世帯年収「1000万円」の50代夫婦です。奨学金なしで子ども2人を「私立大学」に進学させるのは無謀でしょうか?

配信日: 2025.07.31 更新日: 2025.09.26
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世帯年収「1000万円」の50代夫婦です。奨学金なしで子ども2人を「私立大学」に進学させるのは無謀でしょうか?
世帯年収1000万円といえば一般的に高収入の部類に入ると考えられますが、それだけの世帯年収があれば、奨学金なしで子ども2人を私立大学まで進学させることはできるのか、疑問に感じている方もいるかもしれません。
 
本記事では、世帯年収1000万円の家庭が、子ども2人を奨学金なしで私立大学に進学させることは現実的なのかをシミュレーションし、かかる費用や教育資金の準備方法を解説します。
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私立大学に進学させるためにはいくらかかる?

高校1年生と中学1年生の子どもがいると想定して、私立大学に進学させるためにいくらかかるのか見ていきましょう。ここでは、2人とも公立の学校に通っているとします。
 
文部科学省の「令和5年度子供の学習費調査の結果」によると、公立中学と公立高校(全日制)にかかる学習費総額は以下の通りでした。
 

・公立中学校(3年間):162万6213円
・公立高校(全日制/3年間):178万7328円

 
また、文部科学省の「国公私立大学の授業料等の推移」によると、令和5年度の私立大学の入学金や授業料は表1の通りでした。
 
表1

入学金 授業料(1年) 合計(4年間)
私立大学 24万806円 95万9205円 407万7626円

出典:文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移」を基に筆者作成
 
これらの金額を基にすると、2人の子どもを私立大学に進学させるためには、1335万6121円かかることが分かります。また、私立の中学、高校に通っている場合は、さらにお金がかかります。
 
すでに貯金が1300万円以上あるのであればそれを教育費にまわせば問題ないでしょう。貯金がない場合は、世帯年収の1000万円をすべて進学費用にまわせるわけではないため、生活費とのバランスを見ながら計画的に貯蓄することをおすすめします。
 
ただし、授業料などには変動があるため、あくまで目安程度にしておきましょう。
 

子どもの教育費を準備する方法

子ども2人を私立大学に進学させるために必要な費用をどう確保すればよいか分からない方もいるでしょう。ここでは、教育費を準備する方法を4つ解説します。
 

児童手当を貯める

まず見直したいのが、児童手当の使い方です。高校1年生と中学1年生の子どもがいる場合、今から高校卒業までの間に受け取れる児童手当を全額貯めるだけでも108万円ほどの備えになります。なお管理する際は、教育資金専用の口座を設けることがおすすめです。
 

銀行預金を活用する

銀行預金は、貯蓄の基本といえるでしょう。普通預金や定期預金を使えば、いつでも引き出せて元本が保証されているため、安心感があります。ただし、利率は非常に低いため、預けて増やすというよりも確実に残す手段と捉えた方がよいでしょう。
 
生活費と混同しないよう、教育資金専用の口座を作っておくと、使いすぎを防げます。毎月決まった額を自動で積み立てる設定をしておくと、計画的に貯めやすくなるでしょう。
 

学資保険でコツコツ備える

将来の学費に備える保険商品として、学資保険も選択肢のひとつです。定期的に保険料を支払い、契約に基づいて大学進学時などに給付金が受け取れます。保険料の支払いは自動引き落としで、半ば強制的に貯められる点が強みです。
 
返戻率が100%を超える商品も多く、払い込んだ保険料よりも多くの金額を受け取れる場合もあります。また、契約者に万が一のことがあっても保険料の支払いが免除され、保障が継続されるという安心感も魅力です。
 
ただし、途中で解約すると解約返戻金が元本を下回ることもあるため、加入時は無理のない保険料を見極めて設定しましょう。
 

NISAなどの資産運用を活用する

時間に余裕があり、ある程度リスクを取れるのであれば、資産運用を取り入れるのもひとつの方法です。2024年から新しいNISA制度が始まり、非課税枠が大幅に拡大されたことにより、教育資金確保にも活用しやすくなりました。
 
ただし、株式や投資信託は価格の変動があるため、進学時期と市況が重なってしまうと思うように資金が用意できないリスクもあります。教育費に充てる場合は、目標時期を逆算し、リスク資産と現金のバランスを定期的に見直すことが大切です。
 

貯蓄状況にもよるが、世帯年収1000万円で子ども2人を私立大学に進学させるのは無謀ではないと考えられる|計画的な備えが大事

仮に公立の学校に通う高校1年生と中学1年生の子どもが2人いる家庭で、2人とも私立大学に進学させる場合、文部科学省のデータを基にすると、教育費の総額は2人で1335万6121円にもなる可能性があります。
 
世帯年収1000万円の家庭でも、住宅ローンや生活費、老後資金を差し引くと、この金額をすべて現金で賄うのは簡単ではありません。
 
だからこそ、児童手当の活用や、銀行預金、学資保険、NISAなどを通じた早めの資金計画が重要になります。「教育費はなんとかなるだろう」と考えるのではなく、「どのくらい必要で、どうやって備えるか」を明確にしておくことが、家族全員の安心につながります。
 
将来の選択肢を狭めないためにも、今できる備えから一歩ずつ始めていきましょう。
 

出典

文部科学省 結果の概要-令和5年度子供の学習費調査 2 調査結果の概要 4 幼稚園から高等学校卒業までの15年間の学習費総額(18ページ)
文部科学省 令和5年度私立大学等入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について (参考2)国公私立大学の授業料等の推移
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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