隣室が“事故物件”だと家賃は下がる? 隣でも「心理的瑕疵」になるのでしょうか?

配信日: 2025.07.06

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隣室が“事故物件”だと家賃は下がる? 隣でも「心理的瑕疵」になるのでしょうか?
近年、事故物件の知名度が高まり、事故物件を探して安く物件を借りる方もいます。中には、「マンションやアパートなどの集合住宅で、隣室が事故物件だった場合は心理的瑕疵になるのか?」といった疑問を持っている方もいるでしょう。
 
本記事では、事故物件と認定される範囲や事故物件の隣室等で事故が起こったときの家賃などについて解説します。
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事故物件とは何か? 隣室の事故は「心理的瑕疵」に該当する?

事故物件とは、自殺や他殺などの事件性のある死や特殊清掃を要する孤独死・事故死などが起きた物件の総称です。国土交通省は、2021年に「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を定め、告知義務の基準などを明記しています。
 
また、ガイドラインによると、自殺や殺人などの不自然な死については告知義務があり、病死や老衰は告知義務がないと定められています。
 
ただし、病気で亡くなった場合も一人暮らしなどで発見が遅れ、特殊清掃が必要になった場合には告知義務があると判断されるケースもあります。万が一告知されずに家を借りた場合、借り主から契約解除を申し出ることが可能です。
 
なお、「心理的瑕疵」とは、物件に物理的な欠陥がなくても過去の事件や事故などにより、入居者が心理的な抵抗を感じる要因を指します。隣室の事故が自分の部屋に「心理的瑕疵」として影響を及ぼすかどうかは、事故の内容や影響の程度によって異なります。

 

隣室が事故物件の場合は告知義務がある?

隣室が事故物件の場合は、原則として告知義務がありません。例えばマンションの1室で殺人事件があった場合、告知義務があるのは殺人事件の現場となった部屋だけです。
 
入居後、隣室で殺人事件があったと知って心理的な負担があるとして、契約の解除を申し出ても自己都合となるケースが大半です。契約によっては、違約金等を請求されることもあります。

 

事件性が高い場合は告知することが望ましい場合もある

全国で放映されるような事件性・社会的影響が特に高い場合や廊下やエントランスなどの共有部で発生した場合は、物件全体や該当階の住人に告知されるケースもあります。
 
ただし、大規模な集合住宅の場合は、共有部が現場であっても物件の住人全体に情報が共有されない場合もあります。例えば、ある階の共用部廊下で自殺や事件が発生した場合、その階の住人だけに告知されるケースもあるでしょう。

 

隣室が事故物件の場合は家賃が下がる?

事故物件が隣室の場合、原則として家賃が下がることはありません。しかし、交渉は可能です。例えば、集合住宅の共有部分で事件や事故が起こった場合や、大きなニュースになる事件の舞台になった場合は、値下げに応じてくれることもあります。
 
また、近隣が事故物件の場合には告知義務がありません。事故物件を避けたい方は、契約時に不動産会社やオーナーに尋ねてみることも大切です。事故物件ではなくても「心理的瑕疵物件」として自分から避けることは可能です。

 

家賃交渉や契約解除は可能? 知っておきたい対処法

隣室で事故があったことにより、自分の部屋に不安を感じる場合、以下のような対応策があります。
 
1. 家賃交渉
事故の内容や影響の程度によっては、家賃の減額を交渉することが可能です。ただし、法的な義務はないため、貸主の判断によります。
 
2. 契約解除
契約期間中でも、事故の影響で居住が困難と判断される場合、契約解除を申し出ることができます。ただし、隣室の事故のみを理由に貸主が応じる義務はなく、解約には違約金が発生する場合は多いため、契約内容をよく確認しましょう。
 
3. 情報収集
事故の詳細や影響について、管理会社や近隣住民から情報を収集し、状況を正確に把握することが重要です。
 
なお、これらの対応策を検討する際は、専門家に相談することも一つの方法です。

 

隣室が事故物件の場合は原則として心理的瑕疵はない

隣室が事故物件の場合は、原則として心理的瑕疵には当たりません。しかし、事件や事故の内容によっては、気分的によくない場合があるでしょう。賃貸物件を借りる場合は周辺情報を検索してみたり、オーナーや不動産会社に近所に心理的瑕疵物件があるか相談したりするなどの対処をしてみることが大切です。
 
賃貸住宅でも、何年も住む場所になる可能性があり、誰もが快適に生活できるようにしたいものです。隣室などで事故が起こったら、できるだけ気持ちよく暮らせるように自分で行動しましょう。

 

出典

国土交通省 「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を策定しました
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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