ママ友が幼稚園から大学まで娘を私立に通わせると言います。公立より当然費用が高いと思うのですが、実際にどのくらいかかるのでしょうか?
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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教育費の総額比較(幼稚園~大学)
文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」と「国公私立大学の授業料等推移」をもとに、教育費の総額を公立と私立を図表1で比較してみましょう。
図表1 教育段階別の教育費の比較
| 教育段階 | 公立 | 私立 |
|---|---|---|
| 幼稚園 | 約53万円 | 約104万円 |
| 小学校 | 約202万円 | 約1097万円 |
| 中学校 | 約163万円 | 約467万円 |
| 高校 | 約179万円 | 約308万円 |
| 大学 | 約252万円 | 約408万円 |
| 合計 | 約849万円 | 約2384万円 |
文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」、「国公私立大学の授業料等推移」をもとに筆者作成
この表からも明らかですが、すべて私立に通わせた場合、公立に比べて約1535万円多くかかるという計算になります。
毎月の費用イメージ
すべて私立で教育を受けさせると、18年間で約2384万円という結果になり、月額換算すると約11万円です。特に小学校6年間でかかる費用(約1097万円)が突出して高く、年間約183万円(=月15万円以上)かかるケースもあります。
高等学校等就学支援金制度(高校の授業料無償化)の流れは助けになるが……
令和7年の国会での審議の結果、高校生の授業料支援における対象者の範囲が広がり、所得制限の一部が事実上撤廃されました。
これまでの「高等学校等就学支援金」は、年収約910万円未満の世帯が対象でしたが、令和7年度限定で「高校生等臨時支援金」ができ、年収910万円以上の世帯も対象となりました。また、令和8年度からの所得制限の撤廃などは別途検討中とされています。
これによってある程度の負担軽減は期待できるとみられますが、準備しなければならない金額はやはり大きいといえるでしょう。
見過ごしがちな学費以外の出費が注意
支援制度は助けにはなりますが、教育費は授業料だけではありません。国公立と私立の大きな差の理由は、それ以外の費用一つひとつが積み重なったまとまった金額といえるでしょう。
1. 制服・教材・通学交通費
私立中学や高校では、デザイナーズブランドの制服を採用している学校もあり、公立よりも制服代が高額になるケースがあります。
また、最近ではオンラインでの自宅学習アプリ、自主学習や宿題提出などもオンライン提出が増えています。そのためのデバイスの準備やWi-Fiの契約なども、基本的に各家庭の自己負担です。
2. 塾・習い事・受験費用
部活動などの課外活動においても、私立学校では外部から特別に監督やコーチを招くことがあります。また、受験準備においても、外部スクールと委託して特別授業を提供するケースがみられます。こういった費用も自己負担です。
3. 大学入学後の仕送りやひとり暮らし費用
大学生になり、ひとり暮らしを始めた場合、生活費も別途必要になります。これらを含めると、さらに数百万円の出費増になる可能性もあるでしょう。
意識しておきたい点
教育にお金をかけることはお子さんの「将来への投資」でもありますが、家計の持続可能性と住宅取得・維持や自分たちの老後など家計のキャパシティーやライフイベントとのバランスの中で賢く運営していくことが大切です。
すべて私立で教育させたい場合には、教育費専用の積み立てを早い時期から始める、奨学金制度を活用する、中学・高校といった節目のタイミングで公立学校へのシフトを検討する、といった柔軟な対応をとっていくという選択肢も残しておきましょう。長期的なライフプランに基づいた戦略的な教育資金準備が大切です。
出典
文部科学省 国公私立大学の授業料等の推移
文部科学省 令和5年度子供の学習費調査 2調査結果の概要
文部科学省 高校生等への修学支援金・高校生等臨時支援金リーフレット(概要版)
執筆者 : 柴沼直美
CFP(R)認定者
