【フリーランスと契約】秘密保持契約を締結するときに注意点ってあるの?
配信日: 2019.04.29 更新日: 2019.06.19
今回はフリーランスの方が情報の受領者となる状況を想定し、秘密保持契約を締結する際の注意点について解説していきます。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
秘密保持契約はどんなときに結ぶもの?
秘密保持契約とは、契約の一方あるいは双方が相手方に対して情報を開示する際、その情報を守るために結ばれる契約です。
例えば、フリーランスとして仕事を受ける際。企業から営業上の秘密にあたる情報を受け取ることがあります。
企業からすると、その情報がライバル企業に渡ってしまうことを避けたいはずです。そういったとき、公開した情報を守るために結ばれるのが秘密保持契約なのです。
注意点(1) 秘密情報の範囲
秘密保持契約を締結するにあたり、どのような情報を秘密として定義するのかは非常に重要な問題です。当事者間で公開した情報のうち何が秘密であり何が秘密でないのか、その範囲を明確にしておかなければなりません。
特に、「開示の方法を問わず一切の情報を秘密として扱う」とされているような場合は負担が大きくなりすぎることもあるため注意が必要です。
注意点(2) 適用除外となる情報
仮に秘密として定義された情報があったとしても、情報が開示された際その情報を既に知っていたり、第三者によって公開されてしまうこともありえます。そのような情報にまで秘密保持の義務を負うというのは合理的でありません。
そのため、既に知っていた情報や第三者から正当に受け取った情報、自己の責任によらずに公のものとなったというような情報などは秘密から除外するよう求めるとよいでしょう。
注意点(3) 調査権はどうなっているか
公開した情報が目的外に利用されたおそれがある、または情報が外部に漏れてしまったおそれがあるなど一定の状況に備え、開示者の要求により「受領者の事務所を調査できる」あるいは「受領者は状況を調査し報告しなければならない」などと規定されることがあります。
開示者からの要請に応じて状況などを調査、報告すること自体には充分な理由があるといえます。ただ、その調査権の範囲をあまりに広く認めてしまうと受領者の負担が大きくなってしまいます。調査権の有無やその範囲についてもきちんと取り決めておくことが必要です。
注意点(4) 契約終了時の扱い
秘密保持契約は主たる目的(仕事の依頼など)があって、そのために公開される情報を守ることを目的に結ばれることの多い契約です。契約の終了後も秘密保持契約は有効に存続するのか、その範囲はどこまでとなるのかについても注意が必要です。
また、契約の終了時には受け取った情報を返還する必要があるのか、それとも受け取った側で廃棄、削除するだけでよいのかといった問題もあります。契約の終了後における事項についてもきちんと確認しておきましょう。
秘密保持契約は軽い契約ではない
秘密保持契約は情報の取り扱い方を取り決める重大な契約です。一度契約を締結してしまうと、その契約の内容に沿った方法で秘密情報を保管、管理する義務が発生します。
フリーランスとして活躍していくのであれば、秘密保持契約の締結における注意点も充分に理解しておかなければなりません。秘密保持契約には本記事で紹介した事項以外にも注意すべき点は多々あります。
秘密保持契約を締結する際は、契約書に記載された内容を充分に理解し、納得したうえで締結するようにしてください。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士