「事実上の独身税」と言われる“子ども・子育て支援金”「恩恵がないのに負担だけ」という意見もあるけど、手取りが減っても結局“お得”になるの? 制度の仕組みや負担額を解説

配信日: 2025.07.12 更新日: 2025.09.26
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「事実上の独身税」と言われる“子ども・子育て支援金”「恩恵がないのに負担だけ」という意見もあるけど、手取りが減っても結局“お得”になるの? 制度の仕組みや負担額を解説
2026年度から始まる「子ども・子育て支援金」の制度に対し、「実質的な独身税ではないか」との声が広がっています。
 
この制度は、全ての医療保険加入者が対象となり、高齢の人や事業主を含む全世代・全経済主体から、所得に応じて徴収されます。そのため、子どもを持たない人にとっては、手取りが減るだけだと受け取られやすいのです。
 
また、本来は少子化対策の財源確保を目的としていますが、負担と恩恵の釣り合いに疑問を感じる人も少なくありません。
 
本記事では、制度の仕組みや実際の負担額、資金の使い道について分かりやすく解説します。制度について理解するための一助にしてください。
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「子ども・子育て支援金」とは? 制度の仕組みと徴収方法

子ども・子育て支援金制度は、2026年度から導入され、健康保険の加入者が所得に応じて一定額を拠出する仕組みとなります。
 
具体的な拠出額については、政府資料において、2021年度の賃金実績を基にした機械的な試算が示されています。これは、2028年度時点の水準を想定したもので、例えば、年収400万円の会社員や公務員などの給与所得者で月額約650円、年収600万円で約1000円、年収1000万円で約1650円の負担になるとされています。
 
支援金は、2026年度から2028年度にかけて段階的に引き上げられる計画で、2028年度には1人あたりの月額拠出額の平均が800~950円程度に達する見通しです。
 
なお、拠出額の試算値は将来の賃金水準に応じて変動する可能性があるため、2025年時点では目安として示されているに過ぎません。
 

資金の使い道は?

支援金として集められた財源は、「子ども・子育て支援法」に基づき、主に児童手当や育児関連給付の拡充に充てられます。
 
具体的には、児童手当の支給対象は高校生年代まで広げられ、所得制限も撤廃されました。さらに、2025年4月からは妊娠・出産時の10万円給付が制度化され、育児休業を取得した際の追加支援、短時間勤務を選んだ際の就業給付なども導入されています。
 
加えて、育児期間中の国民年金保険料の免除といった支援策も整備されました。これらを含めた支援の拡充により、0歳から18歳までの子ども1人あたりに対する支援額は、児童手当と合わせて総額でおよそ352万円にのぼると試算されています。
 

「恩恵がないのに負担だけ」独身税という批判の理由

子ども・子育て支援金が独身税と批判される背景には、負担と受益の構造に対する違和感があります。
 
この制度では、医療保険料に上乗せするかたちで拠出が行われ、扶養の有無や家族構成にかかわらず、全ての加入者が一律に拠出の対象となります。加えて、収入が多いほど負担額が増える仕組みが導入されている一方で、支援の恩恵は基本的に子育てをしている世帯に限定されています。
 
こうした仕組みに対して、子どもを育てていない人も負担しなければならないことについて、「実質的な独身税」などの表現で不公平感を訴える動きが見られます。
 
子どもが欲しくてもできない不妊治療中の人や、子どもを持たない生き方を選んだ人、経済的・社会的理由で家庭を持つことが難しい人にとっては、制度が一様に設計されていることに疑問を抱くのも自然な反応といえるのではないでしょうか。
 

まとめ

子ども・子育て支援金は、少子化対策の財源を社会全体で分担するという理念に基づいた制度です。しかし、子どもを持たない人にとっては、日々の手取りが減る一方、目に見える恩恵が実感しにくいのが現実でしょう。
 
将来的に少子化が改善され、社会保障制度の持続性が確保されるという意味では、間接的なお得さにつながる可能性もあります。ですが、それを実感できるかどうかは、あくまで長期的な視点に立った場合の話です。
 
現時点での手取りの減少と引き換えに納得感を得るためには、制度の目的と使い道について、より丁寧な説明が求められます。
 

出典

子ども家庭庁 子ども・子育て支援金制度について
子ども家庭庁 支援金制度等準備室 子ども・子育て支援金制度における給付と拠出の試算について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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