程度であれば150万円前後が目安)の費用がかかります。
さらに、建物を解体してさら地にすると、固定資産税の軽減措置がなくなり、税金が上がる可能性があります。このような理由から、解体せずに無償で譲渡する方が所有者にとって選択肢となるケースも増えています。
0円物件を取得する際の注意点
0円物件を取得する際には、以下の点に注意が必要です。
・修繕やリフォームの必要性
多くの0円物件は築年数が古く、老朽化が進んでいるため、居住するには修繕やリフォームが必要です。シロアリ被害や構造の腐食などの問題がある場合もあり、これらの修繕費用は自己負担となります。
・税金や諸費用の負担
物件自体は0円でも、取得時には不動産取得税や登録免許税、固定資産税などの税金がかかります。また、所有権移転登記の手続きや司法書士への依頼費用なども発生します。
・立地や利用目的の制限
0円物件の多くは地方や過疎地域にあり、交通の便が悪い場合があります。また、市街化調整区域に指定されている土地では、新たな建物の建築が制限されることもあります。
0円物件の活用方法
0円物件は、工夫次第でさまざまな活用が可能です。
1.自宅としての利用
リフォームやリノベーションを行い、自宅として利用できます。初期費用を抑えてマイホームを手に入れられる点は大きな魅力です。ただし、修繕やリノベーション費用は自己負担となる場合が多いことに注意が必要です。
2.賃貸物件や民泊としての運用
リフォーム後に賃貸物件として貸し出すことで、家賃収入を得られます。また、観光地に近い場所であれば、民泊として運用することも可能です。
3.地域活性化への貢献
空き家を活用することで、地域の活性化に貢献できます。例えば、地域コミュニティの拠点やシェアオフィスとして活用することで、新たな人の流れを生み出せます。活用方法や効果は地域や物件の特性によって異なる場合があります。
「0円物件」の裏側と活用法を正しく理解しよう
「0円」の一戸建て物件は、所有者にとっては維持管理や税金の負担を軽減する手段であり、取得者にとっては初期費用を抑えて不動産を手に入れるチャンスです。
しかし、取得後には修繕費用や税金などの負担が発生するため、事前に物件の状態や立地、利用目的をよく検討することが重要です。0円物件をうまく活用することで、自分のライフスタイルに合った住まいやビジネスの拠点を手に入れられるかもしれません。
出典
総務省 令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
