更新日: 2019.06.13 その他暮らし

外来患者数が圧倒的に多い傷病は?

執筆者 : 松浦建二

外来患者数が圧倒的に多い傷病は?
病気やケガで通院する可能性は誰でもあり、入院ほどではないにしても肉体的や精神的な苦痛があります。さらには傷病によっては治療費にかかる経済的な負担が大きくなることも考えられるので、健康面だけでなく経済面でもできる限りの備えをしておきたいものです。
 
そこで、今回は外来(通院)患者数を年齢別や傷病別に調べ、通院する可能性についてイメージしてみました。
 
松浦建二

執筆者:松浦建二(まつうら けんじ)

CFP(R)認定者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士
1990年青山学院大学卒。大手住宅メーカーから外資系生命保険会社に転職し、個人の生命保険を活用したリスク対策や資産形成、相続対策、法人の税対策、事業保障対策等のコンサルティング営業を経験。2002年からファイナンシャルプランナーとして主に個人のライフプラン、生命保険設計、住宅購入総合サポート等の相談業務を行っている他、FPに関する講演や執筆等も行っている。青山学院大学非常勤講師。
http://www.ifp.cc/

推計外来患者数は719万人で3年前と比べて微減

厚生労働省の患者調査では外来患者に関する調査を詳細に行っています。2019年3月に平成29年の調査結果が公表されましたので、そこからまずは年齢階級ごとの推計外来患者数をグラフにしてみました。年齢は「0歳」、「1~4歳」、5歳から89歳までは5歳刻みで、最後に「90歳以上」に分けてあります。
 

 
平成29年患者調査によると、全年齢の推計外来患者数は719.1万人で、入院患者数の5.5倍程度の患者数となっています。年齢階級別にみると75歳~79歳が81.7万人で最も多く、次が70歳~74歳の78.8万人、その次が65歳~69歳の77.6万人となっています。
 
患者数が最も少ないのは0歳の7.0万人ですが一つの年齢だけなので、実質は15歳~19歳が11.5万人で最も少ないと言えます。
 
次に少ないのが20歳~24歳の13.1万人、その次が10歳~14歳の15.0万人となっています。患者数が最も多い75歳~79歳と最も少ない15歳~19歳では、患者数に7倍もの差があります。外来患者数のグラフで特徴的なのは、65歳~69歳になると患者数が急激に増えることです。
 
働いているうちは通院する時間がなく、退職後になって通院する時間ができ、通院する人が増えたということでしょうか。あるいは退職して生活のリズムが大きく変わったことで、病気になる人が増えたのでしょうか。
 
また、80歳代に入ると外来患者数が急に減り始めています。これは人口規模の差が主な要因と言えそうです。
 

女性の外来患者数は男性の1.3倍

次に外来患者数を1999年から2017年まで調べ、男女それぞれ患者数が増えているのかそれとも減っているのか確認してみました。
 

 
1999年(平成11年)から2017年(平成29年)まで7回の調査結果をみると、推計外来患者数は増減を繰り返しながら徐々に増えています。
 
患者数の多い高齢者が増えているので、想定通りの結果かもしれませんが、入院患者数は減少傾向にあるので、入院患者の一部が外来患者にまわってきたとも言えそうです。
 
2017年の外来患者数は男性が305.4万人、女性が413.7万人で女性の方が100万人以上多くなっています。昔から同じ傾向にあり、高齢者の人口比率が大きく影響していると考えられます。
 

外来患者数が圧倒的に多いのは高血圧性疾患

最後に外来患者数を傷病別に分けてグラフにしてみました。グラフでは推計外来患者数が特に多い傷病のみ載せてあります。
 

 
外来患者数を傷病別にみると、高血圧性疾患が64.7万人で最も多く、外来患者数全体の9%を占めています。次に多いのは歯肉炎及び歯周疾患の46.9万人、その次が脊柱障害の41.9万人となっています。
 
悪性新生物は18.4万人で徐々に外来患者数が増えており、脳血管疾患は8.6万人で逆に外来患者数が減っています。
 
3つのグラフから読み取れるのは、外来の患者数は徐々に増えており、年齢別では65歳~79歳が特に多く、傷病別では高血圧性疾患が特に多いと言うことです。
 
外来の場合、傷病によって治療費に大きな差があります。治療費が比較的高額な悪性新生物等へは十分な備えをしておく必要がありますが、全般的には経済的な心配よりも、病院等のお世話にならずに済むような予防策を講じておきたいものです。
 
執筆者:松浦建二(まつうら けんじ)
CFP(R)認定者
 

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