TOEIC点数レースでの勝利がゴールではない。有効な使い途は?
配信日: 2017.10.05 更新日: 2019.01.08
若年層の就職支援をしていると、就労経験がない分、TOEICのスコアや資格試験合格に向けて真剣に取り組む姿をよく目にします。
せっかくの貴重な時間とお金を使って取得するのですからその後の「有効な使い途」を見据えて勉強することが大切です
Text:柴沼直美(しばぬま なおみ)
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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新卒なら700点以上でないと記載の意味はない
学生の中には何気なく『TOEIC500点取得』などと書かれているESや履歴書を目にしますが、例えば『英検3級』と書いているのと同じような意味になりますから、英語力という意味では全くアピール材料にはなりません。
それどころか採用担当者からすれば「これしかアピールできるものがない」とネガティブにとらえられてしまいますので記載する意味のないスコアは書かない方が無難です。もし英語力をアピールしたければ700点を獲得してからにしましょう。
第二新卒ならば700点はOK。英語力で勝負なら900点
新卒、第二新卒ならば700点以上で、書類上の評価はもらえると思います。
一方中堅層で「英語を使った」仕事に就きたい、とか外資系のフロントオフィスを考えるのであれば900点以上はほしいところ。この水準を高いととるか妥当ととるかは個人のお考え次第ですが、書店にはTOEIC関連の参考書が並び、受験者数も2014年で200万人以上(IPテストと公開テスト)になっています。
国内の労働人口が2013年で6,600万人ですからいかに多くの人が受験しているかがわかります。市場は大きくなればなるほど、競争は激化するのは自明のことです。
スコアは書類審査の一基準であることを忘れず
TOEICは合格や不合格といった判定ではなくスコアで判断されますから、受験した参加賞的な気持ちで記載してしまうのかもしれませんが、中途半端なスコアではかえって書類審査にマイナスに作用してしまうことを忘れないようにしてほしいと思います。
有効求人倍率が1.4だと騒がれていますが、このかさ上げされている部分は建設業や介護系の2.5、2.2であって、事務系は相変わらず0.4です。4つの求人票に10人の応募があります。
求められているスキルが英語であれば、線引きに使われます。その役割が終わったら、(そのスコアを前提として)柔軟性や円滑なコミュニケーションが図られるかといったソーシャルスキルが最終的には就職の成否を分けるのです。