今0歳の子どもを育て上げるのに、お金はいくら必要でしょうか? 児童手当の拡充、幼保無償化、高校も無償化されていますよね?

配信日: 2025.07.05

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今0歳の子どもを育て上げるのに、お金はいくら必要でしょうか? 児童手当の拡充、幼保無償化、高校も無償化されていますよね?
人生の三大資金の一つである子どもの教育資金は、親の頭を悩ませる大きな要因となっています。また、これは子どもを育てていくことに対する経済的負担を心配する若年層の親世代にも影響し、新たに子どもを出産することをとまどう傾向も見られるようです。
 
本記事では子どもの学習費等についての負担軽減に向けた、国や自治体による支援制度などを整理していきます。
高橋庸夫

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

大学卒業までに負担する学習費の概算

子どもにかかる学習費の負担は、各進学先での公立・私立の違いや学校外活動費の違いなどで、大きく異なります。一つの目安として、概算の金額を図表1に示します。
 


※文部科学省「令和5年度の子どもの学習費調査」より筆者作成
 
なお、全ての子どもの人数に占める私立に通う者の割合は、幼稚園で88.3%、小学校1.3%、中学校7.9%、高等学校35.5%となっています。大学(4年制)については、概算で国公立大学「248万1000円」、私立大学で「469万円」となっています(日本政策金融公庫「教育にかかる費用はどのくらい?」より)。
 
つまり、幼稚園から大学卒業まで、全て公立で19年間学んだとしても「約850万円」、全て私立だと「約2450万円」がかかることになります。
 

子どもの学習費等を無償化する主な制度

国が子どもの学習費等を支援する主な制度は、以下のとおりです。詳細については、子どもが対象となるかを含め、事前に確認が必要となります。
 

(1)幼稚園等の利用料の無償化

幼稚園、保育所、認定こども園等を利用する満3歳になった後の4月1日から小学校入学前(5歳)までの3年間、全てのこどもたちの利用料が無償化されます。ただし幼稚園については、月額上限2万5700円までです。また、0歳から2歳までの子どもについては、住民税非課税世帯を対象として、利用料が無償となります。
 

(2)公立小学校・中学校の授業料は無料

公立の小学校・中学校の場合、授業料は無償です。ただし、その他の学校教育費として、「図書・学用品等・実習材料費等」「通学関係費」「学校納付金等」「修学旅行費等」「教科外活動費」などの負担があります。
 
また、入学時のランドセル、体操着、制服等、文房具等や学校給食費、学校外活動費(塾、家庭教師など)の負担も生じます。私立の場合は、授業料は原則自己負担となります。
 

(3)高校の授業料の無償化

「高等学校等就学支援金制度」という2010年にスタートした国の制度では、教育の機会均等と家庭の経済的負担軽減を目的として、授業料について国から支援金が支給されています。
 
これまでは所得制限がありましたが、2025年4月からは所得制限が撤廃され、全ての生徒が対象になり、公立・私立を問わず一律で年間11万8800円が支給されます。
 
また2026年4月からは、私立高校に通う生徒を対象に加算されている就学支援金について上限額の所得制限も撤廃され、支給上限額も39万6000円から45万7000円に引き上げられる予定です。
 
なお、東京都は既に所得制限を撤廃、大阪府は段階的に所得制限を撤廃しており、全ての世帯で私立高校授業料の無償化が可能となります。
 

(4)高等教育の修学支援新制度

一定の要件を満たす大学、短期大学などに通う場合、給付型奨学金の支給や授業料等の減免を受けることができる制度が、2020年4月からスタートしています。
 
世帯年収に応じた4段階の基準で支給額が決定され、世帯収入要件や資産要件によっては対象外となる場合があります。また、2025年4月からは制度が拡充され、多子世帯(子ども3人以上)の場合の入学金、授業料の無償化が所得制限なしに実施されることとなりました。
 

子どもに対する手当等の制度

無償化のほかにも、子どもの教育費負担を軽減する支援制度はさまざまです。なお、住所地の自治体によって制度の有無や基準などが異なる場合がありますので、事前に確認することをお勧めします。
 
(1)児童手当
2024年10月より制度が拡充され、支給対象が0歳から18歳(18歳に達する日以後の最初の3月31日)までの子どもとなり、所得制限も撤廃されています。
 
支給額は3歳まで1人当たり月1万5000円(第3子以降は3万円)、3歳以上18歳までは1万円(第3子以降は3万円)です。単純計算では、0歳から支給を受ける子ども1人当たり18年間で、234万円が支給されます。
 
(2)就学援助制度
無償化の対象外となる、学校給食費や修学旅行費等を援助する制度です。対象者は、生活保護や前年所得が一定水準以下の人です。自治体によって支給基準が異なる場合があるので、事前に確認しておきましょう。
 
(3)給食無償化
一部の自治体では、小中学校の学校給食費の無償化が実施されています。
 
(4)児童扶養手当
児童扶養手当はひとり親家庭(シングル世帯)を対象とし、所得や子どもの人数に応じて支給額が決定されます。
 
(5)その他、自治体による独自の給付金制度等
自治体によっては、子どもに対する独自の給付金制度等がある場合があります。代表的なものとして、東京都では「018サポート」との名称で、都内在住の0歳から18歳までの子どもを対象に月額5000円(年間最大6万円)を支給しています。
 

まとめ

「子どもを育て上げる」という視点からすれば、子どもに支出する費用は、今回紹介した学習費等だけでは収まらないことは周知の事実です。また、住んでいる自治体によって、支援制度の有無や基準に違いがあることも当然といえるでしょう。
 
このような現状を踏まえ、それぞれの家計において、将来の子どもに対する教育資金の負担にどのように備えるのか考えていくことが、最も重要となると思われます。
 

出典

文部科学省 子どもの学習費調査
日本政策金融公庫 教育にかかる費用はどのくらい?
こども家庭庁 幼児教育・保育の無償化
文部科学省 高等学校等就学支援金制度
文部科学省 高等教育の修学支援新制度
こども家庭庁 児童手当制度のご案内
こども家庭庁 児童扶養手当について
東京都 都庁総合ホームページ 東京都の子供・子育て支援018(ゼロイチハチ)サポート 令和6年度の事業内容をお知らせします!
 
執筆者 : 高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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