1000兆円以上の借金を抱えても日本は「絶対に破綻しない」!? 「現代貨幣理論」(MMT)による理由を解説

配信日: 2025.07.16 更新日: 2025.09.26
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1000兆円以上の借金を抱えても日本は「絶対に破綻しない」!? 「現代貨幣理論」(MMT)による理由を解説
日本は莫大(ばくだい)な債務(借金)を抱えていると聞いて、国の財政が破綻するのではないかと不安になったことがある人もいるかもしれません。一方、日本が財政破綻することはないと主張する人もいます。
 
そこで今回は、なぜ日本は借金があっても財政破綻しないといえるのか、その考えの基となる「現代貨幣理論」(MMT)のメリットと課題をまとめました。
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日本が財政破綻しないといわれる4つの理由

財務省によると、日本の債務残高は2025年末で1129兆円に達すると見込まれています。それほどの借金を抱えながらも日本が財政破綻しないといわれる根拠は、おもに国債の保有構造と通貨発行権にあると考えられます。
 

1.国債の国内保有率の高さ

日本の国債の約90%は、日銀や国内金融機関が保有しています。海外への依存度が低いため、国際市場の変動に影響されにくく、債務の安定性が担保されているといえるでしょう。
 
これは、海外保有率が高いほかの国と日本が根本的に異なる点です。
 

2.債務が自国通貨建て

日本国債は円建てで発行されており、外貨不足によるデフォルト(債務不履行)リスクが低いと考えられています。
 

3.対外純資産の規模

財務省によれば、日本は2024年末時点で533兆500億円の対外純資産(外国に保有する資産から負債を引いたもの)を保有しており、これは世界でもトップクラスです。
 
日本という国全体の資産の大きさが、信用安定性を支えているといえます。
 

4.家計金融資産の厚み

日本銀行調査統計局の「2025年第1四半期の資金循環(速報)」によれば、日本の家計金融資産は、2025年3月末でおよそ2195兆円に達し、政府債務を大幅に上回ります。国民の貯蓄が国債購入の原資となり、資金調達が持続可能な構造になっているといえるでしょう。
 
これらの理由により、海外格付け機関による日本国債の評価も「A」以上の投資適格水準を維持しています。ただし、これは破綻しないことを保証するものではなく、財政規律の必要性が消えるわけではないと考えるべきでしょう。
 

現代貨幣理論(MMT)の主張

「日本の財政が破綻しない」という主張の基になっているのは「現代貨幣理論」(MMT:Modern Monetary Theory)です。現代貨幣理論は、自国通貨を持つ政府は財政破綻しないと主張し、国債を発行して積極的な財政出動を可能にする理論です。
 

現代貨幣理論の主張の根拠

現代貨幣理論では、自国通貨建て債務を持つ政府は通貨発行権を持つため、財政赤字自体が問題視されません。インフレ率が管理可能な範囲であれば、政府は国債発行を通じて通貨供給量を増やし、公共投資に充てられるという考え方です。
 
具体的には、老朽化した社会資本の更新といったインフラ整備や、社会保障の充実などが可能になるとしています。
 

現代貨幣理論で指摘される問題点

現代貨幣理論には以下のような問題点が指摘されています。
 
通貨供給が過多になることで起きる、インフレリスク(供給量が増えることで通貨の価値が下がり、物価が上がる)が最大の懸念です。インフレが顕著になれば国民の生活に悪影響が生じることは明らかでしょう。
 
現代貨幣理論では、インフレはコントロールできると主張します。しかし、具体的な方法や、実際に大規模な財政支出を行った場合にインフレを抑制できるのかについては、議論の余地があるでしょう。
 
また、通貨発行権を背景に、政府が無制限に財政支出を拡大した場合のリスクも指摘されています。海外の投資家が日本国債への信頼を失い、資金流出や円安が発生することで、経済が不安定化する可能性があるようです。
 

現代貨幣理論は、日本は円建て国債を発行しており国内保有率の高さゆえに財政破綻しないと主張している

借金を抱えても日本は破綻しないという主張は、現代貨幣理論に基づくものです。国の財政は、家計や企業とは根本的に異なるという視点に立ったものといえます。
 
現代貨幣理論は、従来の経済学の常識を覆す理論といわれ、その是非については議論が続いています。しかし、国の財政や通貨の仕組みについて、これまでとは異なる視点を提供してくれていることは間違いありません。
 
この理論を理解することは、「国の借金」という言葉が持つイメージだけでなく本質的な意味について深く考えるきっかけとなるでしょう。
 

出典

財務省 令和6年末現在本邦対外資産負債残高の概要
日本銀行調査統計局 2025年第1四半期の資金循環(速報)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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