公立はすでに授業料が無償化、来年からは私立も実質無償に? 私立と公立、実際にかかる費用の差ってどのくらい?

配信日: 2025.09.01 更新日: 2025.09.26
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公立はすでに授業料が無償化、来年からは私立も実質無償に? 私立と公立、実際にかかる費用の差ってどのくらい?
子どもの高校進学を控える家庭にとって、学費は避けて通れないテーマです。現在、公立高校では授業料が実質無料となっていますが、私立高校にも無償化の範囲が広がります。ただし、授業料以外にも入学金や制服代、修学旅行費など、多くの費用が必要になります。
 
本記事では、公立高校と私立高校の実際の費用差や支援制度の内容を整理し、家計に与える影響についても解説します。
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授業料無償化の現状と今後の拡大

現在、一定の収入以下の世帯を対象として「高等学校等就学支援金」が支給されています。2024年度までの支給額は、公立高校が年収910万円未満で年間11万8800円、私立高校が年収590万円未満で最大39万6000円でした。ただし、所得制限があるため対象外の家庭もありました。
 
2025年度からは所得制限が撤廃され、公立高校はすべての世帯で年間11万8800円の授業料支援を受けられるようになりました。一方、私立高校は2025年度も年収590万円未満の世帯が対象ですが、2026年度には所得制限が撤廃され、支援上限額も45万7000円へ引き上げられる見込みで、公立高校との学費差はさらに縮まります。
 

授業料以外の費用差

授業料負担がゼロになっても、家庭の負担は「その他の費用」によって大きく変わります。特に入学初年度はまとまった資金が必要です。
 

初年度にかかる主な費用

高校入学時は授業料とは別に、図表1のようなさまざまな初期費用が発生します。
 
図表1

2023年度調査 公立 私立
入学金 7398円 4万7993円
制服 2万8328円 4万2497円
施設整備費 なし 5万4339円

文部科学省「子供の学習費調査(令和5年度)1 学校種別の学習費」より筆者作成
 
これらの費用は、私立では公立の倍以上かかる傾向にあります。
 

在学中にかかる費用

授業料以外にも、年間を通じて発生する費用(図表2)があります。
 
図表2

2023年度調査 公立 私立
教科書費・教科書以外の図書費 3万7507円 4万2434円
学用品・実験実習材料費 2万4785円 3万2131円
通学費 5万5020円 8万6646円

文部科学省「子供の学習費調査(令和5年度)1 学校種別の学習費」より筆者作成
 
加えて、修学旅行や特別行事の費用も必要です。公立では国内旅行が多い一方、私立は海外研修を組み込むこともあり、その分費用が高くなります。行事費用は授業料無償化の対象外のため、積立金などで準備を進めていきましょう。
 

自治体独自の助成制度

国の就学支援金だけでなく、自治体が独自に行っている助成制度もあります。
 
例えば東京都では、私立高校に対する授業料支援を世帯収入に関係なく受けられるようになりました。国の就学支援金と併せて最大49万円が助成されるため、実質的な無償化が可能です。
 
また、大阪府では世帯の子どもの人数にかかわらず、授業料については上限63万円まで支援を受けられ、63万円を超える分についても年収800万円未満の世帯は無償となります。
 
授業料以外にも、多くの自治体が入学金補助や教材費補助、通学費の一部支給、家計急変時の緊急支援など、家庭負担軽減に向けた独自の助成制度を整えています。これらの制度は、自治体や学校により内容や条件が異なるため、進学前に確認しましょう。
 

授業料無償化でも追加費用に備えよう

授業料がゼロになっても、入学金や制服代、部活動費などで年間10~20万円程度の追加負担を想定しておくと安心です。大学進学時にはさらに教育費が増えるため、高校入学前から積み立てや学資保険などを活用し、計画的な準備が重要です。
 
前述のように、制服購入や修学旅行費を対象にした自治体の補助制度もあるので、進学前に条件や申請期限を確認しておきましょう。
 

授業料以外の補助もある

自治体や学校によっては、制服購入や修学旅行費などに使える支援制度を設けている場合があります。

●入学準備金:制服や学用品の購入に使用できる補助(例:生活保護世帯や就学援助制度対象世帯が対象)
●修学旅行費補助:低所得世帯を対象に旅行費の一部または全額を補助
●通学費補助:交通費が高額な場合に支給(自治体や学校により条件あり)

これらは申請期限が短い場合もあるため、入学前から条件や必要書類を確認しておくことが大切です。
 

授業料無償化でも油断は禁物

私立高校の授業料無償化は、公立との間にある経済的負担を縮める大きな一歩です。しかし、授業料以外の費用は依然として大きく、特に、私立では公立の倍近い年間負担が発生するケースもあります。
 
家庭ごとの所得や居住地域によって利用できる支援制度は異なるため、最新情報を確認しつつ、早めに資金計画を立てることが重要です。
 

出典

文部科学省 高等学校等就学支援金制度・高校生等臨時支援金リーフレット
文部科学省 子供の学習費調査(令和5年度) 1 学校種別の学習費
文部科学省 就学援助制度について(就学援助ポータルサイト)
東京都生活文化局 高等学校等就学支援金(私立高等学校等)について
大阪府教育庁 ⼤阪府の⾼等学校等の授業料無償化制度について(令和6年度新制度)
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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