来年「大学進学」を控えた息子。都内の国立大学を目指しているのですが、仕送りは「月7万円程度」で足りるでしょうか?
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
自宅外通学者への仕送り額は月額平均「7万9800円」
株式会社日本政策金融公庫の「令和3年度 教育費負担の実態調査結果」によると、自宅の外から通学する子をもつ世帯の割合は28.1パーセントです。自宅外通学者は地方部に多く、都市部に行くほど一世帯当たりの人数が少なくなる傾向にあります。
同調査によると、自宅外通学者の年間仕送り平均額は95万8000円、月額換算で約7万9800円です。表1は、2021年度と2015年度、それぞれの仕送り金額に占める割合を比較したものです。
表1
| 金額(年額) | 2021年度割合(パーセント) | 2015年度割合(パーセント) |
|---|---|---|
| 0万円 | 10.0 | 8.2 |
| 0万円~50万円未満 | 13.9 | 9.4 |
| 50万円~100万円未満 | 33.1 | 30.9 |
| 100万円~150万円未満 | 28.7 | 30.4 |
| 150万円~200万円未満 | 11.7 | 17.0 |
| 200万円~ | 2.6 |
出典:株式会社日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査結果(平成26年度)(令和3年度)」を基に筆者作成
一人暮らしに必要な生活費は物価などにも影響を受けるため、年々変動する傾向にあります。2021年度のデータを参考にするのであれば、割合の大きい「月7万円程度=年間100万円未満」の仕送りは無難な金額であると言えるでしょう。
ちなみに、自宅外通学は引っ越しやアパート契約、家電購入などの初期費用がかかる点にも注意が必要です。同調査によると、準備にかかる一人当たりの平均費用は38万7000円となっています。月々の仕送りはもちろんですが、こちらのまとまって必要となる費用も前もって準備しておいた方がいいかもしれません。
都内の一人暮らしは毎月「15万円以上」の生活費がかかる可能性
物価はその土地の人口、地価などに依存するため、生活費にも大きな影響を与えます。総務省の「全国家計構造調査」によると、東京都内の無職世帯における1ヶ月あたりの平均消費支出は15万5060円です。
その中でも食費が4万1748円、住居費が2万3739円、光熱費が1万1228円となっています。ただし、これは無職世帯全体の平均であり、高齢者や求職者なども含まれます。大学生の一人暮らしにかかる実際の生活費とは、異なる可能性があります。
東京都内は全国平均と比べても物価水準が高い傾向にあります。総務省の「全国物価地域差指数」によると、全国平均の物価水準を100とした場合、東京都の平均消費者物価地域差指数は104.5となっており、これは全国で最も高い数値です。
また、株式会社Land Price Japanが公表している「都道府県の公示地価ランキング」においても東京都は1位となっているため、住居費も高くなると考えられます。
教育費の捻出方法は「節約」がトップ
株式会社日本政策金融公庫の「教育費負担の実態調査結果」によると、教育費の捻出元として最も多い方法は「節約」であり、割合は28.6パーセントとなっています。
次いで子どものアルバイトが21.5パーセント、奨学金が19.2パーセントです。進学が家計に与える影響は小さくないかもしれませんが、子どもがどれだけ学業に打ち込みたいか、アルバイトをしたいかなども本人と相談したうえで、適切な収支バランスに収まるように仕送り計画を立てましょう。
まとめ
子どもが大学進学を機に一人暮らしをする場合、仕送りの平均月額は約7万9800円です。「月7万円程度」の仕送りは妥当な金額であるといえるでしょう。必要な生活費は都道府県によっても前後しますが、都内であれば月15万円以上はかかると考えられます。いずれにせよ、仕送り金額を決める際には独断ではなく、子ども本人とも相談しましょう。
出典
株式会社日本政策金融公庫 子供1人当たりにかける教育費用(高校入学から大学卒業まで)は減少~令和3年度「教育費負担の実態調査結果」~
株式会社日本政策金融公庫 重い教育費負担~年収400万円未満の世帯では負担割合が4割に~-「教育費負担の実態調査結果」(平成26年度)-
総務省統計局 全国家計構造調査[旧全国消費実態調査]表番号9-0-3
総務省 消費者物価地域差指数-小売物価統計調査(構造編)2023年(令和5年)結果-
株式会社Land Price Japan 日本全国の土地価格 都道府県の公示地価ランキング
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
